第15話 始まりは秘密と共に
朝日が昇り少し寒い風が吹く今日。 俺達はサクナ村を旅立つ。
俺達は荷物を持って村の入り口へと来た。 来る最中村の人達から見送りをされた。
「短かったけどココでの生活は濃かったな」
「ココで出会って仲間になった... もし私達が勇者なら英雄譚に書かれちゃいそうな内容だね」
「お前の脱ぐシーンも書く...」
俺がそう言おうとした瞬間、ルカから冷たい視線が向けられた。
この冷たさはココの吹雪を超えるぐらいの冷たさだ。
「んなまさかぁ... 冗談だよ、冗談」
「だよね? 良かった!」
そう俺達で駄弁っているとリエルが俺達の前でブンブンと飛び回って怒ってきた。
「アッチで宿とか色々探さないといけないのよ!! いつまでここで喋るつもりかしら?」
「わりぃわりぃ。じゃあ行くか」
「うん、行こっか!」
俺達はサクナ村に深く礼をして、ガンドゥフェン洞窟へと向かった。
__________________
ガンドゥフェン洞窟にて...
ガンドゥフェン洞窟に着いた俺達は氷龍に軽く挨拶した後、背中に乗せてもらった。
「抜いた時にも思ったが、お前の背中って結構硬てぇよな」
俺は氷龍の背中をさすりながらそう言った。
「我は魔龍だからな。 硬さだけは一級品よ」
「お前はまだ良い方の魔龍だよな。 気性も荒くねぇし、基本攻撃してこねぇし」
「お兄様にそう教わったのでな。 人を救い、人を守れと」
「今日はそんな兄さんの近くに行ける日だぞ? なんならちょっと見に行くか?」
俺がそう氷龍に提案したが、氷龍は悲しげな顔をした後小さい声で断ってきた。
「今のお兄様がどうなってるか分からない以上近付くのは危険だ。
我は其方らをまた傷つけたくはない。 だから大丈夫だ。 我は待てる。
まぁ、 本当は動きたいのだがな」
「まぁ... そうだな。 お前の言う通りにした方がいいな...
んじゃまぁ、早く会える様にする為にも向かうか!」
「あぁ分かった。 では、魔力結界を開く」
【霜 魔力結界開門】
『氷龍』は魔龍特有の元素魔力を使い魔力結界を展開した。
リエルの魔力結界と違い、氷の結晶によって作られている。
「コレで落ちる事も外敵から攻撃を受ける事もない。 では、飛ぶぞ!」
「ルカ、しっかり俺に掴まっとけよ?」
「う、 うん!! って... わぁ!!」
『氷龍』は大きな翼を広げて勢いよく洞窟の中から飛び出して行った。
俺達は振り回されないようにしっかりと『氷龍』に付けた紐に掴み落ちないようにした。
俺達は空中を飛びながら『氷龍』の背中で話をしていた。
「にしてもガンドゥフェンよ! 俺にやったあの技余りにも殺意が高くなかったか?」
「其方にやった技...? 記憶が無くて我には分からないぞ?」
「アレだよアレ。 氷柱を爆発させる奴だよ!」
「それは我が村民達にアイスを作ってあげる時に使う力だ。
我、意識がない間にそんなことをしていたのか?」
「アイスを作る技であんなのが出来んのか... この石マジでヤベェんだな」
「我は他の魔龍と違い、魔法をあまり使わない。 それに我は人の為に使う。
だから何故其方にその力を使ったかは我でも謎だ」
俺は氷龍の言葉を聞いた後自分の手に乗る石に目を向け、この石の対応について悩んでいた。
「コレをソワーズ商会に頼んで【大賢者】『ハーヴェルト』に送っても良いが
こんな危険物送るのも危ねぇし何が起きるかわかんねぇからどうしようも出来ないな...」
俺は手に乗った怪しい石を見ながらそう言った。
中心にあるコアみたいなものは、微弱ながらも光り動いている。
「ハーヴェルトにそれを送るつもり? あんな魔法だけの馬鹿には何も出来ないわよ?」
リエルは石の周りで飛びながらそう言ってきた。
「大賢者様にバカってお前スゲェな... いやでも何か分かるかもしんねぇだろ?」
「無い!! ....とは断言は出来ないわね。 アタシが寝てた間に凄く成長してる可能性もあるものね」
「でもなぁ... コレをハーヴェルトの元に届けるには色々と手順を踏まねぇといけねぇから
やっぱどうしようもねぇな」
「えぇそうね... まぁでもいつかあのバカには会えるわよ!
その時にこの石を押し付けてやりましょ? あのバカは調べるのが好きだからね!!」
リエルは腕を組んで胸を張っていた。
というか待て... なんでコイツこんなに大賢者について詳しいんだ?
俺は気になり聞いてみることにした。
「なんでお前んな大賢者の事知ってんだ?」
俺がそう聞くとリエルは嫌な過去を思い出したのか苦虫を噛んだような顔をしていた。
「ちょー昔の時に、このアタシに告白してきたのよ。 もちろん断ったけどね」
空を眺めていたルカが急にリエルの方を振り向いてリエルの顔に顔を近づけていた。
「こここ... 告白!?」
「お前が告白ねぇ... 」
「何よ二人とも。 アタシだって告白される事ぐらいあるわ。
もちろんぜ〜んぶ断ってるけどね!」
「一体お前のどこに惚れたのかは知らんが、 大賢者と繋がりがあったのは驚きだな...
もしかしてお前歴史に名を刻めるぐらいヤベェ人物なのか?」
「アタシ二人に言ってなかったけど王女よ? 妖精の国の。 後アンタ失礼ね」
リエルがそう言った瞬間、一気に場が静まり返った。 聞こえてくるのは『氷龍』の翼の音だけだ。
だが、俺とルカが何回か顔を見合わせた後大声をあげて驚いた。
「「王女!???」」
「うっさいわね...!! 王女、そう王女よ!」
「な、なんでお前今ここに居んだよ!! 王女なら自分の国に居ねえと駄目じゃねぇかよ!」
「そそそ... そうだよ!! てか、なんで言ってくれなかったの!?」
「いやだってアタシ色々した後に王国に帰れなくなって、長い間寝ちゃったもの。
もう妖精の国じゃ新しい王女でも出来てるだろうから言わなかったのよ。
まぁ...? 聞かれたから言っちゃった? みたいな?」
「俺... お前の国に行ったら処刑されるかもな」
俺は今までの愚行や汚い言葉を思い出し、後悔が押し寄せてきていた。
リエルはそんな後悔している俺の顔を見たのか知らないが俺の肩に乗ってきた。
「妖精の国には処刑とか暴力とか物騒なものはないわ!! アタシがそう決めたもの!
だから安心なさい! 王女として... 大精霊としてアンタ達をいつかアタシの国に連れてってやるんだから!!」
「「いやそれは別に...」」
俺とルカの声が被った。 別に俺達はそこに行く用事がない。
「は....? え? なんで?」
「いや行く用がねぇだろ... てか、恐れ多くて行けねぇよ」
「私は気になるけど...
妖精の国に私達みたいな人間が入るのはどうなのかな... って思ってさ」
「いつか帰って見せてやるんだから... アタシが作った国を...
用がないならアタシが作ってやるわよ!! いつか絶対に連れてくから!!
分かったかしら!?」
「あぁ... うん。 もうなんでも良いよ」
「.... やった」
リーニャ帝国に向かう中で二つの事実が新たに発覚した。
【大賢者に告白された事があるリエル】
【妖精の国の王女 リエル】
謎に塗れたリエルだったが、この空の旅で謎が少しずつ明かされていった。
俺達はとりあえず石を持っておく事にし、いつか大賢者の元に持っていくことを決めた。
そして、リエルの国にいつか行く事も決められた。
だが今の目標はリーニャ帝国だ。
俺達はリーニャ帝国の近くで降ろしてもらい感謝を伝え、リーニャ帝国の門の前まで歩いていった。
俺達はやっと第一の国【リーニャ帝国】に辿り着いた。
面白い!先が気になるぞ?と思った方は
ブックマークの追加と広告の下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして評価していただけるとめちゃ嬉しいです!!感想なんか書いていただけたらさらに嬉しいです!執筆のモチベーションになるので、どうぞよろしくお願いいたします!!