猫は情報屋
「ジーク、この事は誰にも言うな。」
「...え、なんかヤバい感じ?カイル、お前誘拐でもしてきたのか?」
真剣な顔で言うカイルとは裏腹にジークは緩い感じでカイルに問う。
「そんな事する筈ないだろ。」
「じゃあ、何なんだ?まずはこの子をシロと呼んだのは何故なんだ?」
ジークにここにいる女性はいつも俺達が可愛がっている白猫のシロなのだと説明した。
「...信じられねぇ。嘘だろ?そんな馬鹿な話があるか?...いや、でも、魔女が存在しているのは知っているし...」
現実を受け入れられないジークがブツブツと呟いている。
「お師匠様は凄いのよ!私がシロだって信じないなら教えてあげる!...今日、ジークは街のパン屋さんの娘さんに声掛けてフラれてたよね。今日街に行ったらその話で持ちきりだったよ。」
「な、なんでその話をっ!!」
慌てだしたジークを見ると顔を真っ赤にしている。
「お前本命は作らない主義とか言ってなかったか?」
「ほ、本命は...作らない主義...だが、その...はぁ...そうだよ!見栄を張ってただけだよ!」
「え?チャラいのは口だけだったの?」
元々大きな瞳を見開きジークを見るシロを落ち着かせてシロの話を詳しく聞く。
「猫の情報網は凄いのよ!野良猫は何処にでもいるし家にいる猫だって飼い主さんから情報得ているから知らない事なんてほとんど無いもの。ここの騎士達の事なら皆すぐ教えてくれるの。誰がどこで何をしていたかってね。」
得意げに話すシロに俺は関心の目を向けるがジークは信じられないとばかりに口を開けてとてもダラしない顔になっている。
「てっきりジークはチャラいから女性関係酷いのかと思ってたのだけど皆に聞いてもそういうの無いって言うから不思議だったの。そしたら今日あそこのパン屋さんの娘さんにフラれたっていう情報が来てビックリしたんだから。意外と言えばあの大人しそうなリックは女性関係では大人しく無いそうよ。」
「まじかよ!あのリックがか!?」
「猫の情報網か...それより話を戻すが」
いつの間にか脱線してしまっていて真面目なカイルに話を戻される。
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