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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第三十一話 新魔法と獣人王国

リーニャの部屋の前に着いた俺とミャルルはノックをした。


「リーニャ居るか? 急に来てすまねぇが今話出来るか?」


数秒静かな時間が続いたが、リーニャが俺達の存在に気付いたのか返事を返してきた。


「は、はい!! 入ってきても大丈夫です!」


「んじゃあ遠慮なく」


俺はデカいドアノブに手をかけドアを開けた。


リーニャの部屋は流石王女と言うべきか。

隅々まで綺麗にされ、ベットはなんかよく分からんフワフワの布に覆われている。


それに床はおそらく、魔獣の皮の絨毯が敷き詰められている。 だから、城の入り口で靴を脱がされたんだな。 踏み心地があまりにも良すぎる。 ずっと踏んでいたい踏み心地だ。


目的であったリーニャは大量の紙が置かれた机の前に座り、紙に何かを記入しハンコを押し記入しハンコを押しという地獄みたいな作業を黙々と続けていた。


「私今、色々書類に追われててちょっと忙しいんです。 お兄様が居た頃は、お兄様がやってくれてたんですけど、お兄様が居なくなってからは私1人でやってて...」


「カルトは手伝ってくんねぇのか?」


「カルトはこういう作業が苦手ですから... それに、一回頼んでみた事がありましたが

 凄く嫌な顔をされたので辞めたんです。


 カルトは気に入らない事は、とことん気に入らないですからね」


「まぁ... 色々と苦労してるんだな。 今日、お前に会いたいって人が居るんだが

 忙しそうだし今日は帰ったほうが良いか?」


「いえ、大丈夫ですよ。 積み上がってる紙はもう目を通して済んでいますから。

 後... 10枚ぐらいで終わりですよ。 私に会いたいと言う人は... 誰なのでしょうか?」


リーニャは持っていた紙を机に置き、俺達の方を見ると、持っていたペンを落とし勢いよく椅子を立った。


「ミャルル!?」


「リ... リーニャちゃん! 本当に来て大丈夫だった?」


「もちろん!! 王女たるもの仕事は終わらせてるよ!」


「わ、私今日師匠からの伝言を伝えに来たの」


「ちょっと待ってねミャルル。 椅子を用意するから」


リーニャはそう言い部屋の隅に行き、置かれている椅子を持ってこようとしていた。

でも、どう考えてもリーニャからしたら重たいはずだ。


「俺が持つよ」


俺はリーニャの元に行き、三つの椅子を持ち

紙が置かれている机とは違う机に椅子を置いていった。

もう一個の机には菓子や飲み物が置かれている。 来客用に色々といつもから準備しているんだろうな。


俺とミャルルとリーニャは椅子に座り、飲み物を飲んだ後ミャルルがさっきの話をまた喋り始めた。


「それで... えっと今日はね? 師匠からの伝言を預かっててね。

 

 『雪国のお嬢よ、其方に向かえず申し訳ない。 

 獣人王国は今、醜い権利争いが起き情勢が良くない。 

 前にした協力の約束を果たせなくて申し訳ない。

だがお嬢。 お嬢は一人で無理をして背負う事が度々ある。 話ぐらいなら妾でも聞ける。 

悩みや苦しい事があるなら妾に聞くと良い。 返信は遅れてしまうかもしれないが、絶対に言葉は返す。

今回はこの様な形になってしまってすまない。 孤族を守る為にも、今この国を離れる事が出来ないのだ。


本当に本当に申し訳ない』


「師匠はそう伝えてと仰っておりました」


「私達の問題だからそんなに心配しなくても良いのに... 本当師匠さんは良い人だね」


「それと.... 師匠からお願いがあるんだけど..  言って良いかな?」


「もちろん大丈夫だよ。 師匠さんのお願いなら私、なんだって聞くよ!」


「その... 師匠から国のイザコザが終わるまでリーニャちゃんの所に避難しろって言われてて....

 ダメなら他の所を探すんだけど...」


リーニャは怯えるミャルルの肩を掴んで、優しく微笑んだ。


「ダメな事なんてないよ。

 でも... 私の国も今安全とは言えない状況だから、ミャルルが嫌じゃなければ他の国にお願いして

 避難させる事が出来るけど... どうする?」


リーニャがそう言うと、ミャルルは尻尾を大きくさせた。


「いや! 私はリーニャちゃんの所が良い!! し... 師匠から聞いたの!

獣人は人から襲われやすいって!! リーニャちゃんやロイさんが居ない所は... 怖いの」


「うん... 分かった。 じゃあ落ち着くまでここに居てて良いよ。

 でも、本当に安全とは言えないから何かしたいなら私かロイさんに聞いてくれる?」


「.... あ? 俺もなのか?」


「ミャルルから凄い信頼されてますから。

 ミャルルがロイさんに甘えてたのも、匂いで信頼出来るって分かってたからしてたんですよ?」


「でもよ... 俺も俺で色々とやらなきゃいけない事が多いんだぞ? 

 構ってられる暇があるか分からないぞ?」


「そんなペットじゃないんですから... 私。 リーニャちゃんのお仕事手伝いますよ」


「まぁミャルルに構ってあげれるのは、この国のイザコザが無くなった時だな」


「本当... この件に関してはありがとうございます.... 感謝してもしきれないぐらいの感謝の気持ちでいっぱいです...!」


「イザコザ....? リーニャちゃんの国も何かマズい事があるの?」


ミャルルからそう聞かれたリーニャは、リヒトが居なくなった件や大怪盗ルルの話をした。 

ミャルルは話によって、尻尾を太くしたり耳がぴょこぴょこ動いたりしていた。


「私があっちに居た間にそんな事があったなんて.... だから獣人王国に来た時リヒトさん居なかったんだ」


「お兄様は今、頼れる人達に捜索をお願いしてるから多分そろそろ報告が来るんじゃないのかな?」


「だと思うぜ。 ロロ達の岩撤去ももうそろそろ終わりそうだったからな」


「『ガルムンドゥフェン洞窟』にお兄様が居なかった時はもう...」


「革命を起こし成功させる... これが出来るって事は相当頭が良くないと出来ない。

そんな頭の良い奴が妹を置いて死ぬと思うか?」


「いえ... お兄様はそんな事しません。 いつ何時も私を大事にしてくれていましたから」


「て事は何か手を講じてるはずだ。 

 リヒトは恐らく、革命を起こす前から犯人に狙われていたんだ。 

 だが、リヒトは狙われているのに気付いていた。 

 でもリヒトには犯人をどうする事も出来なかった。

 だから俺やロロ達みたいな奴が来るのを待つ為に何かを考えたはずだ。


犯人に殺されず、犯人が寄ることが出来ない... そんな場所にリヒトは潜んでいるんじゃないか?」


「ロイさんは『ガルムンドゥフェン洞窟』にお兄様が居ると...?

 でも、あそこには死の域を纏う死龍が...」


「聖魔法で身体を覆えば、死の域みたいな特殊魔法は死なない程度には防げるからな。

恐らく、リヒトは聖魔法を使い行ったんだろうな。 

まぁ、でもその場合魔力が切れる気がするがな」


「今はお兄様が洞窟に居て生きてる事を信じるしかないですね...」


「あぁ、そうだな」


俺が相槌を打ったその時、ここに居ないはずのリエルの声が俺の耳から聞こえてきた。


(あ〜... あ〜.... 聞こえてるかしら?)


「うるせっ!!」


俺はリエルの大きな声に、耳を押さえて思わず大きな声が出てしまった。


「どうされました?」


「ロ... ロイさん?」


茶を飲んでいた2人がカップを置いて、心配した顔で俺の方を見てきていた。


「いや... なんか急に俺の耳から仲間の声がしてよ? ソイツの声が馬鹿みたいにデカくて、耳がキーンってしてんだよ」


「な、なるほど...」


(悪かったわね、デカくて。 ロイ、アンタも心の中で一回アタシに話しかけてみなさいよ)


心の中で喋りかける? こんな感じか?


(コレで良いのか?)


(えぇ良いわ! ロイの声がハッキリ聞こえるわ!)


(一体コレはなんなんだ?)


(アタシが居ない時代に生み出されてた伝達魔法らしいわ。 フローレンスから今さっき教わったのよ)


(なるほどな... リエルは学んだから早速使ったと)


(アタシ知らない魔法に関してはいち早く使いたいからね。

 でも、コレを使えば離れててもこうやって会話が出来るでしょ?)


(どういった原理で今、会話が出来てるんだ?)


(フローレンス曰く、魔力の波長を合わせて特殊な音を作りそれをお互いの魔力と調和させる事によって会話が出来るらしいわ!)


(魔力と調和....? 一体どこで... あぁ! そういや俺達サクナ村であの時魔力調整したな!)


(ご名答!! それのおかげで今こうやって会話が出来てるのよ!)


(て事は... ルカも出来るのか?)


(ルカは魔法が使えないから... 私がルカの分も発動してあげたら...)


(ど... どうかな? 聞こえてる?)


(あぁ、バッチシ聞こえてるぜ。 便利な魔法だな... こりゃあ)


(えぇ、そうね! というか、言いたい事を思い出したわロイ!! アンタ今どこに居るの?)


(獣人王国から来たミャルルって孤族の子を、リーニャのトコに連れてって今リーニャの城に居るな)


(アンタが怪しんでたカルトが今、星空騎士団に帰って来てるわよ? 凄い傷だらけだけど...)


(カルトが傷だらけ...?  ロロと会った後に何かあったのか?)


(さぁ? アタシにも分からないわ。 話を聞くなら今しかないんじゃないの?)


(あぁ... そうだな。 んじゃあ、今からそっち向かうぞ)


(えぇ、待ってるわ)


(ま、待ってるね!)


プツンと音が鳴った後、ルカやリエル達の声が聞こえなくなった。

どうやら、魔法が消えたようだ。


本当はもっと、リーニャから話を聞きたかったんだがカルトが居るとなりゃ話は別だ。


「悪いリーニャ。 仲間に呼ばれちまった」


「だ、大丈夫です! 是非行ってあげてください!」


「ミャルルもごめんな」


「べ、別になんとも思ってませんから! 私、リーニャちゃんと居ますから!」


「今度また邪魔するかもしんねぇけど、そん時はよろしくな? 

んじゃあちょっと急がねぇといけねぇからまたな!」


「は、はい! さ、さようなら!」


「バイバイ!! ロイさん!」


2人に別れを告げて、俺は急いで星空騎士団本部へと向かった。


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