噂大好きなんです。
「なぁカイル、聞いたか?」
「聞いてない」
「いやいや、俺まだ何も言ってないじゃないか」
『つれないなぁ〜』等と口を尖らせて言ってくるジークに鳥肌が立ち一旦距離を置く。
「おい!気持ち悪いとか思ったんだろ!何だよ、その鳥肌は!!」
「いや、別に気持ち悪いとは」
きっとシロがやったら可愛いだろうな。等と思って口がニヤけるのを隠すように片手で口元を覆う。
「ったく、そんな話は良いんだよ。あのな、この前飲んだ奴に聞いた話なんだけどこの国にケット・シーの生き残りがいるらしいんだ。それでこの国の王族や貴族達が血眼になって探しているって話だとよ。」
「ケット・シー?確か魔力が無いものには見えないとか妖精の世界にいるとかじゃ無かったか?」
「まぁ純なケット・シーは妖精の国にいるらしいんだが以前、人間と恋に落ちたケット・シーが何人かいて隠れ里で暮らしていたんだとよ。でも、その力を欲する者がその里を探し出したがケット・シーは妖精の国へ行ってしまい残った人間は殺されケット・シーとのハーフも人間と見分けがつかない者は殺されたって話だ。」
「では、見分けがつくものはどうなったんだ」
「奴隷にされたって聞いたぞ。魔力が少しあるから魔力が無くなるまで使わされたらしい。まぁでも、そんな事をしたのはこの国では無くて少し遠い国って聞いた。」
シロのお師匠が心配しているのはもしや、これなのでは無いかと思わずにはいられなかった。
「だから、ケット・シー一族は滅んだと思っていたけれど生き残りがいるんじゃないかと今、噂が飛び交っていてその噂の真相を探ろうとしているんだってよ。まぁ俺達には関係無い話だから酒のつまみとして聞いてただけなんだよな〜。どうだ?面白いだろ?」
鼻高々に語ったジークにいつもならツッコむところだが、今はそれどころでは無かった。
もし、シロがケット・シーの生き残りならば本当に隠し通さねばならない。
(俺1人で彼女をずっと匿っていられるのか?しかし、変に彼女の正体をここの騎士達に教えてしまったら...ケット・シーかは置いといて彼女は見た目が良い。それはそれで心配だ。)
やはり俺1人で...と考えるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




