九話目
ふぅ、何とか今年中に更新できました。←(クソ野郎)
『穏やかなー****』
『****ぅーーーー。』
歌い終わってマイクのスイッチを置いて林道に手渡す。
『なんだよ。普通に上手く歌いやがって。』
『お前も流行りの歌ぐらい覚えろー。話膨らんで楽しいぞ。』
『つまんねぇなぁ。』
―――よしっ――
と何を思いいたったのか林道が少し気合いの入った声をあげる。
『ならば俺はお前が歌いたくなるまでこの歌を入れ続けるまでってことだな。』
『なんでそうなるんだよ。せめて別のにしろ!』
『別のならいいんだな任せとけ。』
笑いながら、ふざけたことを言うやつだ。
ただ少し可笑しく思ってしまう。
『お前の英語力で洋楽は無理だって、英語の成績グチャグチャじゃんか。』
『成績は関係ねぇの!ハート!そう大事なのはハートなんだよ!俺はハートフルなの!』
『馬鹿かよ。』
林道が入れた曲がまた流れ出す。また楽器が喧しい、賑やかな曲だ。
でも、これは…。
『お前これ邦楽じゃねぇか。』
耐えきれなくなって声に出して笑ってしまう。どうやらこいつも自分の無茶に自覚はあったみたいだ。
『良いんだよ好きなことには変わりないんだから!』
懐かしい歌詞を日本語で林道が歌いだす。これまた今風とは言えない青臭いパンクソングだが。
なんだよ、普通に歌えば普通に上手いんじゃないか。声量もあって何やらパワフルだ。
歌い終わって。ほらとまたマイクを渡してくる。今度は投げることはなく、
―――ゴロッゴロゴロゴロゴロ!ガガッ!!―――――
テーブルを転がしてきた。
『クっククッ、、、だからマイクは切っておけって。』
大きな音を立てながらチマチマ転がってくるマイクがなんだか可笑しい。
『今度は本当に忘れたんだよ、さっさと入れろー。待たせるなよ。適当でいいぞ適当で。』
前回は確信犯だった訳ですか。
適当とはよく言ってくれたものだが、確かにこんなやつに余計な気を使う必要もなかったのかもしれない。偶にはこういうのも良いかと、僕も適当に好きなのを入れる。
少しだけ退廃的な歌詞を気だるげに歌いあげる。クラス会なんかで歌ってしまったら、まず間違いなくしらけさせてしまう様なやつだ。
『おぉ乗ってきたな、んじゃまぁ俺も。』
そうして僕達のカラオケは続いて、何だかんだ楽しめている。何だかんだ楽しめてはいるものの、流石に昼飯を平らげて、1時間ほど経つと疲れてくる。中だるみというやつだ。
いや良く持った方だろう、男二人でもうじき5時間だ。
僕達は一体何をしていたんだろう。
・・・・・・死にたい。
『いやーすっきりしたな!』
『いやーすっきりしたかもしれないけど、残ったのは虚しさです。』
『馬鹿やろう!考えるな!そんなこと!』
『まぁ今度は、祐樹が、佐伯ちゃんと、そっちの部長さんを連れてきてくれるはずだよな、な!』
『無理言うな。自分で誘ってくれ。…。というか部長とはちょっと。』
というか、しれっと佐伯さんのことをちゃん付けで呼んだな。こんど是非実際に読んでみてほしいものだ。どうせこいつには無理だが。
『なんだ、佐伯さんは良いのか。やらしいなぁ、おい。』
ほら早速さん付けに戻っている。どうせこいつはこの程度だ。なんじゃく者め。
いや今はそれよりも。
『なんでそうなるんだよ!単純に!部長はちょっと面倒そうなだけだ!』
『お前最低だな…。』
『誰が面倒だって?』