好きになった女性が戦闘民族だった件について
初執筆です.どうぞよろしくお願いいたします.
小さいころのわたしはというと,自分が乙女ゲームの主人公になる妄想ばかりやっていた.たくさんのイケメンたちに囲まれてみんながみんな私を取り合ったり...なんて,そんな想像をしては,一人ベットの上で悶えてみたり.だから,当然現実でも,まわりの女友達がそうであるように,わたしも男の人を好きになるんだろうと思っていた.....彼女と出会うまでは.
***
「さくちゃん!わ,わたしと!」
熱くなった頬が窓から吹き込んだ冷たい風によって少しだけ冷やされる.体が震える.これは果たして緊張によるものなのか,さっき吹き込んだ風のせいか.教室にいるのはわたしたちだけだから,あたりは静寂に包まれていて,せいぜい聞こえてくるのはグラウンドにいる運動部の掛け声くらい.それもあってか,心臓のドクドクという音が体をつたって耳の奥ではっきりきこえる.それはもう,周りに音が漏れているんじゃないかと心配になるほど.立っているのがやっとだし,今すぐにでもここから逃げ出したいけど,わたしは決めたのだ.
目の前の女の子はおそらく,わたしが何かとんでもないことをいいだすことを悟ったみたいで,ゴクリと息をのんだのだろう.彼女の小さなのどぼとけが,うっすら動いたような気がした.緊張している顔もめちゃめちゃにかわいらしい.と,今は見とれている場合ではなかった.天使か女神かと疑うほどやさしい顔立ちをした彼女の瞳は,明るく透き通った茶色をしている.
ひとたびそのまなざしを向けられただけで崇めたくなってしまうような,そんな瞳にしっかりと焦点を合わせて,そして,
「恋人としてつきあってくれませんか!」
言った.言ってしまった.その瞬間,風がバッと吹きこんできて彼女の茶色がかった長い髪がなびいて,白く透き通るような肌が太陽の光に照らされる.突然の事態に平静を取り繕う暇もないのか,いつものおっとりとした雰囲気はそこには見当たらず,彼女は目をパチクリしばたかせている.一瞬の沈黙の後,やっと状況を理解したのか,「あー」と小さく声を漏らし,それにつづけて
「えーっとね,ゆきちゃんごめんね,わたしは....」
ああ,これはフラれるな.一瞬にして悟った.まあ,そりゃそうだよね.私女だし....いや,もし私が男だったとしてもきっと...
「恋人は自分より強い人じゃないとダメなの!」
「..............へ?.....」
....私が好きになった子,佐藤さくさんはもしかすると戦闘民族だったのかもしれない.
つづく.....かも?




