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世界樹

闇夜の守護者

作者: 月蛉

そのうち、本編上げます。

此処まで短編上がるとは予定外でした(苦笑)

 風を切り、空を駆る。

 広いようで、狭い空はビルに切り取られあまり自由には飛び回れない。

 夜は、人が少なくなるがビル風に巻き込まれると平行感覚を僅かに失う。

 遠くまで見通せる筈の瞳に映る景色も、いつからか同じような物になってしまって詰まらない。

 鴉の様な黒い翼をたたみながら路上に降りる。

 そこに居るのは、何時からこの世界の裏側に君臨してきたのか判らない狐の面をかぶった男だ。

 コレが本性だなどと、そんな甘い事は考えて居ない。

 彼の保護下に入った時から、それは保護ではなく、単純に戦力扱いになる。

 彼が護るモノの敵になった者と戦う為の駒だと理解している。

「滓賀様、今夜も変わった事はありません」

 私の言葉に軽く頷いて、私たちが身を寄せている住処(すみか)の一つに向かって行く背中を見送って髪を掻き上げる。

「ホント、取り付く島もありはしないわねぇ」

 溜め息交じりにそう呟くと再び翼を広げて空に向かう。

 鴉天狗の一族に産まれながら、髪が白い、それだけで、私の居場所は無かった。

 名前すら付けて貰えなかった。

 そんな私を見つけ、名を与えてくれた方への恩返しなのだ。

 江戸の時代から私は其れを拠り所に生きてきた。

 最近は、新参者が増えて居る。

 それだけで、この世界が生きにくくなって居る訳で。

 この世界がそれだけ変化しているという事で。

「昔は良かったわよねぇ、見渡す限り田んぼに畑。時々城が邪魔だったけれど、飛ぶ邪魔にはならなかったものねぇ」

 本当に、空を飛ぶ物は自分達の仲間か、鳥達くらいで、他にぶつかる危険なんか有りはしなかった。

 最近はヘリコプターだの飛行機だの。

 スカイツリーだの電波塔だのと邪魔が多くて仕方が無い。

「最近は、滓賀様もお忙しいようだし」

 最近手に入れた、違う。知り合った先祖返りの龍神の娘に入れ込んでいるらしい、との噂を耳にした。

 仲間たちは人間の血が入った混ざり物など、と息巻いているようだが私は構わないと思う。

 私が身内に冷たい対応されて居る所為かもしれない。

 居場所が無い私が口を挟む事では無い、それに何よりも誰かが幸せになるのを見る事が好きだ。

 幸福な人の雰囲気が好き。

 暖かくて、柔らかい気持ちになれる。

 それに時代が変われば品も変わる。

 所変われば品変わる、と言うではないか。

 人だろうが、そうで無かろうが、知ったこっちゃない。

 考えれば判る筈だ。

 今まで、あの滓賀様が誰かに心を動かした事があるのか、と。

 否、一度たりとも有りはしない。

 あの滓賀様に血が流れて居るのか考えた事もあった。

 きっと、変わるのだろう。あの方も。

 そして、自分たちも。

 夜空を見上げて、しばしホバリングする。

 ゆっくりと近くのビルの屋上に足を降ろす。そして、広げたままだった翼に力を込めて天を目指す。

 夜空の星を目指して翔ぶのは好きだ。

 だけど、雲を越えた辺りで風を切る力が弱くなる。

 昔は判らなかったけれど、人間達の研究で判る事もある。

 空気は、上空に行くほど薄くなるのだそうだ。私達は息苦しくなったりすることは無いから気が付かなかった。

「綺麗」

 仕方ないから、其処で留まり星を見上げる。

「うん、決めた」

 人の世界に入ってみよう。

 他にも人に混ざって生きている仲間は居るのだから。

 独りだったら選ばない選択肢だけれど。

 恐い事は嫌いだ。

 私は変化を嫌う種族の出だな、とこんな時思う。

 白い髪が風になびくのを無意識に視線で追う。

「行くか」

 呟いて翼を畳むと地面へ落ちる感覚を楽しむ。

 ビルを横目で見ながら翼を広げて、スピードを殺し地上ギリギリまで落ちる。

 髪の先が地面に触れる。

「慌てる事、無い……かな」

 ゆっくりと身体を起こし地面に立つ。

 翼を体内に取り込み、人間と余り変わらない姿に変幻する。

 そこで、気配を感じて動けなくなる。

 降りる前に人の居ない場所を選んで、しかも、簡易とは言え人の目に映らないようにしていた、筈。

 それなのに背後から感じるのは、気配だけでなく、視線もだ。

「……………」

 覚悟を決めて振り返ると、そこには小学生低学年くらいの女の子が立って居た。

 今時珍しい着物姿で、鞠を持っている。

「…………白華(はくか)って、お主かえ?」

「え、ええ。白華は私ですけど」

 言葉を交わして安堵する。

 この少女は人間では無い。

 姿に似合わない貫禄が滲み出ている様な気さえする。

「滓賀様より、言い使って迎えに来た。妾は小鞠(こまり)座敷童じゃ」

「お見通し、って事ですか」

 思わず項垂れてしまう。

 額に指先を当てて揉みほぐしながらも、取り敢えず挨拶する。

「鴉天狗の異分子、白華です。よろしくお願いします」

「異分子はお互い様じゃ、ここは異分子達の行き着く先じゃしな」

 微かに頬が動いたのは、ひょっとして笑ったのだろうか?

「人に混ざって生きるのならば、住む場所が代わるからな。案内する」

 背を向けて迷い無い足取りで歩いて行く小鞠の後を追いながら、これからの生活が少しだけれど楽しみになった。

ははは、誤字、確認したケドまだあるかも………。

そろそろ本編載せないと話が判りにくいですね。

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