間話 ルカはアタシが守るんだから!
あの後私達はそれぞれお風呂に入り、宿主のサハラさんが作ったご飯を頂いた。
サクナ村の明かりがどんどんと消えてきた夜魔物が活発になる夜にロイは『男と一緒の部屋じゃ寝にきぃだろ。 お前が眠った後に俺は寝るから、それまで俺は外の空気でも腹一杯吸ってくる』
と言って暖炉の火を強くしてから出て行った。
私は別になんとも思いもしないのに、ロイは私を気遣ってくれたのかはたまた本当にただ空気が吸いたいだけなのかは分かんないけどとりあえず優しい心の持ち主だって事は分かった。
口は悪いし、 人に何かを伝える事は苦手みたいだけど悪い人じゃなさそう。
私は故郷に居るお母様とお父様への手紙を書いて寝る事にした。
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だがその夜、リエルが私のほっぺを引っ張って起こしてきた。
「ルカ! ルカ起きなさい!! 話、話があるわ!」
「せっかく寝てたのに... こんな夜中に何?」
「今すぐ荷物をまとめてここを逃げなさい!! あの男はおかしいわ!」
「ロイ...? ロイのどこがおかしいの?」
「全部! 全部よ!! 何あの魔力量!! それになんなのよあの魂! 形、 形が変だわ!」
「私と同じで特殊な体質なんじゃないの....? 魂の形なんて人それぞれだし...
どうしたのリエル? 寒さでおかしくなっちゃった?」
「どこもおかしくなってないわよ! この通りいつもみたいに飛べるし魔法も出せるわ!
それとアタシは大精霊 リエルよ!! こんな寒さどうって事... はっ... はっ... へくちゅっ」
リエルはかわいいくしゃみをして鼻から鼻水を垂らしていた。
「リエルは本当なんでそんなに怯えてるの? 『願いの力』で出会った人よ?
おかしい人なわけないじゃない」
「彼から嫌な感じがとてもするのよ!!
恐怖とか... そんなんじゃ表せないぐらいの何かが、彼から溢れ出てるのよ!」
「ねぇリエル.... それ以上ロイの事言ったら怒るよ? 『願いの力』で出会えた人なの...
やっと、 やっと出会えたのよ?」
「『願いの力』だとしてもよ!!
彼より良い男はいっぱい居るし、強い人はいっぱい居るわ!! だから!」
「わたし、下着姿見られたのよ? ほぼ裸よ? は、 だ、 か」
「別にルカ胸ないじゃない! 見られてもどうって事... あっ..」
リエルがルカの方を見ると、ルカは涙を流していた。
「助けてくれたロイの事をヤバいモノ扱いするし... 私の胸も馬鹿にするし...
もう知らない!! リエルの馬鹿!!」
「ちがっ... 今のは間違えて」
ルカは布団を頭まで被って眠った。
リエルはその周りを飛んで、様子を伺っていたが謝れそうになく泣く泣く机の上に置かれていた花の上に座った。
「アタシ、 ルカが信じた男の人を信じれなかった...
でもあの寝たフリをした時に見たあの男はおかしかった。
魂が人とは同じ形っぽくなってるけど、魔物と似た魔力に染まった魂をしてる。
それに、 あの時に感じた恐怖感を彼から感じる。
身の毛がよだつ様な... 恐怖感で体が押さえつけられる様な...
でも何も知らないのに全てを否定したのは間違いだったわ.. 朝、朝ちゃんと謝ろう...
でもどこかおかしいのは確か...
だから、 だからこの大精霊リエルがあのロイって男を見定めてあげるわ!!
はっ... はっ... へくちゅ! へくちゅっ!
でも一旦今日は寝ようかしら... 寒さと疲れでくしゃみが止まらないわ」
リエルはユラユラと飛んでいきルカの布団に潜りルカと一緒に寝る事にした。
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「大精霊リエル... やっぱ凄い精霊じゃねぇか。 俺の体の事も相談出来っかな?」
ロイはルカが寝息を立てたのを確認した後、 静かに布団に入り眠りについた。