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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第30話 新たな出会い

星空騎士団本部近くに来たロイは、道の真ん中で何かに困っているのか周りをキョロキョロと見ているフードを被った子供を見つけた。


ロイはまだ短い旅の中でも少しずつ成長をし、前までは考えもしない人助けを覚えた。


ロイは首元にある魔紋を隠す為に服を首元にピッシリと合わせて着て、その子の元へと歩いて行った。


俺はその子の肩を優しく掴み、事情を聞く事にしようとしたが掴みどころが悪かったのかフードが下に下がってしまった。


「おっと... 悪い悪い... こんな街中でどうし.. ってケモノの耳!? おまっもしかして!」


俺が言葉を紡ごうとしたその時、獣人から口を抑えられた。


「魔力切れで隠せなくなったから... フード被ってたのに....!! そうですよ! 

 私は獣人王国から来たんです!」


困っていた人だと思った子は、人ではなく獣人王国から来た獣人だった。

狐の耳をして耳の周りがモフモフとしている。 触ったら絶対気持ちいいタイプの毛だ。

目もクリクリで黄色の目をしてるし、手が狐の手になっている。 カワイイな。


てか、コートの後ろがもっこりしてるなと思ったら... 尻尾も生えてんのか!

すげえなぁ獣人って...


「ちょっと何ジロジロと見てるんですか! あんまり見ないでください!!

 術が解けた姿を見られるのは恥ずかしいので!」


俺はどうやら目の前のキツネ耳を長い間見つめていたらしい。


「いや悪い悪い... 初めて見るもんでな。

 てか、 そうだ。 お前こんな道の真ん中でどうしたんだ? 困ってる様に見えたけどよ」


「本当は... 門の前で隊長さんと待ち合わせしてたんですけど.. 居なくて。

 中に入って探し回ったんですけど.. 居なくて困ってたんです」


どうやらキツネ耳は俺と一緒でカルトを探しているらしい。

だが、カルトは用があるからどっかに行ったんじゃ...? 

ん? 用? この子との待ち合わせの事じゃないのか?


まぁ... 一旦ここは俺も知らないふりをしとくか。


「俺も実はカルトと話をしたかったんだけどよ... どうやら用事で忙しくなったらしくてよ。 

 今はリーニャ帝国に居ないらしいんだ。

 てか、カルトに会って一体何をするつもりだったんだ?」


「何をする... って言っても。 リーニャちゃんと話をしに来たんです。

 リーニャちゃんが獣人王国に来る事はあったんですけど...

 私から行く事は無くて、今回初めて来たんです。

 道案内を快く受けてくれたのが、カルトさんだったんですけど... 用事が出来てたんですね...

 まぁ隊長さんですもんね」


ルカ達に会いに行く予定だったが... 一旦予定変更してリーニャの元に行くか。

この子をリーニャに会わせる為と、リーニャから話を聞く為に。


「んじゃ俺とリーニャの所に行くか? 俺も行く予定があったからよ」


俺がそう言うと、キツネ耳は耳をダラーんと横に下げ、尻尾をブンブンと振った。


「リーニャちゃんを呼び捨て... どういうご関係なんですか?」


呼び捨てをしたせいで、あらぬ誤解を生んでしまったらしい。

ここは誤解を解いておかないと... ルカの事件の再来が起きてしまう。


「ただの冒険者だ。 リーニャと会話する機会があってな、そこでちょっと協力を申し込まれたってだけだ。 ただの協力関係だよ」


「ふ〜ん... ならいいです。 では、私の事おぶってもらって良いですか?」


キツネ耳はそう言って手を大きく広げて、俺がしゃがむのを待っていた。


「おぶる...? なんで急にそんな...」


「魔力を供給する為に、体力を使ったんですよ。 

 そのせいでもうあんまり体力が無くてヘロヘロなんです。

それにあなた、私が隠してたこの耳を晒したじゃないですか! 

だからお詫びだと思ってください!! なんなら魔力ちょっと分けてください!! 

 ほらしゃがんで!」


「はい.... すいませんでした。 俺が全面的に悪かったです。  ... 名前は?」


「ミャルルです。 キツネ族のミャルル」


「んじゃミャルル、俺が運んでくからほらよ」


俺は持っていたバックを前に持ち、背中にミャルルをおぶった。

そして尻尾や耳を隠す為にコートーをかけた。


「いい乗り心地ですね」


「ミャルルもミャルルでモフモフしてて最高だな」


「.... セクハラですか?」


「ただの感想だよ。 ほら、動くからちゃんと掴まっとけよ」


「もちろんです」


俺は急遽出会ったミャルルという獣人に失礼な事をしこんな事態になってしまった。


まぁだが... 結果的にはモフモフも感じれたし、リーニャの元に行けるから結果オーライといえば結果オーライだ。


だが... 一つちょっと困る事があるとするなら街の人からの目だ。


小さい獣人を背中におぶって話し合ってる光景なんか人生で見るのなんか、国を出ない限り滅多にない。


変な噂が立たない事を祈る他ない。 俺はミャルルに魔力供給をしながら、リーニャが居る城へと向かった。


___________


城の前に居る兵士に事情を説明し、中に入った俺達はリーニャがいつも居ると言われているリーニャの自室へと向かった。


入ってすぐ目の前にある階段を登って、3階まで登るとリーニャの部屋があるらしい。


俺はミャルルを背中に背負って、階段を登っていった。

階段を登る最中ミャルルは俺に頬をスリスリと擦りながら甘い声で語りかけてきた。


「私... リーニャちゃん以外とまともに人間と喋った事なかったんですけど... ロイさんみたいに優しい人も居るんですね。 お師匠の言う通り... 悪い人だらけじゃないらしいです」


「ミャルルにも師匠が居るように、俺にも師匠が居たんだ。

その師匠が、困ってる人には優しくしろって教えてくれてよ。

今日あの時見たミャルルはとても困ってる様に見えたからな。 自然と体が動いたってわけだ」


「クンクン... クンクン。 ちょっとだけ... 嘘の匂いがする」


「んなまさかぁ...」


「孤族は何を考えてるか匂いで分かるんです... ロイさんからは.. なんだか良い匂いがします」


孤族の前では嘘をつかない方が良いらしい。

いやでもルカの件以降、俺は改心した。

ルカもルカで... 見捨てるつもりは.... まぁうんあるにはあったが、結局のところ見捨ててはいない。


だから俺は嘘はついてない。 たまたま俺から嘘の匂いがした... そういう事にしておこう。

とりあえずここは話を変えて...


「にしても、孤族は俺みたいな人間が居るとすぐそうなるのか?」


「そんなわけないじゃないですか... ロイさんだから安心しきって、今こうホッペをスリスリしてるんです。 人の肌は優しさを直で感じれますから」


「俺に髭が生えてなくて良かったな。 生えてたら痛みしか感じれないしな」


「私だってヒゲが生えてるんですから... なんとも思いません。

 お師匠は言っていました。 救ってくれた人には恩を返せと。

 私には返せる物なんてないから... こうして気持ちを伝えてるんです」


「優しい師匠さんなんだな。 俺も今度獣人王国に行く機会があるから、行った時には会わせてくれよ。 気が合いそうだ」


「来てくれるんですか...?  えへへ... その時は任せてください!」


ミャルルはそう言ってもっとホッペをスリスリしてきた。


孤族はスキンシップに恥ずかしがるという感情がないのか、俺が慣れてないだけなのかは分からないがとにかく距離が近い。 ルカやリエルよりも近い。


まぁ、でも嫌な気分にはならない。 モフモフした毛がホッペを触れて気持ちいいし

嬉しいのか喉を鳴らしている。


獣人と今まで接した事がないから、俺には未知の体験だった。


ミャルルみたいな奴が居る国はイザコザなんかなく... 平和なんだろうな..

別に... リーニャ帝国を悪く言うつもりはねぇが、兵士に勘違いされて襲われかけたのにその兵士

からは謝罪の一言もなく、 挙句その兵士達の隊長は裏切り者筆頭候補だ。


俺はずっと思ってる。 カルトが会議室で言ったあの言葉は矛盾の塊だった。

2人しか知らないはずの場所を当てるなんて、 不可能だ。

それに、そもそも勇者の遺物を簡単に盗まれるほどザルな警備で守られてるわけない。


それに... それにだ! なんで遺物を盗まれてるのにカルトは帝国内に居ないんだ?

隊長だったら兵士達を指揮して動かす立場じゃないのか?

休んでる間も、 捜査してる間もずっと兵士達を指揮してたのは副隊長さんだった。


役職で仕事を分けられてるのかもしれないが... だとしてもカルトは何をしてる?

王子であるリヒトは友人だろ? フローレンスは友人を思って精一杯協力をしている。

でもカルトは一切その素振りを見せない。 リーニャを... というよりこの国しか見ていない。


言葉の節々を疑え... 嘘つきが吐く言葉はどこかで矛盾の綻びが生まれる。


ライを... 俺達を殺そうとしてきたアイツらは.... その綻びが...!


強い怒りと恨みが身体中を巡ったその時、俺はまたあの時と同じ様に心臓に激痛が走った。


「ゔっっ!!」


俺はその場でよろめき、強い眩暈が起きた。 だが今回は前回と違い血は出ず、一瞬だけ痛みを感じただけだった。


ミャルルは俺の痛む顔に気づいたのか、背中に顔をペタッと付け何かを感じ取った後優しい声で頭を撫でてきた。


「今... 少しだけロイさんから邪気を感じました。

 でもそれはロイさんからじゃなく... 何か別のモノからの邪気でした。

 私には邪気を祓える力も... 邪気を寄せ付けない術もありませんが..

 ロイさんを落ち着かせる事は出来ます。


邪気を纏う人は大体何かトラウマや、怒りを抱えています...

ロイさんがどちらかは分かりませんが... 大丈夫です。

ロイさんは心優しい人ですから... 邪気なんてもの追い払えますよ!」


ミャルルは冷や汗が垂れる俺の顔をモフモフの手で拭いてくれたり、自身の尻尾を俺の腰に巻きつけて安心させようとしてくれた。 俺も俺で激痛に驚き、冷や汗も出てきてしまったが前よりは落ち着けている。


あの時も確か俺は... 一つの感情に支配されていた。 

何か一つの感情に支配されてしまう時に... 心臓が拒否反応を起こしてああなったのか。


それとも... リエルが見たという触手が今何故か分からないが俺を攻撃してきたかの二択だ。


まぁ、でもどっちにしろ死んじゃあいない。

俺は冷や汗を拭いてくれるミャルルの手を優しく握りまた、ゆっくりと階段を登り始めた。


「驚かせて悪かったな。 俺の旅仲間曰く、俺の身体は色々とおかしいらしくてな。

 たま〜に... ほんとたま〜にこうなるんだ。


 ミャルルがいう邪気が原因なんだったら、今度邪気が祓える人にでも頼んでみるよ」


ミャルルは握られた手をモフモフの優しい手で握り返して、また体を俺に寄せてきた。


「それなら私の師匠がオススメなのです。 邪気を祓うのがこの世で1番得意... と言っていたので」


「じゃあ、獣人王国に行った時にはお邪魔する事になるな。

 てか、今回の件でより一層獣人王国に行く理由が増えたな」


「楽しみです... 獣人王国でロイさんと会えるのが」


「俺も、今回だけでミャルルとの関係を終わらせたくはないからな。

 ま、 そろそろ降りないとリーニャに変な誤解されるかもしんねぇし。 降ろすぞ?」


「魔力供給もバッチシ出来たし... お師匠の言ってた通り人の温かさも知れました。

 ロイさん... 私みたいなモフモフした触感が好きなんですよね?」


「えぇ... あぁ... そりゃ.. まぁ?」


「さっき手を握ってきた時も無意識でムニムニと肉球を触ってたの分かってるんですからね? 

 ほら、手を握って良いですから」


ミャルルはそう言って手を出してきた。


「いや... リーニャに会うのにそれは..」


「良いですから早く」


この子は出会った時から思うが頑固だ。 この子が言った事に従わないと何をするか分からない。


「あぁ、もう分かったよ。 コレで良いんだろコレで」


俺はまたミャルルの手を握り、リーニャが居るはずであろう部屋へと手を繋ぎながら向かった。

 


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