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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第3話 魔紋と魔力超過者

外の光が微かに窓から部屋に入ってくる早朝、俺は目を覚ました。


俺は脱いでいた上着を羽織り弱っていた暖炉の火を強くした。

荷物の中から今日の服を取り出しに行きながら俺は横目でルカが音で起きてないかを確認した。

そこそこ音を鳴らしたから起きたかと思っていたが、ルカはスヤスヤと寝息をたてながら寝ていた。だが、 ルカの寝顔は幸せそうな寝顔じゃなく苛立ちに溢れた寝顔だった。


まぁ、そりゃそうだろう。 リエルとやらに布団を少し捲られ、更には顔面を少し蹴られてるからな。 どんだけ寝相悪いんだよ、 コイツ。


ルカも布団を奪われてさみぃのか体を震わしていた。

俺は起こさないように布団の端を持ちルカにかけようとした。


だがその時リエルが目を擦りながら起きてきた。


「ふわぁ〜.... よく寝たぁ。 やっぱ魔力の使いすぎってよくな...?」


「....」


数秒間俺とリエルは目を合わせ続けた。 先に声を上げたのはリエルの方だった。


「な、 な、 なにしてんのよ!!」


リエルはそう言って俺の顔面の前に飛んできた。


「何もしようとしてねぇよ。 誤解だ、誤解。 

 寒そうにしてたから布団を被せてあげようと思っただけだ」


「嘘よ、 嘘!! じゃああんたのその手に持ってる服はなんなのよ!?」


「風呂場で着替えようと思ってた俺の服だよ。 

 着替えに行くついでにたまたまこれを見つけてしようとしただけだっての」


「ほんとに〜?」


リエルはそう言いながら俺の目に近づいてきた。


「ほんとほんと。 大マジ大マジ。

 俺が嘘ついてたら燃やすなり凍らすなりして良いから信じてくれよ」


「ま、まぁ...? そこまで言うなら信じてやらない事もないかしらね。

 つ、 次はないわよ!」


「次がねぇ様にちゃんとした寝相で寝てくれ。 んじゃまぁ着替えてくっから」


俺は掛け終わった布団から手を離し風呂場へと向かう為のドアノブに手をかけた。

だがまたもやリエルが俺の目の前に現れてきた。


「ちょっと待ちなさいよ!!」


「.... 今度はなんだよ」


「あ、 あ、 アンタが何か怪しい事をしてないか確認する為について行ってもいいかしら!?」


リエルはそう言いながら頬を赤くしていた。


「は.... はぁ? お前自分で何を言ってるのか分かってるのか?」


「私は大精霊 リエル様よ? バカじゃないわ」


「お前今、堂々とあなたの着替えを覗いても良いですかってその本人に聞いてんだぞ?

 俺がもし女だったらお前問題発言だぞ」


「アンタが危険な事とか危ないモノとかを持ってないか確認するためよ!!」


「いやまぁ... う〜ん... あぁ... はぁ、、 分かったよ。 

 でもまぁ多分お前は俺の上裸を見るだけだぞ?」


「ふ、ふん!! さっさと連れて行くかしら!」


そう言ってリエルは俺の肩に乗ってきた。


マジでなんなんだコイツ。 図々しいしうるさいし。 

てかなんでこの声の大きさでルカは起きてねぇんだよ。

コイツもコイツなら、 アイツもアイツだな...


______________


風呂場に着いた俺はリエルをフカフカのタオルに乗せて、腰にタオルを巻きつけた。


「なんで腰をタオルで隠すのかしら? まさか見られたくない物でもあるんじゃ!」


リエルはフカフカのタオルで寝転びながらそう言ってきた。


「見られたくない物は付いてるな。 だから巻いてんだよ。

 それは脱がないけど見られんのは流石の俺でも嫌だからな」


「見られたくない物....? あっ... あの... えっ..」


「気付いてんならもういい」


俺はパジャマを脱ぎ始めていった。


寒さ対策の為に着ていた上着を脱ぎ、その下に着ていた二枚の服も脱いだその時リエルが声をかけてきた。


「その首に付いてるのって魔紋かしら?」


リエルは手で輪っかを作りその中を片目で覗きながら俺の首の後ろを見ていた。


「あぁ、そうだな。 魔紋だな」


俺の首には魔紋と呼ばれる紋章が付いている。

魔紋と呼ばれる物は大体上級の魔物やそれ以上の魔物に現れる紋章だ。

だが魔紋は魔紋でも色々種類がある。


「その形は魔物に現れる魔紋じゃなくて... 主従の魔紋かしら?」


「へぇ〜... そうなのか。 主従の魔紋って言うのか」


「え? 何? 知らなかったの?」


「あんまり魔紋に詳しくねぇからな。 それとあんまりこれ気にしてないしな」


「....? アンタ何を言ってるの?

 主従の魔紋の主の方が貴方の首に付いてるのよ? つまり貴方が誰かに魔紋を付けたはずよ?」


「.....はぁ? 俺がコレを誰かに? んな記憶ねぇぞ?」


「それと首の横側に付いてる魔紋... それは服従の魔紋。  それも貴方が主人側だわ」


「....? それも主従と一緒で俺が誰かに付けたのか?」


「基本... 基本はその方法じゃなきゃその魔紋は付かないわ。

 でも、 魔龍級の魔物ぐらいだったら魔紋を好きに操れるわ」


「魔龍級って魔王級の一個下の奴か...」


「えぇその通りよ。 ....アンタ一体何者なの?」


「普通の人間! とは言えないな....

産まれた時の事なんか覚えてねぇし、俺の事を育ててくれたのも魔物だしな」


「魔物に育てられたぁ!? 名前! その魔物の名前は?」


「魔物って言ってのは間違いかぁ...? 見た目が人間だったからな...

 ん〜... どちらかと言えば魔人か?」


「魔人にしてもよ!!  魔龍級の魔人なんか指で数えるくらいしか居ないわ!」


「アイツの名前はライ•アスヴェロニクス。

 長いからライって呼んでくださいって言われてたな」


俺がそう言うとリエルは寝転んでいた姿勢から一変してどんどんとどんどんと俺から離れていった。


「ラ、 ラ、 ラ! ライ•アスヴェロニクス!? 魔王の側近の一人じゃないの!!

 な、 な、 なんでライがアンタの世話を!?」



(ライ•アスヴェロニクス...

 あの時代を生き抜いた私は良く知ってるわ!! 白髪の長髪で白と黒の目のオッドアイ!! 

 そんな情報を仲間から聞いた事があるわ!! それに他の側近も...!)


私が心の中で喋っているとロイが私やルカに見せる無表情で冷酷な顔じゃなく

少し驚いた面持ちで立っていた。


「アイツ魔王の側近の一人だったのか...? 俺今初めて知ったぞ?」


「は、、? はぁぁぁぁぁぁ!? アンタほんっと自分で何言ってるか分かってるの!?」


「いやだからマジで知らなかったんだよ。

 俺も今お前にそれ言われて驚きで押し潰されてペチャンコになりそうだぞ?」



「アンタを育てたその魔物...

 いや魔人は 『無慈悲』のライ、 『戦慄』のライ、 『狂人』のライと言われた女魔人よ」


「女ってぐらいは分かってるよ。 育てられたから」


「いやまぁそれはいいとして!! なんでそのライがアンタを育てたのかが謎でしかないのよ!」


「ライに聞いた事あるがこう言ってたぞ。


『魔王なき世界。 私は主人の命令に忠実に動くだけです。

 貴方はその命令の途中に居たか弱き少年。 私は貴方に将来を感じた、そして愛を感じた。 

 ただそれだけです』 ってな」



「狂人と言われたライがそんな事言うわけ.... いや、 でもあり得るのかしら?

 ライは子供を殺さないって話も聞いた事あるにはあるし...」


「まぁ確かにメチャクチャ優しかったな...

作ってくれた飯も美味かったし、 水浴びの時体を洗ってくれたりしたしな...」


「....なんか私の中のライのイメージと違いすぎて倒れそうだわ。

まぁ、でもアンタがヤバく感じた謎は今解けたわ。

側近のライに育てられたり、 ライから魔紋を付けられたからアンタからは魔王の幹部から感じた

同じ魔の波動を感じたのね」



「もしかしてその魔紋のせいで俺の魔力量とかがおかしくなったのか?」


「いや、魔力量は魔紋でどうにかなる代物ではないわ。

 人の魔力量はその人その人で違うわ。

 まぁでもアンタの場合ならあり得るかもしれないけどね」


「んじゃ... 俺の体もライが?」


「....? アンタの体がどうかしたの?

 魔力量はルカと同等レベルでおかしいけど、他におかしな所はないわよ?

 まぁ... 若干魔力が濁ってはいるけど..」


俺はリエルに体の事を打ち明けることにした。


「俺の体.... 魔物に変身させる事が出来たり魔物を召喚したり出来ちまうんだ」


リエルはフカフカのタオルの上で立ち上がり服を着替え終わった俺の前に立ち、魔法かなんかを使ったのか少しサイズが大きくなった。

手のひらサイズから、コップサイズに大変身だ。


「こんな感じの変幻魔法がおかしく作用してるだけじゃないかしら。

莫大な魔力量のせいで、 魔法の中の計算が狂ってるんだと思うわ。

それと召喚に関しても、 召喚魔法が狂ってるだけだと思うわ。

基本の召喚魔法は物やヒトの形をした魔力の塊や物などが召喚される。

でもアンタは計算が狂ってるせいで出てくるのが魔物になってるだけだと思うわ」



「つまり.... 莫大な魔力量のせいで色々魔法にエラーが起きてるって事だな?」


「おそらくそうよ!!

 この大精霊リエル様が言うから間違いはないわ!! どう? 偉いでしょ!!」



魔法に精通してる精霊が言うからには間違いがないのだろう。

少なくとも俺よりは百倍詳しい人物だ。 良かった... 良かったぜ。  あそこで見捨てる判断をしなくてよ。



「俺の悩みが解けてマジで良かったよ!! ありがとなリエル! 偉い、偉いぞ!」


「頭を撫でてもいいのよ? アンタはルカに認められてる男だからね!!」


「じゃあまぁ... 遠慮なく」


俺はリエルの頭を優しく撫でた。

するとリエルは 「えっへん!!」 と言って笑顔で喜んでいた。


まぁでも本当にマジで感謝だ。 流石大精霊 リエル。 いやリエル様と言うべきか?


旅の早々にして悩みの種だった俺の体の謎が解けた!

そのままこの調子で俺の謎を解いていければ!!


そう心の中で思った時、風呂場のドアが開いた。


俺とリエルは目を合わせ、横を見ると泣きかけのルカが立っていた。


「あ」


「あっ....」


さっきの騒いでいた状況から一変して一気にこの場が静かになった。


コレはまずいぞ...


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