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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第25話 悪夢は繰り返される

そして時は経ち10年後....


俺達が拾ったリヒトはもう、俺達を超えるぐらいのデカさになりやがった。 

情報がねぇからわかんねぇが年齢はおそらく16歳だ。 

あの時はちっさくて可愛かったのに... いやまぁ... 今でも十分かわいいけどよ。


「なんですか? マルコスさん。 そんな目で見てきて」


どうやら俺はリヒトをジロジロと見つめてしまってたらしい。


「いや、なんもねぇよ。 ふと、昔の事を思い出してちょっとな..」


「走馬灯はまだ早いですよ。 あ、そうだそんな事より色々僕の方進展がありましたよ」


「そんな事... ? まぁ... んで? どんな進展があったんだ?」


「騎士団の隊長に、カルトがなったんですよ!!」


「カルトってアレか? 地界に住んでるお前と仲良いガキか?」


「えぇそうです! その人です!」


「で、隊長になったのがどうしたってんだ?」


「カルトが隊長になった... って事はですよ騎士団を自由自在に操れるわけじゃないですか! 

 だから、後は頑張って僕らと騎士団で手を組めば... 革命! みたいな事出来るんじゃないですか?」


「...まぁ、出来なくもないだろうけど.. 現実的かって言われたらどうだろうな?

 ま、 出来そうだったら俺も俺で出来る限り最大限協力するよ」


「任してください! 僕はココに居る皆さんを解放しますから!!」


リヒトは大きくなるにつれ、正義心が大きくなったと言うべきか... 地界に住みたいという願望が大きくなったのか.. 分かりはしないが、俺達を下界から解放させようと努力してくれている。

自分の人生なんか気にせずにな...


俺やファルコもココから出る為に努力してるんだが.. 何も変わりはしない。

日に日に自分の無力さを実感しちまう。


俺と違ってリヒトはいつも笑顔を絶やさない青年だ。

育った場所を感じさせない... コレもナルカさんの教えの賜物なのか?


ナルカさんはあの時から何も変わらず、子供が大好きでいつも何かを教えている。

美しさも健在だ。


ララさんも下界人達の服を織ってくれたり、リヒトの服を編んだりしてくれている。


俺も俺で... 魔法を早く出せる様にしねぇとな..


俺はポッケから筆を取り出し、地面に魔法陣を描こうとしたその時。 

また、10年前のあの時と同じ誰かが下水に落ちる音が聞こえた。


俺はあの時と違いすぐさま、音が鳴った方へと走り出した。

だが、俺よりも早く反応したリヒトが先に現場に着いて落ちた人を救出していた。


リヒトは汚水に汚されながらもその落ちた人を抱え梯子を登って、リヒトが水魔法を出して自分の汚れと落ちた人の汚れを落とした。


「おいリヒト... この子」


「小さな子供... しかも女の子だね。 一体誰がこんな事を...

若い僕が色々指示するのもアレだけど今は許してくださいよ? マルコスさん」


「歳だけ取ったおじさんより、お前の方が脳が回るだろ? 俺はどうすれば良い」


「とりあえず、僕の寝床から毛布とか取って来てくれますか? 

 後、ナルカさんも呼んできてもらって... いや、ナルカさんは今骨折ってるから...

 うん、毛布とこの子の服お願い出来ますか? 後、見てる人達は一旦ココから離れてください。  魔法を使うので、怪我するかもしれないですから」


「毛布と... 服...。 分かった、持ってくる」


「頼みました」


俺は見に来た人を現場から離れさせ、リヒトに言われたものを取りに行った。


______________


僕の名はリヒト... 出身不明の下界人だ。

何気ない平和な生活を続けていた僕だったが、今その平和な生活が壊れた。


僕の目の前に、息をしていない1人の少女が居る。

誰かが、追放の為に落としたのか... 落ちたのかは知らないけど。 何故かこの子は息をしてない。


僕はとりあえず、魔力伝心を使いカルトとフローレンスに報告をする事にした。


『聞こえるか、フローレンスとカルト』


『うん? どうしたんだいリヒト急にコレで会話だなんて』


『俺、今街巡回してるから忙しいぞ?』


『下界に、小さな女の子が落とされた。 事故か、事件か分からない。 

 上はどうなってる? カルト』


『平和という言葉がピッタリ合うぐらい平和さ。 

 ちょうどリヒト達が住む所の上に居るけど、落とした跡もないし人も居ないぞ』


『また、僕と同じで原因不明か... フローレンス... 君は今大丈夫かい?」


『コレから、終わった課題を大学に届ける所だったけど向かった方が良いよね?』


『落ちた女の子が息をしてないんだ。 身体も冷えてるし、顔が余りにも白い。

 どうすれば良い?』


『.... それはマズいね。 その子鼓動は動いてる?』


『うん、鼓動は動いてる』


『だったらとりあえず、人工呼吸をしといてくれないかい? 僕が向かうまで』


『なるべく早く来てくれよ? 僕、フローレンスと違って不器用なんだからさ』


『分かってるよ』


俺は魔力伝達を切り、目の前でぐったりする女の子に人工呼吸を始めた。


息をいっぱい吸って吐いて、息をいっぱい吸って吐いて... 僕はフローレンスが来るまでずっとそれを繰り返した。


少女は途中で息を吹き返し、少しの間だけ意識を取り戻していた。


「私... 私は」


「大丈夫... もう大丈夫。 お兄さんの友達が君を助ける」


「私は... あなたと..」


「僕.. 僕がどうかしたのかい?」


「世界を...」


「世界... 世界がどうしたんだい?」


「変え...」


少女は何かを言い切る前に全身の力が抜けて僕の身体に寄り添った状態で眠ってしまった。

そして、 それと同時に地界に繋がる蓋が開きマルコスさんが毛布と服を持って来た。


上からは聞き馴染みのある声が聞こえて来た。


「待たせたね、リヒト!!」


フローレンスはポールを上手く使いスルスルと滑って降りて来た。


「こっちも言われた物持って来たぞ!」


「助かりますマルコスさん、フローレンス」


「礼なんか要らないよ! それよりその子の容体は?」


「さっき少しだけ意識を取り戻したんだけど、また眠っちゃった」


フローレンスは特殊なメガネを取り出し、付けジロジロと落ちて来た女の子を見た。


「見た感じ... 特に問題は無いね。

 とりあえず、濡れたままの服じゃ身体は冷えていく一方だから脱がして水を拭いて着替えさせてあ げよう。 僕達が着替えさせるとマズいから、誰か女性は?」


「マルコスさん、ララさんを呼んで来てくれますか?」


「はいよ」


マルコスさんはララさんを呼びにまた広場の方に戻っていった。


「にしても、 なんでこんな子がココに落とされたんだろう」


「リヒトが言えた事じゃないけどね。

 ココに来る最中カルトと会って、上の状況とかを聞いたけど落とした人は居ないし下界に繋がる全ての穴を見たけど人が近づいた気配はないらしいから... ほんとリヒトと似たような事になってるよ」


僕は抱いた少女を見ながら、心に秘めていた計画を実行に移す事を決意した。


_____________


時は戻り、現代


「て事が、あったんだよ」


マルコスは受付嬢から出された水をゴクゴクと喉を鳴らしながら飲んでそう言った。


「リヒトが下界育ちだったなんて... 始めて知ったぜ... で、その話の続きはしてくんねぇのか?」


「こっから先は思い出したくもない、思い出があんだ。 

 すまねぇが俺以外... いや長老に聞くと良い」


「長老... ? 一体誰なんだその人は」


「俺ですらしらねぇ歳を取った爺さんらしい。 

 リヒトと... う〜ん.. リヒトぐらいしか会った事ねぇんじゃねぇのかな?」


「まぁ... それなりに過去も聞けたし、アンタの過去も聞けたから十分だ。

 コレ、お礼の金貨だ。 酒買うのにでも使ってくれ」


俺は金貨をマルコスに渡して席を立った。 マルコスは渡された金貨をジロジロと見ていた。


「コレが噂のフラン金貨ってやつか...

って待ておいおい! 金貨って貴重なもんだろ? 

 こんな酒に溺れたおっさんに渡しても良い事なんかねぇぞ?」


「俺に取っては良い事だから良いんだよ。 酒を飲むと気分が安らぐんだろ?」


「.... あぁ、そうだな。 安らぐな」


「時間奪って悪かったな。 じゃ、俺は他のとこに行く用事があっから。 またな」


「おう、冒険者!! 次は酒一緒に飲むぞ!」


「未成年だからパスだ!!」


俺は扉を勢いよく開け、冒険者協会を出て行った。 次、向かう場所はルカ達が居る星空騎士団だ。


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