真実④
「うぅ…ここは？」
意識が戻り目を開けると見慣れない部屋の床に転がっていた。 雰囲気からどこかの小屋だと察せられる。
起きあがろうにも後ろ手で縛られている。
首もズキズキと痛む。
気を失う前のことを思い起こす
確か、女性の友人をたすけようとして……
ギィッと突然目の前の扉が開かれた。
フード姿の二人連れが入ってきた
誰？
意識が朦朧としていて視界がぼやける。
「やっと目が覚めたのね。相変わらずグズね」
こ、この声は！
まさか、そんな…その声を聞いた瞬間はっ
と意識がクリアになる。
じたばたともがいても起き上がることができなかった
「ふはは！いい気味！
まるで芋虫みたいね。いいわよ、もっとも
ーっと足掻くといいわ。なんなら、そのま
まここまで進んできなさいよ。ふはは！、
ほら、何してるの、はやく早く来なさい
よ！」
パサリと被っていたフードを脱ぐ
声の主はアンジェリカだった
驚愕で言葉に詰まる
では、聞き覚えのある気がした女性は…
アンジェリカの隣に控えるように立っているのは、侍女のアンさんだった。
あぁ、騙されたんだ…自分の迂闊さに後悔する
どうして信じてしまったのだろう
「どうして…」
「はぁ！どうしてですって？」
アンジェリカは床に横たわるソフィアに近づくと、ドンドンドンと地団駄を踏むように片足でソフィアを踏みつけた。
「あなたが！あんたが！あんたが！あんた
が悪いのよ！
なんで生きてるの？
迷惑なのよ！あんたのせいよ！」
「っ！うっ！」
アンジェリカが履いていたのが珍しくハイヒールではないのが幸いした。
ヒールであったなら、身体に突き刺さっていただろうから。
染みついた習性から咄嗟に身体を捩り、急所を庇う
久々の暴力は、平和慣れした身体には堪える。
せめて起き上がれないかと考えを巡らせている時に、突然痛みから解放された。
アンジェリカがこんなに短時間で気が済むなど考えられない。
恐る恐るアンジェリカの様子を窺う
普段なら目が合った瞬間に殴られるのに、アンジェリカは私の視線を受け止めていた。
寝転がるソフィアの側に屈み込むと、アンジェリカは両手で胸ぐらを掴む。
髪も振り乱し鬼気迫る様子のアンジェリカに、殺されるのではないかと思った。
恐怖でガクガクと震え、恐ろしいのに視線を逸らせないでいた。
「ねぇ、どうしてくれるの？ 邸には騎士
が押し寄せていてお父様は連行されていく
し。
アンの機転によって逃げられたけれど、
これからどうしたらいいの？
全部あなたが仕組んだんでしょ？
私が何をしたというの？
悪いのはあなたじゃない！
私は何も悪くないわ！だから許さない！
殺してやりたいところだけど、逃げるのに
もお金が必要なの。だから、生かしてあげ
る。感謝しなさい！ちょっとは役に立って
もらわないと。散々迷惑をかけられたんだ
もの。
あなたみないな傷だらけの女でも、相手に
してくれる人がいるみたいよ。ふはは！
あんたなんか犯されて売り飛ばされるがい
いわ！じゃあね、ソ・フィ・ア ふはは！
もう、好きにしていいわよ。約束通り
報酬を」
