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-ギィ-
扉が開く音がする。私がいる部屋は使用人達が使っているような部屋ではなく、地下の奥深くの物置のような所だ。扉の建て付けが悪いのか、開閉時に変な音がする
窓もなく、灯りもロウソクしかなく、いつも薄暗い。
「ソフィア、 起きてる?」
『ジャック…。どうしたの?』
「どうしたのじゃないよ。見せて。
うわ… 酷いな…
こんなこと人間のすることじゃない」
『ここへ来てはいけないわジャック。見つからないうちに早く行って』
ジャックは私より3つ年上の男の子だった。この邸に来て酷い扱いを受ける私を気にかけてくれるうちの一人。
「大丈夫。すぐに戻れば見つからないから。ソフィア、これを」
『これ…でも、いつもどうして…?』
ジャックは私が父や義姉から暴力を受けると、塗り薬をこっそり持って来てくれる
薬も高いだろうに私なんかのために
「本当はきちんと手当てしたいけど…」
『ううん、私なんかのために』
「そんなこと言わないで。とりあえずこの薬だけでも塗って。少しは痛みがましになるから。ごめん
俺がもっと大人だったら…」
ジャックは眉間に皺を寄せて
いつも自分を責めていた
ジャックは何も悪くないのに
『どうしてジャックが謝るの? いつもありがとうジャック。』
「あいつら許さない!いつか俺が━━」
『ジャックそんなことを言ってはいけないわ。私は大丈夫だから、ね?もう行って』
「また来る」
そう言い残してジャックは部屋から出て行った。




