お口チャック
「あら!」
「この姿で会うのは久しいのぉ」
「...服着てる」
「今回で2回目だけど不思議だなぁ〜」
ユナリアナは人の姿になったエミリーを見て目をキラキラさせて、ルミエリナは優しく微笑む。
カイルは人の姿になる時、必ずエミリーが裸なので今回も裸のままなのでは?と思いすぐに自分が着ていたシャツを掛けようとしたが、今のエミリーはしっかりと服を着ていた。
今回シロが人となった姿を見るのが2回目であるジークだが、まだまだ理解出来ていない様子だ。
「あ!本当だ!ちゃんと服着てる!」
「ん?いつもは服着ておらんのか?」
「そうですよ。お師匠様!いつも人の姿に戻る時、裸なのよ。初めてカイルに人の姿で会った時は裸だったから大変だったわ。今は満月になると服を置いといてくれるから助かってるけど。」
「それはスマンのぉ。服の事は忘れておった。...という事はカイル、お主はエミリーの裸を見たのか?」
「あらあら!カイル兄様、破廉恥ですわ。」
「は!?い、いや...見たか見てないかと問われると...その...」
ルミエリナとユナリアナに詰め寄られて焦るカイルとそれをニヤニヤしながら見ているジーク
「未婚の女性の、をねぇ〜。カイルも隅に置けないなぁ」
「い、や、不可抗力というか...見たくて見た訳では」
「まぁ!!勝手に女性の身体を見ておきながらまったく、失礼な殿方ですわね!」
「おい、ユナ!話を拗らすな!」
「拗らせてなどしておりませんわ。カイル兄様ともあろうお方が勝手に女性の身体を見ておいて責任逃れしようとするんですもの。」
「責任、逃れ...」
「ねぇ、あの夜は満月だったけど曇ってたから見えてないんじゃないの?その後はベッドの上だったからシーツで隠してたし!問題無いよ!」
ユナリアナによって精神的に追い詰められたカイルにエミリーがトドメをさす。
「むっ!?ベッドの上じゃと!?」
「に、兄様!?そこまでいってしまわれたの!?」
「お、おい!そんな中だったのか!?」
「い、いや!誤解だ!そういうのでは無い!」
『お前は黙ってろ』とカイルに言われてしまったのでエミリーは大人しく椅子に座って皆が落ち着くのを待つのだった。
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