第4話 気が合う仲間
ルカはポツリと涙を流し、俺らを見て安堵したのか優しい微笑みが溢れていた。
「良かった….. 部屋に居なかったから。 私、二人に置いてかれたのかと....」
リエルは涙を流すルカに飛んで近づき、浮遊魔法でタオルを浮かばせ涙を拭いてあげた。
「ごめなさいルカ.... 昨日あんな事言っちゃって。
全然ロイはおかしくなかったわ。 アタシの勘違いだった... 本当にごめん」
「わ.... 私も怒っちゃってごめん...」
「ルカ〜! 泣かないで〜!」
そう言ってリエルはルカのほっぺたをなんとかして上に引っ張ろうとしていた。
俺は特になんもしてないけど... 謝っとくか。
「心配させて悪かったな。 ちょっと俺の体の事で相談があってよ」
「ロイの体...? ロイの体がどうしたの?」
俺はリエルに言っていいかをアイコンタクトで聞き、許可が出たので言うことにした。
まず、俺の体はルカと同じ魔力超過者である事。
そしてその魔力が魔法の計算式を狂わせ魔物が作り出せたり腕などを魔物にする事が出来ること。 そして首にある魔紋の事を伝えた。
ルカは今までそういうのを学んでこなかったのか、ずっと何も分かってなさそうなマヌケな顔をしていた。
ただ、魔王の側近の話だけは少し興味深そうな顔をして聞いていた。
ルカは勇者に憧れてる一剣士だ。 魔王の話となれば食いつくのも無理はない。
「つまりロイは私と同じような体質で、凄いヤバい人に育てられたって事よね?」
「まぁ、そうだな。 でも幻滅しないのか? 旅を共にする奴が魔物に変身したり産み出す奴でよ」
「別に幻滅したりなんかしないわよ。 ロイの個性じゃない」
「個性か....」
俺は右手を見ながらそう呟いた。 ルカは俺の首に手を回し、 首にある魔紋を見た。
「コレも似合ってて良いじゃない。
例えそのライって人が付けたんだとしても、悪い事に利用しようとして付けたわけじゃないと思うわ」
「まぁ、、 ライは優しい奴だからな。 でもありがとよ。 個性って言ってくれて」
「思った事を言っただけよ。 これから一緒に旅をしていくんだし、思ったことは素直に伝えてかないとね」
「そうだな... 俺もそうするよ」
「じゃあアタシも!!」
リエルが飛んで俺に近づこうとしてきた瞬間、リエルの腹の音が鳴った。
「てへ.... お腹鳴っちゃった。 昨日ご飯食べれてなくて....」
「確かに.. そう言えば私も食べてない!」
「俺は腹空いてねぇし、コレで街にある食事屋さんで朝飯でも食ってきたらどうだ?」
俺はそう言っていつも常備している小さな魔法袋から金貨を三枚取り出した。
金貨を見るや否やリエルとルカは目を点にして驚いていた。
「き、 き、 金貨三枚!?」
「アタシ達持った事すらないわ!!」
「冒険者協会とかで依頼こなしたり色々したら結構貯まったから、それなりに貯蓄はあるんだ。
俺はあんま金使わん人間だから使ってくれていいぞ」
「こ、こんなには受け取れないよ!! ロイは金貨一枚が銀貨何枚分の価値か知ってるの?」
「10枚とかか?」
「100枚よ!! 100枚分の価値があるのよ?」
「まぁ、 結構価値あるんだな。
でも金貨はまだまだあるから使ってくれよ。
ルカとかリエル装備とか服とかあんま持ってないだろ? それで買ってくれよ」
「確かにないけど... ロイのお金を使う訳には...」
「俺のお金はみんなのお金だ。 もちろん俺も使うは使うがな。
でも基本使わねぇから、 ルカ達が有意義に使ってくれよ」
ルカは少しため息をついたあと、金貨を受け取った。
「どうせ断っても無理矢理渡してくるんでしょ? まぁ、でもありがとう。
コレでご飯や装備とか整えてくる。 いつか、 お返しとかした方がいい感じ?
その... 恥ずかしいのはナシで...」
ルカは体をモジモジさせていた。 なんだコイツ..
「んなのいらねぇよ。 魔物狩ってくれたり、遺物探し探してくれるだけで十分だ」
「優しいんだね.. ロイは」
「そうか? 別に普通だと思うけどな」
「優しい通り越して聖人よ!! ロイ、 アンタは凄く良い人よ!!
流石 『願いの力』 が認めた男!」
俺はその言葉を聞いた瞬間、少し嫌な予感がしたが変に追及して場を凍らす訳にはいかない...
俺はその話を流す事にした。
「『願いの力』使ったんだな...」
「私が小さい頃に使ったの。 も、 もちろん何を願ったかは秘密だけど...」
ルカはそう言って頬を赤く照らしていた。
「まぁ、『願いの力』を使うのは自由だしな。 幸せになってんだったらいいか」
「出会って1日も経ってないけど私は幸せよ!! 初めての旅、初めての仲間、初めての金貨!!
私の知らない世界ばかりでとっても楽しみに溢れてる!」
「なら良かったじゃねぇか。 俺も仲間にお前を選んで良かったよ。
じゃ俺はこの後ちょっと用事があるから先に出る。
部屋の鍵はルカに渡しとくぞ。 ほらよっ」
俺はルカに鍵をヒョイと投げて渡し、手を振って部屋を出た。
にしてもなんで俺達は風呂場で話をしてたんだ? もっとなんかこうあっただろ。
俺はさっきの状況を思い出し少し笑いながら村長の家へと向かっていた。
銀貨一枚は日本円で500円ぐらいです