設定集その1
第1話終了時点までで明かせる設定集です。これさえ読めば、話の流れも大体分かると思います。
【ネル・パース】
物語開始時点では17歳である女性旅商人。7歳までは、豊かな家庭で育った普通の女の子であったが、とある事件により両親を失い、孤児院で暮らすこととなった。
孤児院の子供たちとは反りが合わず、「こんなところ、さっさと出て行ってやる」と思っていたが、規則により14歳になるまでは出られなかったため、その間には言語学や経済学の本などを読み漁り、旅商人になるための猛勉強をした。
その甲斐もあり、5ヶ国語を話せる言語力と5桁同士の掛け算でも一瞬で暗算できる計算力、一度会った者の名前と顔は絶対に忘れない記憶力を身につけて、14歳の誕生日に旅商人として孤児院を出た。彼女とともに旅をしているユニコーンであるパトリシアとは、そのあとすぐに出会った。
趣味は読書や日記を書くことであるが、その他の娯楽全般も好きであり、格闘大会の見物やギャンブルもする。
また、「遊ぶ時は思いっきり遊ばないと心の栄養失調で死ぬ」という持論を展開し、食事や観光なども贅沢に楽しみ、実に多種多彩な趣味を持っていると言える。しかし、自分の身体を動かすことだけは苦手である。
容姿については、「美少女」と自画自賛の自己紹介をすることもあるが、実は極度のタレ目であることがコンプレックスである。しかし、それ故に愛嬌のある顔であり、初対面の印象で相手に嫌われることはほとんどないのだが、ネル自身にはその自覚はあまりない。
また、孤児院で教わっていた宗教の影響で、首にはいつも十字架のペンダントをぶら下げている。服装については、一応おしゃれにも気を使っているが、動きやすいラフな格好を好む。
7歳のときに起きた事件以降は、「自分の利益のためなら、他人なんて蹴落とすべき」だと考えて行動をしているつもりだが、根が善良過ぎるため、結局は困っている人は見過ごせずに助けてしまう。
今回起きたエターナルドリーマーの事件についても、一見嫌々なように見えて実はノリノリで首を突っ込んでいる。そんな彼女だからこそ、奇跡を呼び起こせるのかもしれない。
【エメラルド】
女神ダイアモンドを妄信する糞真面目な妖精であるが、自身は無力であるため、問題の解決については他力本願になりがちである。猪突猛進で暴走することもあるが、悪気は一切ない。
エメラルドと言うだけあって、髪も服も全て緑。ズボンは履かず、ミニスカートを履く。妖精であるため、非常に小さく背中に羽が生えているが、人間の年齢で言えば12歳くらいに見えるロリ顔。
天界にいた頃は他の妖精たちに落ちこぼれと言われることもあったが、一人前の努力で見返してやろうと奮起しているあたり、ネルとは似た者同士である。最近悲しいことは、甘い物が好きなのに、身体が小さくてあまり食べれないことである。
第1話の事件解決後は、密かにネルのことを「最高のパートナーになれるかもしれない」と信頼しているが、口にするのは恥ずかしいので言わない。
【現実世界】
1012年前、初代魔王ディアボロスがエヴァンスという人間によって倒され、彼は世界中から英雄として崇められた。そして、彼の栄光を忘れないようにという理由で、世界中の年号が「L.E.(レジェンド・エヴァンス)」と改められた。それ以降も、別の魔王が度々現れ、人間の世界を侵略しようとしたが、その度に勇者や英雄などと呼ばれる人間も現れ、世界を救った。
現在は、科学技術も大きく発展し、携帯やノートパソコンといった物も普及している。これらは魔法科学と呼ばれる技術で開発された物とは、別物である。
科学で開発された物は機械、魔法科学で開発された物はマジックアイテムなどと呼ばれるが、両者の違いは分かりやすく言えば、エネルギーの違いである。電気、ガス、石炭、石油などで動く物は機械であり、魔力で動く物はマジックアイテムである。
世界一の大国であるヴァルバラッド国の他国侵略が落ち着いてからは戦争や紛争などは少なく、比較的平和な時代であると言えるが、貧富の差は激しく貧困層の者が飢えて死ぬことは多い。この世界での一番の課題は経済格差を埋めることであると言えるだろう。
【夢の世界】
エターナルドリーマーと呼ばれる者たちが創造し、彼らにとりつく夢魔たちが設定を膨らませ、生み出された幻想の世界。永遠に眠り続ける者たちが現れ始めた頃は、エターナルドリーマーとは病気の一種であると言われたが、実際には夢魔ナイトメアとその手下たちが引き起こした事件であった。夢魔とは、人の夢の中に現れる悪魔のことである。
天界に住む女神ダイアモンドは、夢魔による事件であることに逸早く気付き、自身の魔力でマジックアイテムであるウェイクリングを開発し、同じく天界に住む妖精たちに「下界に住む強い人間たちにこれを渡し、夢魔を倒してもらうように」と命令した。
このウェイクリングさえ指に嵌めていれば魔力をほとんど持たない人間でも夢の世界へ入ることができるようになるが、同時に複数人の人間が夢の世界へと入ると、エターナルドリーマーの負担は大きくなる。(余談だが、魔力を一切持たない生命は存在しない。程度の差があるだけである)
夢の世界では必ず、夢魔だけではなく、エターナルドリーマー自身が自己投影する存在もおり、ネル・パースはこれを「メアリー・スーである」と言って揶揄する。
また、彼女は夢魔と戦う者たちのことをドリームダイバーと呼ぶが、これも彼女がノリで言い出しただけであり、他の人間の間には全く浸透していない。
ちなみに、夢の世界の住人には夢魔を倒すことはほぼ不可能である。何故なら、夢魔は夢の世界の住人や事象であるなら『設定変更』によって無力化できるからである。
つまり、夢魔を倒せるのは『設定変更』の影響を直接的には受けることがないドリームダイバーしか存在しないということである。しかし、この『設定変更』も、エターナルドリーマーが少しでも望んでいる設定にしか変更できないため、万能ではない。
そして、ドリームダイバーも『設定変更』に似た力を扱うことができる。それは、自分が想像した物を創造することができる能力『夢幻創造』である。これにより、何もないところから武器を出現させるといったことができる。