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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第二話 対価と目的

サクナ村近くに来た俺はスライムを吸収し、 空いた右手で赤髪の荷物を持った。


旅人にしては荷物が軽すぎる... 服しか入ってねぇのか?


まぁでも人の荷物を見る趣味はねぇから中は見ないでやるか...

それより村の中に入って村長に挨拶して宿を取らないとな。


俺は赤髪の女を抱っこしながら村へと入った。


___________


サクナ村にて...


サクナ村に入ると、村の中央にある凍った噴水を見ている杖をついた爺さんが居た。 

俺はとりあえずその爺さんに話を聞くことにした。


「なぁ爺さん。 ちょっと話があるんだけどいいか?」


俺がそう言うと爺さんは杖をコンコンと鳴らしながらこちらの方を向いてきた。


「んん...? どうしたんじゃ? おや、君は見たことない顔じゃな」


「村長に宿の場所を聞きたいんだが、どこにいるか分かるか?」


「村長はワシじゃ。 ワシがサクナ村の村長じゃ」


なんと今、目の前に居る杖をついた爺さんが村長だった。


「おっと... こりゃあ失礼失礼。

 村長さん、宿を取りたいんだが宿ってあるか?」


「もちろんあるぞ。 あの階段を登って右の家じゃ。 あれがこの村唯一の宿じゃ。

 というかお主... その子はどうしたのじゃ」



「旅の途中で倒れたんだよ...。 見ず知らずの子だから俺も何がなんだか...

 でも、見捨てるのも酷いってもんだろ? 村長さん」


俺の顔をじっくりと上から下まで舐める様に見た村長は何かを思い出したのか俺にこう言ってきた。


「.... お主はなんだか伝説の勇者と似てる雰囲気をしておるな」


「俺が勇者!? 村長さん俺のどこがその伝説の勇者に似てるって言うんだ?..」


「見た目... かの?」


「そんなのいっぱいいるだろ... まぁでも、その言葉ありがたく受け取っておくぜ」


「宿のサハラさんにはワシが色々説明しておく。 旅人の...」


「ロイ、俺はロイだ」


「ロイさんはいつまでこのサクナ村に居るつもりなんじゃ?」


「七日間ぐらいかな... 。洗濯物とかもあるし、色々準備しないといけないからな」


俺がそう言うと爺さんは冷たい声でこう言ってきた。


「ロイさん... ここアクサンタラを舐めない方が良い。 

 まだアクサンタラは吹雪が続く... それももっと強くなったのがな。


ワシはここアクサンタラを甘く見たまま旅して死んだ旅人や冒険者を腐る程見た。

ロイさん次第ではあるがね...」


「でも長居したら爺さん達に迷惑がかからねぇか?」


「サクナ村の住民はそんなの誰も気にしやしないさ。

今はこの寒さのせいで誰も出てきては居ないが、みな優しい人たちじゃ」


「まぁ... 無償で長居させて頂くわけにもいかねぇから、何かさせてくれよ。

 魔物の討伐でも雑用でもいいからよ」


「そんなのしなくていいぞ。 宿代だけで十分じゃ」


「爺さんが良くても、俺が嫌なんだ。 まぁ追々話出来る時間作って話そうぜ?

 コイツの体も冷えてきてるし、顔色も悪くなってきちまってる。

 それに爺さんも寒いだろ?」



「ワシは大丈夫じゃ。 それと... すまんかったの、長話をしてしまって」


「別に大丈夫だよ爺さん。 じゃあ2日後爺さんの家に行って良いか?」


「ワシはいつでも待っとるぞ」


「ありがと爺さん。 じゃあ今度こそ宿借りるぜ」


「あぁ..」


爺さんは凍った噴水をまた見始めた。

俺は赤髪を抱っこしながら宿へと入り、サハラさんと少し話をして部屋の鍵を貰った。

俺は部屋の鍵を使って、部屋に入った。


中に入るとそこには二つのベットと暖炉、それに丸い木製の机と椅子が置かれていた。


俺はとりあえずベットに赤髪を寝かせて、部屋の暖炉の火を付けた。

サハラさんが村長の話を聞いたのか、部屋に色々と食料や着替えを持ってきてくれた。


どれも裏起毛の服であったかい... あの爺さんには色々と感謝だな。


暇も出来た事だし、 あったかいスープでも作って体を暖めるか。


俺は自分の荷物から料理道具を取り出し、サハラさんが持ってきてくれた食料を上手く使いアクサンタラバードの卵スープを使い卵スープを作った。

俺はその卵スープを飲みながら日誌に今日の出来事を書いていった。


______________


数時間が経ったぐらいだろうか、 赤髪が目を擦りながら起きてきた。


「ここは...?」


赤髪の顔は数時間前の死にそうな顔と違い健康的な顔色に戻っていた。


「サクナ村の宿だよ。 俺がお前をわざわざここに連れてきてやったんだ」


「貴方がここに連れて来たのね.... 確かあの時体って言った...」


「ロイ。 ロイ•コロニクスだ」


「ロイ.. ロイって言うのね..  ちょっと恥ずかしいけど.. 私ちゃんと言った事はするから..」


そう言い赤髪は服を脱ぎ始めた。

一枚、 また一枚と脱いでいき下着姿になった。

俺が男だと思った赤髪は女性物の下着を付けていた。 

赤髪は頬を赤く照らしてコチラを見てきていた。


「おまっ、、、 女だったのか!?」


「失礼な人... ! どうせ胸が小さいから男に見えたんでしょ!!」


「いや... それはまぁ.. そうだけどよ。 てか待て、なんでお前は服脱いでんだ?」


「だって貴方が体って言うから... 私を抱きたいから救ったんじゃないの?」


「はぁ!? んな事するかよ! 誰が見ず知らずの女抱くんだよ!!」


俺がそう言うと赤髪の女は顔全体を真っ赤に染めて胸を手で隠した。


「貴方がそう言ったんじゃないの!! 体って!」


「意味がちげぇよ!! 意! 味! が!!」


「だったらもっと言い方あったでしょ!!

 貴方がちゃんと言ってたらこんな恥ずかしい姿してなかったわよ!!」


「胸もないのに恥ずかしいもクソもあるかよ」


「あんたねぇ!! 異性に体を見せるのはどんな体でも恥ずかしいもんなの!!

 それと失礼! これでも揉めるぐらいあるもん!」


「んな胸の情報なんかいらねぇからそこに置いてある服に着替えろ馬鹿。 目のやり場に困る」


「見ないでよね!」


俺は目を逸らしてその女が着替え終わるのを待った。


「終わったわよ」


その言葉を聞き振り向くと、モコモコの服を着た女がベットに座っていた。


「それでどういう意味なの...? お前の体でもって...」


「あぁ、その事か... いやそれは普通にちょっと目的の為に肉体労働してくんねぇかなって意味でよ」


「やっぱ私の体でそういう事を...?」


「だからちげえっての。 見た感じお前剣士だろ?

 魔物を狩るのも一人じゃ疲れるし、そろそろ仲間が欲しいと思ってよ。

 なんでもするって言ったから良いように使ってやろうとな」


「だったら最初からそう言ってよ!! 勘違いしてたの恥ずかしい!

 私... 私.. 異性にあんな姿見せた事ないのに!」


「それはまぁ.. すまなかった。 んでどうだ? 嫌なら嫌で俺は別の仲間を探すけどよ」


「なんでもするって言った以上... その提案は断りづらいじゃないの..

 はぁ... いいわよ。 仲間になったげる。 でも.. でも... 私の下着姿を見た責任取ってよね!!」


「別に俺は酷いことさせるつもりねぇよ。 それにまぁ... 責任は取る。

 欲しいもんなりなんかあるなら言ってくれよ。 えっと...?」


「ルカ。 ルカ•ドリスタン。 それと特に何も要らないわ。

 旅の最後まで私を連れてくのが貴方の責任よ」


「はぁ...? 俺の旅の目的すら言ってねぇのにか?」


「どうせ貴方も私と一緒で聖女様に会いたいんでしょ? 私と同じ目をしてるんだもの」


「まぁ... 合ってはいるな。 俺は聖女にも会いたいが、もう一つ目的がある」


「聖女以外の理由...?」


「勇者の遺物だ。 俺は勇者の遺物もこの旅の目的だ」


「勇者の遺物ってアレの事? 神が託した力を込めたって話がある剣とか盾の事?」


「そうそれだ。 

 悪を滅ぼす力もあるらしいが、俺はそんなのに興味はねぇ。 俺が気になんのはそこに秘められた力だ」


「でもその勇者の遺物って八つの国の何処かに隠されてるって話じゃなかったけ?」


「そうだ、どれも全部国の何処かに隠されてる。 

 でもその隠し場所をなんとか見つけて遺物を取るんだ」


「盗むって事?」


「盗むなんて事したら、即捕まって死刑になっちまうよ。 

 ま、 そこら辺は追々旅しながら考えりゃあいいんだよ」


「まぁ旅の醍醐味ってそういうのも入ってるわよね! いいじゃない、いいじゃない!!

 やっぱあそこで倒れて正解だったわ!」


ルカは何故か腕を組んで誇らしげにしていた。

てかそういやなんでコイツあんな所で倒れてたんだ? 気になるし聞いてみるか...


「えっとルカ... ルカでいいか?」


「もちろん、いいわよ!」


「なんでお前はあんな場所で倒れてたんだ?

 お前のその溢れ出る魔力でどうにかならなかったのか?」


「え...? なんで私の魔力に気付けてるの? 完璧に隠してるはずなのに...」


「俺はなんでか知らねぇが、魔力が尽きない体質でな。 

 その変な体質のと関係があるのかはいまいち分かんねぇが魔力を感知しやすいんだ」


「えぇ...? 嘘よ、絶対嘘よ。 私、精霊に隠してもらってるのよ?」


「いやだってその精霊今寝てんじゃねぇか」


俺がそう言うとルカは布団を体に寄せて初めて魔物を見る子供の様な目で見てきた。


「なんで精霊が見えてるのよ!!」


「いや、だから言っただろうが。 俺もお前と一緒で魔力が人より多いんだ。

 魔力の塊みたいな精霊はよく見えるんだよ」


「でもそう言う割にロイ、ロイには精霊が居ないじゃない」


「俺の魔力が強すぎてそこら辺の精霊とかだったら死んじまうんだよ、魔力に体を汚染されてな。

まぁ、 ここに居るお前の精霊が死んでねぇって事はお前の精霊は相当優秀な精霊なんだろうな」


「リエル。 私の精霊はリエルって言うの。

 多分今リエルは私を守る為に使った魔力が多すぎて魔力切れを起こしちゃったんだと思う」


「だから寝てんのか。 てかそのリエルってのが守ったのか。

 すげぇな... あの吹雪からお前を守るって」


「リエルは優秀だもの!!」


「暇な時に喋らしてくれよ。 そのリエルとやらによ」


「もちろんいいわよ!」


「ありがとよ。

 んじゃまぁ話もここぐらいにして用意されてる風呂とか飯食べようぜ? 

 それと言い忘れてたがこれからよろしくな ルカ」


「こちらこそ楽しい旅が出来そうで良かったわロイ!! これからよろしく!」


色々あったが、なんとか一人仲間を作る事が出来た。


剣士 ルカ•ドリスタン それと精霊のリエル


俺達の冒険譚は今ここから始まった。

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