満月の夜再び
「お師匠様いつ迎えに来てくれるのかな〜?」
また満月の夜がやってきた。
今回はちゃんとエミリー本人も覚えていたのは、耳にタコが出来るほどにカイルが前日から教えていた為だ。
カイルが言わなかったら今回も満月だということを忘れてしまっていた。
「それは分からないからこそもっと警戒心を持て」
「ゔっ。それは...持っていると思うのだけど...」
「いや、持っていない。持っていたら満月の夜を忘れる事はないだろ?」
只今、エミリーはカイルのブカブカな服を来てベッドの上に正座させられて説教を受けている。
説教ではなくて、そしてエミリーがこんな性格でなければ甘いムードになるのだろうが...。
「...はい、ソウデスネ。」
永遠と聞かされるお説教に嫌気がさしてきて正座させられている足も痺れてきて我慢の限界がきていた。
「もっと自覚持った方が良い」
「...反省シテマス。トッテモ」
「はぁ、なら良い」
きっとまた次も同じ事を言う事になるだろうと思いながらも我慢の限界に来ているであろう彼女を横目に大きな溜息をはきながらベッドへと腰掛けるのだった。
「本当に何も聞いてないのか?それにここが安全だと言うのが気にかかる。」
「ん?お師匠様の事?えぇ、何も聞いてないわ」
自分の事のはずなのにあまり興味が無いのか窓の外から満月を眺めている。
「近隣諸国で戦争等も聞かないし我が国も戦争等有り得ない。安全とは...」
「何故有り得ないの?」
純粋にエミリーは疑問に思った事を聞いた。
「...今に今、どの国も貧困等で困っている事は無いし隣国とは同盟も結んでいる。それにこの国自体は小さいが食料には困らない豊かな地だからだ。」
「それが理由?でも、それだけで戦争にならない理由には...何か凄く欲しい物がこの国にあったり他の国にあったら戦争するんじゃない?」
「凄く欲しい、物...例えば?」
「うーん、お姫様とか?」
予想外にカイルが真剣にエミリーに耳を貸すから戸惑い、昔読んでもらった絵本に出てきたお姫様を出してみた。
「とっても美しいお姫様だったら欲しがるのでしょ?絵本で読んだわ!」
「...まぁ欲しがるかもしれないが」
思ってもなかった回答でカイルは笑ってしまいそうになった。が、有り得なくもない話だなともう少し情報が欲しいと思うのだった。
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