師弟関係ではなく。
「ルディ、エミリーを傷付けるな。その子は妾の娘に等しい。エミリーを傷付けるならば容赦はせん。」
今まで聞いた事も無い声でルディへと静かに話すルミエリナにエミリーは驚くがルミエリナの言葉に言葉を失う。
(お、お師匠様...)
エミリーは師弟の関係でルミエリナはエミリーの事を大事にしていると思っていた。まさかエミリーを実の娘のようにルミエリナが思っていたとは...
その事にエミリーは感動した。
「フン、動けない状態で容赦しないと言われてもねぇ。」
感動したが、ルディの言葉に自分達が絶体絶命だと思い出す。
(そ、そうだった!どうしたらここから出れるかなぁ)
ルディとレックスがルミエリナに気を取られている内になんとかここから出なければルミエリナが思うように動けないはずだ。
自分が捕らえられてしまった為にルミエリナも思うように動けないのだろう。いつもなら息を吸うように魔法をルミエリナは使うのだ。
(でもでも、身体動かないし...ん?なんか足音が近付いてきてる?...この足音はユナ?よね。...後は...男の人...ん?カイルのに似てる気がする)
遠くの方で音が微かに聞こえてくる。
それもだんだんと近づいてくるのだ。
いつもエミリーの世話をしてくれるのはユナなのだが、他にも人はいるはずなのだがここ数日いたがユナ、ルディ、レックス以外の音が一切聞こえてこなかった。
だが、今聞こえるのは数人の足音である。
その中には世話しにくるユナの足音があり、そしてここにいるはずのないカイル、ジーク、数人の騎士団の人達の足音が聞こえてくる。
─バァァン!!
「な、何!?」
「な、なんだ!?」
扉が勢いよく開けられて入ってきた人物は身に覚えがあった。
「シロ!!!!!!」
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