思いたったが吉日の嘘
初投稿となります、よろしくお願いします。
ペンネームの由来は、小学校の友達のペンケースに虫喰林檎が描かれていたことからです。
・・・・・・心底どうでもいい。
私は思うのだ。
世間一般的に、恋人がいる人のことをリア充と呼ぶ。そう、恋人がいるかいないかでは、世間からの評価がまるで違うと。
「そんな訳で、今年もメリークルシミマス!!」
と、女子だけのパーティーの途中で、私の友人がその眼におっきな雨粒を溜めて言っていたくらいだ。零れなかったけど。空を仰いでいたけど。
サンタさんだか赤いおじさんだか知らないけど、クリスマスってそんなにめでたいのだろうか。
試しに中学生の頃、わざわざ靴下も用意して、好きなバンドのCDの名前を書いた紙を入れて、おまけに二分くらい祈りを捧げてみた。
翌日、既に持っているCDが露骨に入れてあった。トナカイがやったと言ってもいいほど嫌がらせに磨きがかかっていた。「どうしよう・・・泣きそうだ・・・。」
先程の友人が空を仰ぎつつ、ふと呟いた。
ちなみに現在時刻、クリスマスの深夜11時、パーティーが終わった後。現在地、誰もいない公園。いや誰かいたら怖いけど。カップルなんていたら、それはもうキャッキャウフフな状況になるだろうな。
ここまで力説しといてなんだけど、別に私は彼氏を作りたい訳じゃない。
今、彼氏を作ったとして、自然消滅への期待が高まるだけだろうし。ちなみに私、高校一年。ピッカピカです。
確かに自然消滅に関しては一年の猶予があります。ですが両思いというゴールを築くのがどれ程大変か分かるはずです。ギィギィ音をたてるブランコは、その体で女子一人分の重さを支えながら小さく揺れる。時々、その音は泣いているようにも聞こえた。友人とブランコの泣きすする相乗効果で私も・・・・・・なんてことはない。
でも考えるものはあった。いつまでもリア充を叩く哀れな人間のままでいいのだろうか・・・・・・って、訂正。非リア充は自分が哀れだと思わぬようにと世界を歪ませて幸せだもんと思っているのに、あまりにも禁句なことを言ってしまった・・・・・・まぁ、もう後には引けないくらい、自分を袋小路に追い込んでしまったので、やっぱり訂正はしない。
思いたったが吉日。
ならば日付が変わる前に宣言しよう。
「ねぇ、希美・・・・・・。」
私は友人の名を口にする。
「私、リア充になろうと思う。」
「・・・・・・はい?」
希美は、視線をこちらに落とし、溜まっていた雨粒を地に落とした。拍子抜けの雨が、その場所にだけ落ちた。私が彼氏についた嘘、ただいま0回目。