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Not exist Brains  作者: 高橋マス
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第一話 事の始まり

良い点、悪い点どちらでも感想をくださると嬉しいです!


評価、レビューの方も、つけてくださると嬉しいです!


執筆の励みになりますので、正直な感想、アドバイス、評価の方どうぞよろしくお願いします。

 『PARS』発売から五年、『FYOP』サービス開始から二年経った西暦二〇四〇年十二月十二日の朝の三時頃。


 男は、超高級マンションにある自室にいた。


「工場のセキュリティ解除成功しました、オーナー」


「ありがとな、Lily」


「はい、オーナー」


 男は、パソコンの横に佇む黄緑色の妖精に話しかけ、ニヤついた。


「これでお前の会社も終わりだ。大槻(さとし)


 そう言い終わると同時に、男はエンターキーを力強く叩いた。


 同時に、男の自室からは遠く離れた工場が爆破された。





 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





 俺は、港区にあるマンションで、俺はお父さんと妹の愛梨と三人暮らしをしている。


 お母さんは俺が三歳のときに癌で死んだ。お母さんの顔は覚えていない。


 お父さんが、俺達を悲しませないようにと、お母さんの写った写真はすべて俺達の知らない場所へ隠した。


 そのお父さんは、『SpiderRelations株式会社』という大企業の会社の社長をいる。「会社でいつ何が起こっても対処できるように」と言って、ほとんど帰ってこない。最後に帰ってきたのは今年のお盆だ。もうすぐ正月だし、そのときには帰ってくるだろう。


 つまり、実質俺と愛梨の二人暮らしというわけだ。


 もうこの生活になって五年目だ。兄である俺が小学生の内は本社の最上階にある居住スペースでお父さんと一緒に暮らしていたが、中学生に上がったときにこのマンションに移された。


 理由は、「お前たちが将来自立できるように」らしい。


 しかし、お父さんはこのマンションを自分の家だと言い張っているので、住人からは外せないのである。


 このマンションでの生活では、家事は毎日交代で行っている。


 夕食の料理の場合は、片方が料理をしているときはもう片方はだいたいテレビを見ている。


 今は、愛梨が夕食を作っていて、俺はテレビでニュース番組を見ている。


 俺達にとってはなんてことのないありふれた日常の風景である。


 ただのその日常のひとコマとして見ていたニュース番組が、少しだけ今日を日常から遠ざけた。



 【……によって、……されました。次のニュースです。今日未明、東京都内のとある工場で、爆発事故が発生しました。この爆発により一時的に火災が発生しましたが、現在は消防により鎮火されています。原因は、現在調査中とのことです。この事故によって、従業員二十三名が重軽傷を負いました。速報が入り次第、お伝えします】


 テレビには爆発が起きた工場が映し出されている。


 この工場、どっかで見覚えがある気がする。


「愛梨ー、ちょっとこのニュース見てよ」


「どうしたの?」


 料理をしていた妹の愛梨が来た。


「この工場、見覚えないか?」


「んー、何だろ。確かに見覚えある気がする。ちょっと考えさして」


 愛梨がそう言ってから、三十秒ほど経ったとき、いきなり大声を出して言った。


「あーー!わかった!これ、お父さんの会社の工場じゃん!」


「本当か?」


 俺はテレビに映し出されている工場を見た。さっきは上空からの映像だったが、今は記者によるテレビ中継に変わっていた。


 よくみると、五年前に、お父さんに連れて行ってもらった工場だということがわかった。


 そのときに、お父さんが「お前たち、これがお父さんの工場だぞ」と言って自慢気に話をしていたのを思い出した。


「お父さんに電話しなきゃ」


 愛梨がそう言ったとき、俺は事故とは全く関係のないあることに気がついた。


「その前にあの鍋どうにかしろよ」


 俺が指差した先にある鍋は、今にも爆発しそうな状態だった。





 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





「料理中に呼ぶなんてひどい!」


 愛梨は、両手で思いっきり机を叩いて言った。


 俺達は、愛梨の作った料理を食べていた。呼んだときに作っていたと思われるポタージュは、具材が柔らかくなりすぎて、もはやスープとなっていた。


「それはごめんって。それより、お父さんはなんて言ってた」


 あの後、愛梨がすぐに鍋の火を消し、お父さんに電話をかけた。結構声を張り上げて会話していたが、何があったのだろうか。


「えっとね、『お前たちに心配を掛けたくなかったから、あえて連絡しなかった』だってさ。家族思いなのは良いけど、それが変な方向性を持ってるよね。ホントお父さんって変人だよね、ムカつく。それならもっと私達の家にくればいいのに」


「おいおい、いろいろ余計だぞ。で、それだけってことはないだろ。もっと電話してた時間長かったと思うんだけど」


「家に来る頻度上げろって言ったら『お前たちのためだから』とか言ってきたからちょっとムカついただけだよ」


「こんな時にまでそんな話するなよ」


 いつもどおりの愛梨である。たぶん嘘はついていない。というか嘘をついたらすぐにわかる。


「ごちそうさま」


 まだ料理は少し残っているが、俺は部屋に行くことにした。なんだか愛梨の愚痴がひどくなる気がしたからだ。





 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





 自分の部屋に言った俺は、椅子に座り左耳にある小さな機械に触れた。


 すると、上部に『PARS MENU』と書かれた小さな透明な窓が目の前に現れた。


 この窓は、現実には存在しない。左耳につけた、『PARS』という機械が見えているように錯覚させているだけだ。


 しかし、それは実際に触ることができる。開発者が言うには『超高性能量子コンピューターを載せた人工衛星が特殊な電波を放ち、一時的に原子構造を改変させて触れているように錯覚させている』らしい。触ることができるのに存在しない。俺には到底理解できない話だ。


 その窓に表示された『FYOP』と書かれたパネルに触れると、画面が変わる。さらにそこに書かれた『Obedience呼び出し』というパネルに触れる。


 すると、透き通った青色の服を着た小さな女の子が現れた。


「こんばんは、颯大様」


「こんばんは、Metis」


その女の子は、Metisという。これは、俺の『Obedience』だ。


 『Obedience』というのは、AIでできたパートナーのようなものだ。


 Metisは、『Interegence Model』である。そのため、とても頭が良い。


「呼び出してすぐで悪いが、調べてほしいことがあるんだ」


「なんでしょう、颯大様」


「『SpiderRelations』の工場の爆発事故について調べてほしい」


「わかりました、颯大様」


 ほどなくして、Metisが調べた結果を話しだした。


「調べた結果をお伝えします。この事故について警視庁が発表している情報によると、原因は電気ケーブルからの発火と思われます。しかし、この事故が起きた工場では原因となった電気ケーブルの付近には燃え広がるための紙や布等があったという痕跡もなく、従業員からの証言でもそれは確認されています」


「つまり、事故ではなく事件である可能性もあるということか?」


「そういうことです」


「ありがとう、Metis」


 その情報を聞いて、なんだか心がムズムズするような感覚になった。


 俺は今日はもう眠りにつくことにした。

用語解説


PARS

『Portable Augmented Reality System』の略です。耳につける小型の端末です。

完全防水なので、お風呂場でも豪雨の中でも使えます。

スマートフォンのような携帯端末としての機能も備えているので、世界中の人がスマートフォンから移行しました。

その他、健康器具、疑似旅行体験、文字の自動翻訳などの機能もあります。



FYOP

『Fictitious Your Own Partner』の略です。様々な企業の提供するAIの知能モデルと、大まかなスキン(見た目)の入ったMicroSDをPARSに入れることで作ることができます。それによって生成されるAIを、『Obedience』と呼びます。ちなみに、MicroSDを一度でも抜くとデータは全消去、つまり一人に一つまでしかObedienceを持つことはできません。

知能モデルについては、また次回解説します。

FYOPに関してはもっといろんな設定を考えていますが、必要になったら解説しましょう。



今後も、ここで用語解説を行おうと思っています。それでは、See you again

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