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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第27話 僕達の出会い

星海歴 1004年月10月2日 ゴルド王国


僕の名はフローレンス、フローレンス•ザラザール医者の孫だ。


僕は今日も医者になる為に1人で勉強を頑張っている。

お父様は今日も僕の為に必死に働いてお金を稼いでくれている。

お母様は... 4年前... 僕が6歳の頃に亡くなった。


なんでも治せると言われていた父様でさえ、治せなかった。


お母様が死んで数年、お父様は酷く落ち込んでいた。

僕はそんなお父様を見て勇気づけたいわけじゃないけど... 力になってあげたいって思った。

だから... 僕はお父様でさえ治せなかった母親の病を調べる為にお父様と同じ医者になろうと決意したんだ。


だから、今日も自分の家で精一杯お父様が準備してくれた宿題をやっている。


学校は一年も経たないうちに卒業出来た。

でも、王国から他の国に行くにはそれなりの役職を得ないといけない。

だから僕は役職を早く得る為に国境医師団の免許を取らないといけない。

この医師団の試験は難易度が高く、そもそも僕の歳じゃ受ける事が出来ない。


一発合格して早く受かって... お母様がかかった病を解き明かすんだ。


ティーカップを机に置き、再び本を持ったその時外から子供の大声が聞こえてきた。


「弱いものいじめなんか辞めるんだ!! この、卑怯者達が!!」


そう声が聞こえてきた後、殴り合う音が何回も聞こえてきた。

そして音が鳴り止んだ後、声を出していた子と違う子供達の泣き叫ぶ声が聞こえてその声がどんどんと遠くなっていった。


僕は勉強に集中してたかったけど... 気になったから外を見てみる事にした。


外を見るとそこには、顔面中に殴られた痕があるガリガリの子と手を差し伸べスラっとした体格の子が居た。


「あの子怪我してるじゃないか!!

 お父様を呼ば... いや今はお父様仕事で居ない... 本当はこの時間勉強してなきゃいけないけど.. 怪我してる子が居るなら話は別だよね? 怒られたら... うんその時はお父様にちゃんと説明しよう」


僕は読んでいた本を机に置き、急いで上着を羽織って外に出た。



__________


外に出て声がした方に向かうと、そこにはさっき窓から見た少年が顔を見合って笑い合っていた。


「君、大丈夫なのかい?」


僕は荒い息を落ち着かせながらそう言った。

ガリガリに痩せ細った子は僕の方を見て、服を少し叩いて汚れを落とした。


「僕は殴られただけだよ。 大丈夫だよ、慣れっこだからさ」


「悪い奴は俺が払ってやったしな。

 コイツ、いつもアイツらから目をつけられちゃうんだよ。 ほんと困ったもんだよ」


すらっとした子が怪我をした子にデコピンをしていた。


「怪我に慣れっこなんてあるわけないだろう? 見せてよ、僕が治せる範囲で治すからさ」


「あざとか治せなくねぇか? ... もしや、お前治癒魔法使えるのか?」


「医者を目指してるからね。 あざぐらいなら簡単に治せるよ」


「僕、下界人だけど良いのかい? 金なんか巻き上げられないよ?」


「下界人でも犯罪者でも治せる人は治せないと後悔するでしょ? 少なくとも僕はする。

 だから、直すんだ。 ちょっと触るよ」


僕はそう言い、怪我をした子の頬に優しく触った。


『万病を癒し、万物の姿を顕現させよ。 限界再生(オーバーヒール)


僕がそう唱えると、怪我をしていた箇所がどんどんと治っていき痩せ細っていた体も少し肉付いた。


「なんか... 僕の体変わったくない?

 それになんか体力があり得ないぐらい増えた気がするんだけど」


「僕が今パッと思いついて作ってみた治癒魔法だよ。 怪我を治癒する魔法と、体力を付ける魔法を同時に合わせて使ってみたんだけどどう? 良い感じかな?」


「魔法を作ったの? 今ここで?」


「パッと思いついたからね。 見た感じ、治ったみたいだし大成功だね」


怪我をしていた子が立ち上がり、僕の肩を勢いよく掴んできた。

そして目を輝かせながら、こう言ってきた。


「君、凄いじゃん!!

 僕と同じぐらいの歳なのに... 治癒魔法だって使えるし新たな魔法だって作るし... 凄い凄いじゃん!! ねぇ、名前教えてよ!! 僕、僕はリヒト... リヒトって言うんだ!」


「お、落ち着いて!!  え...えっと、僕の名前はフローレンス。

 フローレンス•ザラザールって言うんだ」


僕がそう言うと、すらっとした子が姿勢を正して僕の顔をジーっと見てきた。


「ザラザール... ザラザールって確か凄い医者の名前だよな? もしかして... お前の親って」


「うん、医者。 ハルバート•ザラザールだよ」


「だからあんな魔法も使えたんだな... 理解、理解」


「でも... 僕が使った魔法も.. 見た感じリヒト..? も使える気がするけどね。

使えるって僕の感覚がそう言ってる」


「僕も魔法は使えなくないけど...  治癒魔法は全然使えなくて..

 僕が使えるのは水魔法とか炎魔法とかかな... あんま上手く使えないから使わないんだけどね」


「それだって十分凄いよ。

 僕、治癒魔法以外ほんと使わない方が良いぐらいの腕だからね。


お父様は下界人とか気にしない人だし、僕の家においでよ。 汚れた服とか洗ってあげるからさ」


「いやいや... そんな良くな」


「良いの、僕が言ってるから良いの。 ほら、行くよ」


「えっ... ちょ!!」


僕はリヒトの手を引っ張って自分の家へと引っ張っていった。


「おい、ちょっと待てって!! 俺も!」


後にリヒトから説明されたカルトも、この時一緒に僕達の後をついてきた。


___________


家に入った僕は自分の部屋に行き、自分の服を持ってリヒトが居る風呂場に置いた。


「ここに、着替え置いとくからね」


リヒトはシャワーを浴びているからか、どうやら声が聞こえていないらしい。


僕は静かに風呂場を出てカルトが待つリビングへと行った。


リビングに行くと、カルトは僕の家を物色して歩き回っていた。


「僕の家... 本ばっかで何もないよ?」


恐る恐るそう言うと、カルトは一冊の本を取ってパラパラと読んだ。


「ここに置いてある本全部医学の本だもんな... しかも置いてあるやつ全部に付箋が付いてる。 

 お前、ほんっとに勉強頑張ってんだな」


「勉強だけが僕の取り柄だからね.. そう言う、カルトだって騎士団隊長の息子じゃん。 

僕よりもっともっと凄いじゃん」


「騎士団はそんな名誉ある所じゃないよ... 今は、権力と金に溺れてるただの腐った所だよ」


カルトは本を閉じ指で本をなぞっていた。


「色々あるみたいだね... あ、聞きたい事があるんだけど...  聞いて良いかな?」


「ん? 何が聞きたいんだ?」


カルトは持っていた本を置き、僕の方をジーッと見てきた。


「どうやってリヒトと仲良くなったのかな〜... って思ってさ。

カルトみたいな立場の子って... 下界人とは触れない生活じゃないのかな.. って思って」


カルトは椅子に座り、僕が用意したお茶を少し飲んだ後口を開いた。


「一年前のある冬の日、俺は父さんと喧嘩して家出してたんだ。

 喧嘩の理由はまぁ... 俺が騎士団の事を悪く言っちまったからだ。


俺は凍える寒さの中、街を歩いて気分が落ち着くまで散歩しようとしてたんだ。


ふと、路地がある冒険者協会の前を通った時リヒトの声が聞こえてきたんだ。


「痛い! 殴らないでよ!! 僕何もしてないだろ?」


リヒトは酷く怯えた声を出していたんだ。

俺は弱い者を虐める奴がこの世でいっちばん許せない。

だから、俺はたまたまそこにあった木の板を持ってリヒトの声がする方に行ったんだ。


するとよ、リヒトがブクブクに太った子供達から殴る蹴るの暴行をされてたんだ。

俺は言葉よりも先に手が出て、その太った子供達を木の板でボコボコに殴ってやったんだ。


するとその子供達はワーワーワーワー泣きやがってどっかに行きやがったんだ。


俺は清々した。 だって弱い者を虐める悪者を倒せたからな。


リヒトはリヒトでよ... 開口一番になんて言ったと思うよ?」


「助けてくれて... ありがとう? とか?」


「僕、下界人だけど助けて良いの?

 返せるお返しなんて持ってないよ... って泣きながら言ってきたんだ。


俺はその言葉を聞いて笑っちゃいけねぇのに笑っちまったんだ。

だってよ、自分のボロボロな体を心配せずに何を返せば良いかって考えてんだぜ?

そこじゃねえだろまずは!! って思ってよ

俺はたまたま持ってた絆創膏を怪我してるとこに貼ってやったんだ。 んで俺はよ」


________


「んな事より、まずはお前自身の事を考えろよ。 俺は例え下界人だろうがなんだろうがなんとも思わないぞ?」


「痛っ... 僕に絆創膏貼ってくれるなんて君優しいんだね」


「カルト、俺の名前はカルトだ。 お前は?」


「リヒト... リヒトって言うんだ。

 自分が成し遂げたい夢の為に、上がってきたらアイツらに見つかっちゃって...」


「成し遂げたい夢...? 一体何なんだ?」


「それはまだ言えないよ。 僕の夢は信頼出来る人にしか言わないからね」


「助けてやったのに...?」


「うぐ... それを言われると... う〜ん...」


「ま、いいよ。 お前面白そうだし、今日からダチだ」


「えぇ...!? そんな急に!!」


「俺がダチって言ったんだからダチだ。 ほら、ハルバートの所行くぞ」


_______


「俺達の出会いはざっとこんな感じだ。 だろ? リヒト」


「うん、その通り。 あの時は助かったよ」


咄嗟に後ろを振り向くとそこにはタオルで濡れた髪を拭いているリヒトが居た。


「お風呂まで入れさせてもらってほんと感謝感激だよ」


「助け合いあってこそだからね」


「流石にそろそろ僕は帰った方が良いよね...? 迷惑になっちゃうよね」


リヒトは少し悲しそうな顔をしながらそう言った。


折角同い年の子と会えたんだから... 何か... 何か.... あ! そうだ!!


「あ... そうだ。 折角今ここに遊べそうな人が居ることだし.. お父様が昔買ってくれたカードゲームしない?」


僕はリビングに置いてある棚の引き戸を開けていき、一個のカードゲームを取り出した。


「ほら、これ! 【バーサーカーアタック】」


「お前... それクッソ面白い奴じゃねぇか!!

 俺それ持ってなかったからやってみたかったんだよ!! やろうぜ!」


「えぇっと... 何それ?」


リヒトは自身の髪を魔法で乾かしながら、首を傾げていた。


僕は自信満々にカードを胸の前に出し説明を始めた。


「このゲームには計6枚のカードが入っててね? それぞれに効果があるんだ。

 

まず、1番最初は狂戦士。 魔術師以外はワンパンで倒せるカードだよ。


そして2枚目は、魔術師。 狂戦士の攻撃を防ぎ、カウンターする事が出来るんだ。


3枚目は泥棒。 泥棒は、相手が出したカードの技を盗んで自分がその技を使えるようになる。 


4枚目は市民。 市民は、何も能力を持たないけど、相手が魔術師を出してきた場合に勝てる唯一のカードだよ。


5枚目は王族。 王族は、1ターンだけ無敵になる事が出来る。 つまりそのターンの試合は引き分けになるって事だね。


そして最後6枚目、6枚目はピエロ。

ピエロは王族以外のカードの効果をコピーして使用する事が出来るんだ。

でも、相手が泥棒を使ってきた時ピエロは何も出来なくて泥棒に襲われて負けるんだ。


強さ順で言えばこんな感じかな?


狂戦士>泥棒 市民 王族 ピエロ


狂戦士<魔術師


泥棒>魔術師 市民 王族 ピエロ 


市民>魔術師 泥棒 王族 ピエロ


王族>魔術師 泥棒 市民


ピエロ>魔術師 王族 市民


まぁ、狂戦士をいかに上手く使うかってゲームだね。

相手に勝ったカードはそのまま残されていくから、狂戦士を死なせないように頑張って戦ってくって感じのカードゲームだよ」


「難しそうだけど... 説明聞いてるだけでも楽しそう!! 僕もやってみたい!!」


「んじゃまずは俺とレンスの戦いを見てみろよ。 それで感覚を掴んでみるんだ」


「うん、そうする!」


僕達はそこから外が暗くなるまで、ずっとバーサーカーアタックをしていた。


________________


「僕達の出会いはざっとこんな感じかな? まぁでも、リヒトと深く関わるのはこの後からだよ。

 どう、大丈夫? まだまだ話続くけど」


「聞くからには最後まで聞くに決まってるだろ。 聞かせてくれよ」


「じゃあ遠慮なく」


フローレンスはお茶を少し飲んだ後、また話し始めた。


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