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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

そんなはなし

作者: なべ

データ供養のために公開します。とにかく内容があるわけでもなく短いです。







坂崎(さかさき)(じん)の不幸はその顔にあると言って過言ではない。


両親の穏やかで没個性的とも言える顔の、どのパーツを貰ったらそうなるのかと聞きたくなるほど両親に似ていない。

キリリと上がった眉に高く通った鼻梁。

一文字に引き結ばれた口は唇の形も良い。


その一つ一つは男前、美男と賞されるに相応しいが、生憎なことに鋭すぎる三白眼がそれを台無しにしている。


吊り上がったその目で射抜かれれば恐怖のあまり失神してしまうだとか。

街を歩けばそのスジの人が思わず道を開けて挨拶してしまうだとか。

視線だけでライオンを退かせたことがある、だとか。エトセトラエトセトラ……。


それゆえに彼の苦労は幼い頃から友人が出来なかったというものだ。

そんな悩み実害が無いだろうと侮ることなかれ。幼稚園では周りの幼児が大量に登園拒否を起こすほどで、その理由の九割が「じんくんがコワイから」だった。

小学校の六年間はまた更に大変で、特に身長の伸び始めた五年生あたりからは授業中に仁を指名することを教師ですら躊躇うようになった。


身長が百七十センチを超えたのは中学に入ったばかりの頃で、仁の成長期は留まることを知らず、三年間で十五センチも伸びた。

それだけだったらまだしも、目立つ仁に校内、校外関係なく非行少年たちが目を付け始めたのが、更なる不幸の始まりだったのかもしれない。

問答無用で突っかかってくるヤツらを相手にし続けていたら喧嘩が強くなった。それと同時に薄かった身体に筋肉もついてきて身長に見合う立派な肉体を手に入れた。


喧嘩の方は元々素質はあったのか、身体の動かし方や拳の振るい方も様になるのは早かった。

勿論最初の頃は一対一でもボロボロ。良くて辛勝。

だが顔のせいか絡んでくる人数が半端でない。今では三対一でも二三発もらう程度で勝てるようになったのだから経験値とは無碍にできないものだ。



そうして向かうところ敵無しとなった頃には、気が付けば「孤狼」などという妙に気恥ずかしい通り名を付けられていた。一匹狼として、夜の街を渡り歩くレアキャラ扱いをされていたのだから驚きというか、恥と言うべきか。


レアキャラもなにも夜十時を過ぎてからは出歩かないのは中学生の常識だし、ごくたまにそれを破ったとしても六つ年の離れた兄のパシリとして歩いて十分のコンビニに飲み物と雑誌を買いに行くだけだ。

基本的にそんなときにチームだのギャングだの名乗る連中に絡まれたのを露払いしているだけである、というのが他ならぬ仁自身の言い分であった。


そもそも仁は外見は凶悪極まりないが中身は内向的な小市民だ。

自分から話し掛けに行くのも出来ないほど人見知りが激しいだけで、一人ぼっちが好きなわけでも、孤独と闇だけが俺を理解する……的な思春期にありがちな自我の暴走でもない。消滅魔法「はい、じゃあ二人組を作って~」に怯えるただのぼっち君だということを、顔面ゆえに誤解されている小市民なのだ。


などと仁がいくら思っていようと、今さら自身の顔面凶器が変わるわけでもなく、高校に上がり二ヶ月経った今も級友たちに遠巻きにされる毎日だった。




「とかいう話だったら一匹狼君が王道転入生に懐いた理由も納得いくんじゃない?」


「あぁなるほど、確かにぼっち君なら仕方ない。それにしてもヒカサの妄想力が逞しすぎてやばい」


「腐男子の半分は妄想力で成り立っています!」


「もう半分は」


「萌え!」


「……愚問だったわ。すまん」






腐男子:ヒカサ。三次元はあんまり好きじゃないので妄想して楽しむだけの隠れ腐男子。


友人:名前はまだない。趣味はネットサーフィン。なので色々詳しいだけ。


坂崎仁:サカサキジン。顔面凶器。一匹狼「孤狼」。本当は別の作品の登場人物として企画してた子。主人公はお兄ちゃんで教育実習生。

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