それぞれ
前半はマイヤー公爵視点で後半は国王視点になります。
「ルディ様、あの男の所に本当にいるのでしょうか?」
マイヤー公爵は妖艶な姿の魔女へと声をかける。
「ええ、勿論よ。わたくしを疑うというの?あの忌々しいルミエリナがあの元王子の所に現れたのは確かよ。貴方あの元王子と会ったのでしょ?」
「はい、会いましたが...国王は自分には何もとしか...。王位を放棄してるので当たり前かと。」
「だけど、国王が懇意にしているルミエリナが元王子の所に現れてるの。何かあるのは確かだわ。」
「では、もう少し探ります。」
「ええ、そうしてちょうだい。あのケット・シーの生き残りを手に入れれば貴方はこの国を我が物に出来るのよ。...わたくしは永遠の美を...ふふふ」
2人の笑い声だけが部屋へと響く。
「...なんじゃ、寒気が」
「どうした?ルミエリナ」
ルミエリナはエミリーとカイルに会った次の日に国王の元へと来ていた。
「いや、何でもない。...それよりも、じゃ。ちゃんと聞いておこうと思ってな。」
「ほう?何を、かな?」
スタイルの良い女性らしい身体付きをしているルミエリナだがそれを隠すように黒のローブを着ている。だが、逆にその魅力を引き立たせている事に彼女は気付いていない。
「お主、もしも本当にケット・シーの生き残りがおったら王族と縁を結ばせるのか?その生き残りの意思関係なく...。」
アメジストのようなルミエリナの瞳に目を逸らせなくなる。
「...出来ればな。しかし、その者が嫌がるのならば諦める。まぁ本音は王族の事を思うと結ばせたいがな。」
「...そうか。では、その生き残りが魔力がない場合はどうじゃ?」
「ま、りょくが、無い?」
そんな事は一切考えていなかった。ケット・シーの血が少しでも入っているのなら魔力が多少なりとも有りルミエリナのように魔法が使えると思っていたから王族と結婚をと考えていたのだから。
「...ルミエリナが言うように本当に魔力が無いのならば無理に結ばせない。魔力があるならどうにかして、と思っていたがな。」
「うむ、そうか。」
それだけ確認するとルミエリナは帰ると言い出すので年代物のワインでつって少しでも長くいてもらおうとするのだった。
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