キャパオーバー
「まぁ確実とは言えんのだ」
「え?どういうこと?」
「ある日、1人の女性が妾を訪ねてきた。」
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ダンダンッ!!!
その日、薬の調合中だったルミナリエは勢い良く扉を叩かれる音に驚いた。
「っ!?なんじゃ!?」
扉を開けるとそこにはフードを深く被った人が何かを抱え込んで立っていた。
「なんの用じゃ?こんな夜更けに」
「...この子を...この子をお願いします。」
「は?」
女性のような高めの声で抱えていた物をルミナリエへと押し付けた。
反射的にそれを受け取ってしまったルミナリエはすぐに返そうと動くがそのフードの人物の方が離れるのが早く返しそびれてしまう。
「その子を...よろしくお願いします。」
それだけ言ってフードの人物は去っていってしまった。
「...え?ちょっ!待たぬか!何なのだ!?」
走り去ってしまう背に声を掛けるが止まることはなく見えなくなってしまった。
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「行ってしまったと思った矢先、妾の腕の中でモゾモゾと動き出したのがエミリー、お主だったのだ。あの時は驚いたぞ。」
「...それだけだとシロがケット・シーだとは判断出来ないのでは?」
「うむ、一般人ならな。妾は一般人では無いからな。妖精がもってる魔力なるものが妾には読み取れる。エミリーにほんの少しだけある魔力がケット・シーの物と一致しとるのだ。」
「だから、シロがケット・シーだと?」
「うむ。」
エミリーは情報量が多すぎて頭が混乱してきてしまっていた。
「エミリー大丈夫かい?」
「お師匠様〜なんか色々衝撃的過ぎて...」
「まぁそうじゃろうな。とりあえず今夜は寝るが良い。妾はまだカイルと話があるからもう少しここにおる。」
それだけ言うとエミリーをまた猫の姿へと戻してルミエリナは抱き上げて、ルミエリナの腕の中が暖かくて一気に夢の世界へと旅立ってしまった。
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