八話目
ギャア!ほぼ連日更新ギャア!
文字数少ないのは見逃して。
『さぁ!なに入れっかな』
部屋に入るや否や、林道が端末を手に曲を検索し始める。
それを見て僕も端末を手に取る。ここの店の端末人世代古いモノで、少し曲がったタッチペンが心細くぶら下がっているおもちゃみたいな機械だ。
ただ中身はそれなりに更新されているらしく、最新の履歴には、今をトキメクトップアイドルの曲がずらりと並んでいた。
この辺りのを適当に入れてもいいかなと思っていると、辺りが突然暗くなった。
・・・・・・これは。
『やっぱりこれくらい暗い方が雰囲気が出るよな!!』
林道が照明の灯りを消しやがったな。
『そう言うのは彼女が出来て良いムードにしたいときにでもやれよ!』
『できないんだから仕方がないだろ!』
ふざけたことを言うもんだ。目が悪くなっても知らないぞ。
いやこの場合僕も巻き添えを食らうのか。子供のころから1.0を下回ったことのない僕のナイスアイズをなんだと思っているんだ。
『しっとりラブソングでも歌うのか。キモイぞー。』
『違うわ!なにが悲しくて男とラブソング歌うんだよ!』
林道が僕に文句を言ってくるのと同時に、奴の入れた曲が始まった。
やけに聞きなれた、やかましい音がカラオケの個室に響き渡る。
僕はこの曲を知っている。ある外国人が作った、一世代、いや二世代ぐらい前の歌だ。
そんなに複雑でもなく、正直別に作りこまれてもなさそうな伴奏で小汚い男ががなりだてる歌だ。
今更こんな選曲をするとはセンスを学べセンスを。
『くぇrちゅいおえrちゅー!!!』
最早英語でも何でもない謎の言葉で林道は歌っていた。
うるさい。喧しい。
『sふぁrhじぃhfstyちゅー!!!』
・・・・・・いやこれはうるさい!まじで!
『うるさいわ!せめて真似ようとはしてくれ!!』
『喧しい!こんくらいでちょうど良いんだよ!これは!』
馬鹿にしやがって作ったやつに謝るべきだ。いやまあ、僕もさっきまでかなり失礼なことを考えていた訳だけど。これはひどい。ひどすぎるよ!
『文句あるんだったら自分で歌うんだな!』
クソっ。何となく魂胆が読めてきた。ほっといてくれれば良いものを。
曲が終わる。いやもうあれは曲だったのかわからないモノだったけれど、当の本人はやり切った顔で満足気だ。
『ほら次はお前の番だぜ。』
林道はマイクをこっちに投げ渡してくる。僕はそれを取ろうとして、失敗してマイクは床に落ちて、ぶつかる。
―――――キィーーーーーーーーーンンッッ――――――――
『お前、せめてスイッチぐらい切っとけよ!切るだろ普通は!』
『良いんだよ少し位普通じゃなくたって!ていうかそのぐらい取って見せろよ。』
ムカつく顔で笑いやがる。親の顔が見てみたいもんだ。そして文句を言ってやるんだ。御宅のお子さん授業中寝てますよって。
そして僕のいれた曲が始まる。
良く聞きなれたメロディが流れる。これを聞いたことのない奴はいないだろう。
林道は少しムッとした表情になる。
僕は最近流行った映画の主題歌を入れていた。