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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第24話 静寂と平和は崩れゆく

広場に戻った俺は汚れた服を洗い場に入れて洗った。 

汚れは思ったよりもこべり付いてて、落とすのに時間がかかった。

だが、苦労の甲斐もあって服はびしょ濡れだが綺麗になった。


俺は服を乾かす為にハンガーに掛けた後、少年の元に行った。



少年は身体を暖かくさせる為に広場にある焚き火の近くに連れて行かれ、毛布と下界人の姉さんに抱えられていた。


「なぁ、ナルカさん。 その子大丈夫なのか?」


ナルカさんは下界人だが、容姿端麗でサラサラの金髪をしている美しい女性だ。

ナルカさんは少年を抱えたまま頭を撫でていた。


「アタシの暖かかい身体と毛布と焚き火で暖めてるから、もうすぐもすれば起きるんじゃないかな? 起きた時、真っ裸じゃ恥ずかしいだろうから誰か子供服持ってきてくれないかい?」


「あぁ、じゃあ私が趣味で作ってる服... 持ってきます!」


「頼んだ、ララさん。 マルコスはアタシと居てくれ。アタシが安心するし、この子も安心するからね」


「んぁ...? なんでなんだ?」


「アンタは他の下界人と違って優しい顔をしてるからね、それにアンタと居ると心が自然と落ち着くんだ。 アタシはアンタが居なきゃあ怒りで地界に殴り込みに行きそうだよ」


ナルカさんは子供が大好きだ。 

下界に住む子供達に教育をしたり、一緒に遊んだりする優しい人だ。 

たが、子供が危険に巻き込まれる事があると頭に血が昇りナルカさんはストッパーが外れてしまう。


過去にナルカさんを止める為に怪我した人も居た事がある。


「まぁ... ナルカさんがそう言うなら居ますよ」


「助かるよ、マルコス」


ナルカさんと俺は少年が起きるまで、一緒に焚き火の前で待っていた。

ララさんも途中で子供服を持ってきて、一緒に子供服を着せてやっていた。


少年は身体が暖まったのか、意識を取り戻したのか重たかった瞼を開き始めていた。


「ん.... ん...」


少年は瞼を開き、目の前の光景を見た。

自身を抱えるナルカさん、そして手を繋いでいるララさん、そして自身を眺める俺だ。


「ココは... 僕は誰なんですか? 僕は... 」


ナルカさんはそんな少年の頭を撫でて落ち着かせつつ、教えてあげていた。


「ココは下界さ。 アタシ達みたいな人間がいっぱいいるそんな所さ。

 アンタ... 自分の事が分からないのかい? どこから来て... 誰に落とされたとか」


「何も... 何も分からない。 僕は.. ずっと一人.. 一人だった」


「そうかいそうかい... 辛かったね。 良いんだ、良いんだ。 言わなくて」


「そうだ... 僕の名前はリヒト。 リヒトだ」


「リヒト... いい名前じゃないか。 ララさん、リヒトって名前聞いた事ある?」


「少なくとも、私が地界に居た頃に聞いた事はないです」


「そっかぁ.... 」


リヒトはナルカさんの顔を眺めてこう言った。


「僕は... 僕はどうなるの?」

 

「間違えて落とされたのなら、地界に送り帰す。 

 でも、故意に落とされたのなら...アタシ達がアンタを育てるよ」


「僕は... 僕は.. 」


少年は最後まで言葉を紡ぐ事なく、眠りについてしまった。

ナルカさんはそんな少年を抱えて、自身のベットに寝かせた。


それと同時にファルコは下界に帰ってきた。

ファルコは首をポキポキと鳴らしながら俺達の近くに座り焚き火を囲んでいた。

ナルカさんも俺の隣に座った。


ファルコは息を整わせた後、上で見た事を話し始めた。


「少年が落ちたであろう場所には人1人居なかった。 足跡もないし... 兵士すら巡回してなかった。 それにマンホールを動かされた跡すらねぇ。 一体少年はどこから落ちて..誰に落とされたのか..」


「つまり、何も情報が得られなかったって事かい?」


「あぁ、何一つ得られなかった。 

 行方不明者が書かれた看板を見に行ったが、そこにも少年の情報はなかった」


「身元不明って事ね... まぁ、でももう慣れっ子じゃないか。 アタシにあの子は任せな?」


「身元不明だけど... 俺はまだ調べるさ。 あの少年について」


「ん、アンタの気が済むまでそうすれば良いさ。 まぁ、とりあえずアンタ身体洗ってきな。 下水が付いてるかもしんないから」


ファルコはそう言われて自分の身体を匂っていた。


「匂うって事か...!?」


「違う違う。 付いてたら不衛生かもしんないでしょ? だから洗ってきなって」


「んまぁ... そうだな。 そうするよ」


ファルコはナルカさんにそう言われて身体を洗いに行った。


ナルカさんは身体をバキバキと鳴らしながら伸ばして、天井を眺めていた。


俺とララさんは一緒に焚き火を眺めて、自身の気持ちや心の中を整理させていた。


今の自分達に必要な行動だ。 俺達はパチパチと音を鳴らす焚き火の音を聞きながらそれぞれ考え事をしていた。


1人は、子供が下界に来てしまうこんな国について。


1人は、また自分と同じ下界人が増えた事について。


1人は、こんな事が起こってしまう世界について...


1人は、力と権力を得る為にはどうすればいいか...


皆、今後の人生について考えていた。 俺達はこの静寂な時間に後々感謝する事になる。


でも、俺達はまだそれを知らない。


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