言う事はちゃんと聞きましょう。
「おや、白猫さんこんにちは」
エミリーは見回りをしているカイル達に着いて街を散策していた。
仲良しの野良猫やボス、飼い猫達に挨拶しながら街の人達に美味しい物を貰っていた時に後ろから声を掛けられたのだ。
(げっ)
声を掛け来たのは昨日カイルに「気を付けろ。」と耳にタコが出来るほど言われた男だった。
「君は美しい白猫ですなぁ。そう怯えず、ほら、美味しいお魚ありますよ。高級魚ですからねぇ〜」
(え!お魚!?)
ピンクの小さな鼻をピクピクさせてマイヤー公爵が持っているであろう美味しいお魚へと足を進める。
(本当だわ!美味しいお魚の臭いがする。なんだ〜気味の悪い人だと思ってたけど案外良い人なのかも!しかも高級魚をくれるなんて!)
エミリーは最初の警戒心が何処かへと行ってしまいカイルの忠告さえも忘れマイヤー公爵へと近づいて行く。
「...ふっ。チョロい」
マイヤー公爵が何か呟いたが美味しいお魚の臭いそして、高級魚という言葉に気を取られてしまっている為、気付けなかった。
(まぁ!これは食べた事が無いお魚の臭いだわ!)
前に料理長が「ごめんなぁ、シロ。お前に高級魚であるクエやマハタってやつを食わせてやりたいが中々なぁ。騎士団の祝いの時にでも仕入れて食わせてやるからな!」と言っていたがもしやそれでは!?と目をギラつかせて綺麗なお皿に入っている美味しいお魚へと口をつけた。
(はわぁ〜何コレ!美味しい!今まで食べた事が無い味だわ!)
一口一口味わっていると友達の野良猫達も匂いに釣られてやって来た。
(おいシロ!美味そうな臭いがするがなんだそれ!)
「にゃー!にゃー」
(あ!ルック、久しぶりね!この人がくれたのよ。高級魚なんだって!とっても美味しいの!)
「にゃ!にゃんにゃんにゃー」
白と茶色の斑模様のルックがエミリーが食べているお皿へと興味を示し近付いてきた。
「なっなんだ。お前は汚らわしい!」
近付いてこようとするルックを足で来させないようにする。
(ちょっと!ルックは私の友達よ!そんな事しないでよ!)
「みゃー!みゃみゃー!みゃん!」
抗議の声をあげるが猫語の為、マイヤー公爵に伝わらず。
「気にしないでゆっくりお食べ。こんな汚らわしい猫は近付けさせないぞ。」
(えー!反対よ!...ルック逃げた方が良いわ!)
「にゃー!にゃ!にゃーにゃー!」
(お、おう。そうみたいだな。お前も気を付けろよ!)
「にゃ。にゃにゃにゃー!」
(う...ん。...あ、れ?なんか...だんだん眠く...)
走り去るルックを見つめているとだんだんと瞼が重くなってきて最後には意識を手放してしまった。
手放す時にマイヤー公爵のあの気味の悪い笑みをエミリーに向けて
「ケット・シーの生き残り」
と放っていた。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
高級魚、食べてみたいです。
私はお肉よりお魚派です!←