出会い
「ディート体調はどうだ?」
低めの声がすぐ近くに聞こえてきてこの白馬の主が来たのだとすぐに分かった。
(この子はディートと言うのね)
「なぁカイル!俺も一緒に行くー」
少し先からもう1人男性の声が聞こえてきた。そちらは少し高めの声である。
(なんか、チャラそう...ディートの主は生真面目そうね)
ディートの背の上でここへ来た2人の男性の声の分析をしているとディートが歩き出した。
生真面目の男性は カイル と言うらしい。そのカイルがディートを連れ出したのだろう。
(うーん、どうしよう)
ここから降りるのが良いのかこのまま乗ってて気づいてもらう方が良いのか考えていたら
「ん?なぁカイル、なんかディートの背中になんか乗ってね?」
「...ん?なんだこれは?」
(あ、バレた...飼わなくて良いから餌くれないかな~)
「これ猫じゃね?野良かな?」
「...野良にしては真っ白で綺麗だぞ?」
(餌頂戴)
「にゃーん」
「ディートが白いから同じだと思って近づいたんじゃねぇの?」
「...」
チャラそうな男性が私の身体をつんつんとつついてきたが、餌を貰えるならとそのままにしておいた。
カイルは私の方をじっと見て動かない。
「...来るか?」
「...は!?え?何?飼う気?」
「野良なら外は可哀想だろ」
「...綺麗過ぎるってお前自分で言ってたろ。飼い猫かもよ」
「お前は...野良か?」
(そうよ)
「にゃん」
「そうか、なら飼っても構わないな。寮長と隊長達に相談するか」
「え、何!?通じ合ったのか!?...つか、猫が返事って...」
「賢いな」
「そう言う問題じゃねぇーだろ」
カイルはディートをチャラそうな男性に任せて私を抱き上げ宿舎と思われる建物へと向かい始めた。