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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第23話 情報収集

勢いよく外に出た俺だったが、自分の体調が大丈夫なのかを考えていなかった。


俺はついさっき起きて、その時に頭がクラクラしていたのを忘れていた。

おそらく、貧血か何かだろう。


今日、このまま情報収集に行っても良いがリエルに無理をしちゃ駄目と叱りを受けている。

俺は二つの選択肢に悩みつつも、怒られるのはめんどくさいので少しの間自分の身体の為に休む事にした。



________________


一週間、俺は宿で休みを取り体を養った。 休んでいた一週間、色々と俺の元に情報が飛んできた。


まずは、ルカ達だ。

どうやら星空騎士団の怪我人が予想以上に多いらしく、いまだに怪我人全員に治癒が行き渡っていないらしい。

リエルはルカの魔力を借りつつ、フローレンスと協力しながら怪我人達の治癒を頑張っているらしい。


次に、ロロ達だ。

リヒト探索の為に『死龍』が眠る洞窟に向かったらしいが、洞窟の前に大きな落石があるらしくその撤去が済むまでまだ中に入って探索が出来ないらしい。

ロロは妹と協力しつつ、早くリヒトを探索する為に尽力しているらしい。


最後にリーニャだ。

リーニャは大怪盗のルルを捕らえるべく、奔走しているが未だに捕まえられてはいない。

というか、盗みに入った日からルルは姿を現していないらしい。

と言ってもこの話はカルトが言った話だ。


ルルと対面したのもカルトで、ルルと会話をしたのもカルトだ。

おそらく、今回の件の鍵を握る人物なんだろうがカルトは忙しいのかあまり姿を皆の前に現さない。


色々聞きたい話があるんだが、居ないなら居ないで他の人に聞くしかない。


俺は怠い身体を起こして、一週間遅れた頃に情報収集に出る事にした。


_____________


冒険者協会にて....



今日も今日とて、ここは酒飲みのおっさん共が歌って踊って騒ぎあってる。


だが、今日は踊りに来たんじゃなく【下界人(アンラーヴァ)】達の話を聞きに来た。


俺は椅子に座り酒を飲んでいる髭の生えたおっさんに話を聞く事にした。


「なぁ、アンタ。 ちょっと聞きたい事があるんだけど良いか?」


「ん...? あぁ、アンタはあの日の冒険者じゃねぇか。 聞きたい事ってなんだ?

 なんでも答えてやるぞ?」


男はそう言って酒を豪快に飲み、瓶を机に置いた。


「実は俺、王女様と協力する事になってな? 色々情報が必要になったんだ。

 急にこんな事言われても信用してくれねぇのは分かってるんだ。 だから言える範囲で」


言葉を続けようとしたその時、男は瓶の飲み口を指でなぞりつつ悲しげな顔をしていた。


「その協力ってリーニャの兄であるリヒトの探索だろ? 冒険者」


「ん...? あぁ、そうだが。 もしかしてアンタは知ってたのか?」


「いや、いまの今までその話は確定した事実じゃあなかった。 

 だが、アンタが協力するって言ってからその話は確定した事実の話に変わったってわけだ。

 俺達【下界人(アンラーヴァ)】も前から、薄々気付いてはいたんだ。 

 第一王子のリヒトが居ない事に。

 俺達はリーニャと協力して探そうとしたんだ。 

 だが、リーニャはパニックになっててよ俺達の話を聞いてくれなかったんだ。

 俺達は独自でリヒトの探索を続けたが、結局一年... 二年たってもリヒトは見つからなかった。

 俺達は皆悲しみに全身を襲われ、酒に溺れてここに居るんだ」



「お、おう... 色々大変だったんだな。

 

でもよ... 俺の聞きたい話はちょっと違くてよ、リヒトとアンタらの昔の話を聞きたいんだ。 

言える範囲で良いし、言いたくないなら言いたくないで良いんだ。

教えてもらう事って出来るか?」



「【下界人(おれたち)】とリヒトの昔の話か...? もちろん言えるぞ。

 冒険者はリヒトを探す為にこの情報が必要と感じたんだろ?」


「『知る』って事は大事だからな。 何か気づいてない事に気づけるかもしんねぇ」


「じゃあリヒト達と下界人が革命を起こす前から話してやるよ。


内容が濃いし、長えから寝るなよ?」


「寝ねぇから安心しろ」



__________________


星海歴 1000年12月4日 ゴルド王国


雪国であるアクサンタラを更に冬の寒さで襲う冬の日、俺達は今日も下界に住んでいた。


下水の匂いが漂う中、俺達は今日も必死に稼いだ金で酒やパンを買い宴を楽しんでいた。


「俺達って下界人だけどよぉ、結構幸せな生活してるよな?」


「幸せってのはその人その人で感じ方が違うからな... 俺は少なくとも完璧に幸せって言えはしねぇ な」


「幸せじゃねぇのか? マルコス」


「いや、幸せには幸せさ。 ただ、心の内から満足出来てるかって言われたら怪しくてよ。

 いつまで、俺達は地界に住む奴から虐げられて下界に住んでりゃいいんだろうって俺はたまに考え ちまうんだ」


「まぁ... その気持ちも分からなくはねぇな。 俺もたまに酒が抜けた後、その考えをしちまう時がある。 でも、結局俺達に変えれる力も権力もねぇし無理だって事に気づくんだ。


だから、俺はこうやってまた酒を飲んで抜けねぇ様にしてんだ。

変えられない現実から逃げてるだけだけどよ... 心は楽だぜ?」


「俺達に力とか権力があれば... 何か変えられたりしたのかね...」


「今とは違う生活をしてるんじゃねぇか?

 どうする? 今天変地異みたいなのが起きて俺達に力とか得れたらよ?」


「んな事が起きりゃあ、奇跡だな」


「案外、起きるか」


俺の親友であるファルコが言葉を続けようとしたその時、下水に誰かが落ちる音がした。


この音は結構な高さから落ちている... いや、落とされている。


俺とファルコは酒瓶を床に置き、音の方に駆けて行った。 他にも人がゴロゴロと着いてきた。


音がした場所に着くと、そこには下水に浮かぶ小さな少年の姿があった。


ファルコは躊躇なく下水の中に入り、その少年を抱えて俺達の元に抱えてきた。


「水だ水!! 綺麗な水持って来い!」


「あ、あぁ!!」


俺はファルコにそう言われて、清く澄んだ水が入った容器を持ってきた。


ファルコはその水を少年にかけて、下水の汚れを落として心音を確かめていた。

少年は見た所、外傷はない。 ただ、この寒さだ。 何があるか分からない。


「生きてる... 生きてるがあまりにも身体が冷えすぎてる。 

 コイツの服脱がせて、水拭き取った後毛布を被せてやれ! 出来るかお前達!!」


ファルコは昔からリーダーシップがある。

だから、皆からも信頼されているし指示も出せる。


着いてきた人は少年を抱えて俺達が住まいにしている広場の方へと持っていった。


ファルコは汚れた服を脱ぎ、残った水をかけ新しい服に着替えた。

そして、下界から地界に繋がる梯子の方へと行き登ろうとしていた。


俺はファルコが何をしに行くかが気になり聞く事にした。


「おい、ファルコ。 何をしに行くつもりだ? この時間は兵士達がうろついてる時間じゃあ?」


「あの少年を落とした奴を探しに行くんだよ。 

 今ならまだ、落とした犯人も見つかるかもしんねぇし少年の情報も得られるかもしんねぇだろ?」


「でもよ、兵士に見つかったら何されるか...」


「なに安心しろ、俺は見つからないからよ。 じゃ行ってくる」


ファルコはそう言って梯子を登って行った。

ファルコは昔から正義感が強く、一度決めた事は最後までやらないと気が済まないタイプだ。

今回も許せなかったのだろう。 小さな少年を下水に落とした事を。


俺はファルコの代わりに落ちた少年を見る事にした。

俺は二人の汚れた服を持ち広場の方へと駆けていった。

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