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記憶  作者: 今田侑耶
3/4

軍歌 2



 じーちゃんとばーちゃんが満州引き揚げ者なので(?)軍歌は子守唄替わりだった。

 あー、ばーちゃんの方が何時も歌ってたから。単にばーちゃんの趣味だった、とも言う(笑)

 総体的に歌が好きだったとも言うかな。ピアノを弾きながらよく歌ってたから。

 童謡とか歌謡曲に聴いた事もないような歌とか。なんか、『麦の刈り入れ手伝いに来た(ひと)を好きになりました。』みたいな歌とか(笑) で、軍歌も沢山歌ってた。だからといって好戦的な訳じゃなくて、裏話というかこぼれ話的な話が付いて来るんだけどそれが、この歌を歌ってた人も応集して戦死しちゃったんだよ、とか、慰問に行った先が爆撃されて死んでしまったんだよ、とか、この歌は歌詞が良くないから歌っちゃ駄目だったんだよ、とか。軍歌を歌っちゃ駄目だとかビックリ、目から鱗でした。でも結構歌詞が変わってる軍歌って多かったみたい。

 最初に覚えた軍歌は『戦友』 舞台が満州だったからかばーちゃんがよく歌ってたので小学生の時には覚えてた。この歌も歌詞が変更されてた。戦友が弾に(あた)ってしまった時『軍律厳しき中なれど』っていうのが駄目で『銃弾飛び交う中なれど』に変えられたんだって。

 『戦友』の粗筋(笑)を少し。出征して知り合った戦友が戦闘中に弾に(あた)って戦死し、その最期を国許の親御さんに手紙で報せる。という内容なんです。詳しくはggって見て下さい。

 検閲に引っ掛かった理由は何だったかな。『軍律厳しき』が従軍の意欲を削ぐだったかな? その辺はよく知らないけど、『戦友が倒れても無視しなければならないんだなぁ』って思ったのは憶えている。「軍律厳しき中なれどこれが見棄てて置かりょうか。しっかりせよと抱き起こし、仮包帯も弾のなか。」 軍規は応急手当も認めていない。心配しても駆け寄ることも許されない。そういうものなんだ、と。更には「折からおきる突喚に友はようよう眼を開けて、お国の為だ(自分には)構わずに(突撃に)遅れてくれ(る)な」と眼に涙を浮かべながら言うのだ。もうこれはフラグ。バンバン立ちまくり。案の定、「戦い済んで日が暮れて、(戦友を)捜しに戻る」と、最期の言葉だけでも交わしたいという祈りも虚しく「(むな)しく冷えて魂は邦へ還ったその後に、時計ばかりがコチコチと動いている」のだった。

 

 なんでこんな話になったんだって事なんだけど、ちょっと前に憲法九条の改憲の話題が騒がれてて、正直、改憲自体はしない方が良いとは思うが絶対反対って訳でもないんだけど、戦争は嫌だなぁってことで。この後、歌の中の人は亡くなった戦友の親御さんに最期の様子を細々と書いて送るんだけど、書く方も貰った方も辛いだろうなぁ、って子供心に胸が痛かったんだ。

 国が違えば利害は相反する。『戦争も已む無し』ってことも何時の時代にだって在るんだろう。でも自分も家族も戦場に行かない偉い人たちが安易におこしてしまっては『駄目!絶対!!』なのが戦争なんだよ。

 軍隊を持つのなら永世中立宣言をしてからなら良いと思う。それが出来ないなら大臣や国会議員、その子供達が真っ先に戦場に立つ。そういう法律を作るのなら憲法9条の改憲もいいだろう。自分や身内の命が懸かっているなら最善を尽くすだろう? その上で戦争になっちゃったら仕方ないかなぁ って思えるけど、安全な場所から『戦争に行って死んでも良いから勝ってこい』なんて言われたくないから。個人としての一人一人に替わりは居ないけど、政治家の替わりなんて幾らでも居るんだから「自分達は特別」なんて有り得ない。


 『戦争を知らない子供達』の一人ではあるけど、戦争の記憶は風化させてはいけない と思っている。そうでないと、いつか自分の子供や孫達が戦場に駆り出される日が来るだろうから。子供や孫達の戦死通報を手にして嘆く人がこの世の中から消えてしまうように。願いを込めて

 

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