気を付けましょう。
「隊長。お呼びですか?」
「あぁ、来たか。」
「おぉ!お久しぶりですな。カイル殿」
「マイヤー公爵...何用で?」
「そんなに警戒なさいますな。少しばかりお聞きしたい事がございましてな。」
この丸々太った男はマイヤー公爵。きな臭い噂をよく聞くがどうして俺を尋ねて来たんだ。
「今、国内外でケット・シーの生き残りがいるというのはご存知ですかな?」
「...ケット・シー、の生き残り、ですか?」
「おや、ご存知ありませんでしたか?陛下からカイル殿に話が行っているかと思いましたが。」
ふん、何と態とらしい。
「マイヤー公爵もご存知の通り私に王位継承権はありません。陛下に王位は要らないと話し合い今はこの騎士団に籍を置いているのです。なので、一般の私に陛下から直々に通達などありません。」
まぁ分かっていてマイヤー公爵は俺を尋ねて来たのだろうがな。
ケット・シーについて知りたいがシロの事がバレたらいけないから慎重に話を進めなければ。
「...そうですか。それは失礼しました。では、少しだけ知っておいて欲しいのですがね。陛下が贔屓にしている魔女が1人おりましてな。その魔女が可愛がっている少女が1人いるという情報を入手いたしまして、私はその少女がケット・シーの生き残りだと思っておりまして。」
「だとしても、何故私を訪ねに?」
意味がわからない。マイヤー公爵の読みは当たっている。怖いほどに...。だが、それを態々俺に話に来なくても良いだろう?
「最近その魔女がこの辺に現れたと情報がありまして、騎士団のそれも陛下のご子息にでも会いにこられたのかと」
まさかシロのお師匠様が来た事がバレているとは予想外だ。次会うときはもっと用心しなければいけないな。
「そうですか。私は他の団員達と見回りしてますがそういった情報は来ていないので分かりかねます。」
「それは残念です。」
それでは失礼しました。と帰ろうとする彼に俺は疑問に思った事を聞いた。
「マイヤー公爵、そのケット・シーの生き残りを見つけてどうするおつもりですか?」
「...さぁ、どうしましょうかね?」
悪人が浮かべるような笑みを俺にして去っていった。
「...カイル、あいつには気を付けろよ。」
隊長がマイヤー公爵が出て行った扉を睨みながら俺に言ったので力強く、はい!と答えたのだった。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
やっと出産して落ち着いたのでまたちょこちょこ更新します。
読んで下さっている方がいらっしゃるか不安ではありますが...。
もしまだ読んでくださってるかたがいるならば嬉しいです。