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傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られてます〜  作者: 涙乃


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15アンジェリカside②

✳︎✳︎✳︎


ノーマン邸の地下の奥深くにある部屋へと、アンジェリカは向かっていた


ペタペタペタと足音が響く


捕まって以来ヒールの靴は履いていない



ソフィア達を連れてくることに成功した男達に、あの部屋へ放置するように命じたのだ


ソフィアが本来いるべき場所に



「ああ‼︎ むかつく‼︎

なんで私がこんな所に!

まぁ、でもあの女に会えるのだものね、楽しみの前には少しぐらい我慢しないとね。


ねぇ、ソフィア、あなたに初めて会った時を思い出すわね、


あの時もこうしてわざわざ足を運んだんだから。


ひれ伏して感謝してほしいぐらいだわ」



ぶつぶつと独り言を呟きながら進んでいくと、目的の部屋の前にたどり着いた



どんな風に痛ぶってやろうか、恐怖に顔を引き攣らせているであろうソフィアのことを想像して、喜びが隠しきれない



そのため自然と口元が緩む


アンジェリカは、ギィッと軋む扉を開けて室内へと足を踏み入れた



薄暗い室内にはソフィアと男性がいた


二人共後ろ手で縛られていて、口元にはさるぐつわをかませられていた


この部屋にある物は、当時のままだった


特に値の付く物がなかったのだろう


灯りだけは二人を連れて来た時に設置していた



「久しぶりね、ソフィア」



二人は同時にアンジェリカの方を向く


二人寄り添うように床に座る姿がアンジェリカの目に飛び込んできた


ソフィアが自分をまっすぐに見つめてくる瞳が、薄暗い中で水色のガラス玉が浮かんでいるように見えた


隣に寄り添うように座っている男性も、こんな状況だというのに、妙に毅然としている


仄かな灯りに照らされているだけの中でも、恐ろしいほどに整った容姿だというのが窺える。


明るい所で直視したならば、間違いなく息をのむであろう美しさだ


ゆるく横に束ねた髪に、思わず触れてみたくなった


どこかで見た顔ね


誰かに似ているような…


それにしても、見目麗しいとはこういう人のことを言うのね




アンジェリカは束の間、男に見惚れていた




「随分といい男を捕まえたのね、ソフィア。身体でも使ったのかしら?あなたの母親のようにね、


ね~え、この彼はあなたの出生のことを知っているの?


いやらしい母親から産まれたことを。


あなたの罪のことを。


あなたの傷だらけの身体のことを


ねぇ、ソフィア


あ~、話せないのね、アハハ


本当にグズなんだから、ど~う、ここへ戻ってきた感想は? 懐かしいでしょう?


あなたはね、一生、今みたいに這いつくばっているべき存在なのよ!」


ペタペタペタと足音をさせてアンジェリカはソフィアに近づく


アンジェリカはソフィアの身なりを見るために、ひと通り目をすべらす


あわいピンク色の簡素なワンピースを身に纏っていたが、パッと見た感じ庶民が着る物の中では上質であることが分かる


首元にはその服装には、どう見ても不釣り合いな大きさの綺麗な宝石のついたネックレスをつけていた


「この男にでも貢がせたの?

こんな物、あんたには必要ないわ!」


アンジェリカは、ネックレスを引きちぎるべく手をソフィアの首元に伸ばす


「いたっ‼︎」


バチッと軽い閃光のような光と共に指先に痛みが走った


「ソフィア! あなた何したの‼︎ 許せない‼︎」


アンジェリカは怒り狂いソフィアを蹴り飛ばそうとした


「いたっ‼︎」


ドスンと尻餅をつくようにアンジェリカは後ろに倒れこんだ


何が起こったのか分からず目を白黒させるアンジェリカ


二人はそんなアンジェリカの様子を、ただ黙ってじっと見つめていた



「ソフィアーーーーー‼︎」


完全に頭に血が昇ったアンジェリカは、急いで廊下から鞭を取って戻ってくる



「あんたごときが、この私を突き飛ばしていいと思っているの‼︎

あんたが‼︎ 生意気なあんたが‼︎ 」



ヒュッ、ヒュッと鞭が空気を切る音が響く


何度も何度も執拗にソフィアに向かってアンジェリカは鞭をふるった



が…


目に見えない壁があるかのようにソフィアには鞭は届かない


そのうちにアンジェリカの手から鞭が拭き飛んでいった


「いやぁー‼︎」


ぜぇぜぇと息を切らしながら、「ソフィアーーー‼︎」と叫び続ける姿は、気が狂っているとしか思えない有様だった




「許せない!許せない!許せない‼︎ うぁーーーーーー‼︎」


自分の頭を両手で抱え込み、上下に動かしながらうめきはじめるアンジェリカ


地団駄を踏むように足をばたつかせる。


ふと視線を感じて顔を上げると、ソフィアの隣に座っている男性と視線があう


その瞬間アンジェリカは、醜態を男性に見られたことに思い至る


「きょ、今日はこのくらいにしてあげるわ、感謝しなさいソフィア‼︎」


アンジェリカは逃げるように部屋から出て、鍵をかけると走り去って行った


ソフィアーーー! 今に見てなさい


私を突き飛ばすなんて!


太って怪力女にでもなった気でいるのね‼︎


そっちがその気なら、こっちにも考えがあるわ。

痛めつける方法は他にもいくらでもあるから


待ってなさい!


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