真っ赤なリボン
「すまなかった。」
今朝寝ぼけていてシロをふわふわの枕だと思いシロのおしりをがっつり掴んでしまってから機嫌が悪い。
いや、まぁ確かに俺が悪かった。シロは元は人間の女性でそれも誕生日を迎えたばかりの。
「...シロ」
あぁ、悪かったとは思う。しかし、いつもは登ってこないしまさか俺の頭のすぐ隣に丸まって寝ているなんて思わないだろ?
「そろそろ機嫌を...」
シロ用のベッドで丸まっている白い物体に先程からずっと謝っているのだが一向に此方を向いてくれない。
(別にカイルが悪いわけじゃ無いってわかってるの。分かってるけど...)
今日1日顔を合わせる度に謝ってくれるカイルにもう怒りは無い。無いのだが、見た目は白いふわふわの猫だとしてもエミリーも年頃の女の子なのだ。
猫の姿だったにしてとあぁもがっつりお尻を掴まれるとやはり恥ずかしい。
(うー、でもそろそろ機嫌直さないと...よね。)
何度も謝ってくれているカイルの方をモゾモゾしながら顔を向ける。
(そ、その...私もごめん...)
「にゃ、にゃーん」
とりあえず謝るがまだカイルの目は見れない。
「...機嫌、直ったか?」
安心したようなカイルの声が頭から降ってくると同時に首に違和感を覚える。
「?」
「...誕生日、プレゼントだ。」
(え!?)
「にゃっ!?」
「昨日が誕生日だったのだろう?知らなかったから大したものを用意できなかったんだが...」
と言って手鏡をエミリーの前に出す。
手鏡に映るのは白いもふもふに映える真っ赤なリボンに前には小さな鈴が着いていた。
(か、可愛い!)
「年頃の女性に大して首輪のようなリボンはどうかと思ったが満月以外は猫のままだろ?普段使えるような物にさせて貰った。それにその鈴があればシロが何処にいるか把握も出来るからな。」
『安心だ』と微笑むカイルにお礼の言葉を述べる。まぁ猫語なのでちゃんと伝わったか怪しいが。
(大切にしよう)
初めてお師匠様以外から貰う誕生日プレゼント。大事にしようと思うエミリーだった。
ここまで読んで下さってありがとうございます。