空想と想像
純潔を、
この手で
汚すんだ
・空想と想像・
真っ白な紙に黒い線を引くのは気がひけると、君が言った。
だから僕はそんな事ないと言い、真っ白な紙に一本線を引いた。
一本、黒い線を真っすぐ。
一点の狂いもない、純粋な黒い一本線。
その線が、
それを見る君の眼が、
すごく綺麗だった。
―――君が欲しい―――
僕の視線は、自然と君の中へいく。
君の肌に触れる。
その可愛い唇に触れる。
君の純潔な心を、
君の純潔な躯を、
この僕が汚すんだ。
汚らわしい?
憎い?
醜い?
それとも
愛しい?
君を神に捧げよう。
僕と言う名の神に。
純潔を捨て、
僕にその躯を見せておくれ。
君は『少女』から『女』になった。
これも全部、僕のおかげ。
だから僕に感謝してよね。
僕は自分の書いた文を読み、ペンを置く。
部屋には誰もいない。
僕一人。
「そして、二人は幸せになりました」
僕はクスッと微笑んで、その紙を一気に破いて捨てた。
「きれー」
粉々になった紙は重力に従ってヒラヒラと舞い落ちた。
「さてと。次のお話は〜……何にしよっかなぁ」
新しい紙を用意して、
またペンを握った。
カリカリと文字を刻む音が響く。
僕の周りには細かく千切られた紙が積もり、
白い山ができていた。
「昔々、白い国に黒い王子様がおりました」
また黒と白の話。
僕はニィと笑い、また紙を千切って自分の真上に投げた。
end