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聖女戦争  作者: 猫宮
序章 帝国編
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第12話 今後の目的

「我が其方らを傷つけてしまったのか? あぁ... 我はなんて事を...」


「いや、傷ついたのはロイだけっていうか... で、でもロイは怒ってないよ?

 あなたが傷つける気がなかったのを知ってるから!」


「それでも我は傷つけてしまった... 兄様との約束を破ってしまった....」



ん.... 声が聞こえる。 それと微かに光が見える...


俺はゆっくりと目蓋を開いた。 目の前には、ルカと『氷龍』が居た。

二人は起きた俺に気づかずに話しているみたいだ。


リエルは... なんだここに居たのか。


リエルは俺の掌に乗って眠っていた。 だが、どうやら起きそうだ。


「ん... やっと起きたのね」


リエルは眠たそうな顔で目を擦っていた。


「リエルのおかげで元気になった。 ありがとよ」


「アンタのおかげで『氷龍』を治せたのよ?

 それに、アタシのせいでこうなったんだから謝りたいし感謝もしたいわ」


「俺もああなるとは思ってなかった。 リエルは悪くねぇよ。 

 真に悪いのは、 この怪しい石を『氷龍』にブッ刺した犯人だ。

 この石のせいで俺とリエルがボロボロになっちまったからな」



「アンタってほんと優しいわよね。 彼女の一人や二人居たでしょ?」


「年齢=彼女無しだよ。 というか、俺はんなのに興味ねぇの。

 なんだ? 俺の心をボロボロにしてぇのか?」



「居てもおかしくないくらい優しいって褒めてんのよ。 

 まぁ、でも治ったみたいで良かったわ!!」


「俺と同じで何か伝えるの下手だな。 でも、リエルのおかげで傷が完全に治ったぜ。

 腕も動くし、足もちゃんと動く!」


俺は右腕と左足を動かした。 両方ともちゃんと俺の意思通りに動いた。


「魔物で繋げたって言ったから、魔物を取らないといけないのかと思ってたけど

 魔物が切れた神経と血管の代わりになって治癒しやすかったわ!!」


「でもリエルってこんな大傷でも治せんだな。 やっぱ大精霊ってすげぇんだな」


「昔はもっと凄いことが出来たのよ? 今はちょっと出来なくなったけど」



リエルはそう言って少し悲しい顔をしていた。 俺はそんなリエルの頭を撫でた。


「何よ...?」


「昔を知らねぇが、今も十分にすげぇよ」


「褒めても何も出ないわよ?」


「治してくれた感謝だ」


「ありがたくその感謝受け取っとくわ。 起きた事だし行きましょ? リエルのとこへ!」


リエルはそう言って元気に俺の周りを飛んだ。


「あぁ、そうだな。 色々『氷龍』に聞きにいかねぇとな」


俺はバキバキと鳴る体を起こして、『氷龍』の元に歩いていった。



_____________



「よっ、ルカ」


俺はそう言ってルカの肩に手を置いた。


「わっ!! も、もう〜!! びっくりしたじゃん!」


「そ、其方がロイと呼ばれる者か?」


驚いてるルカは置いといて、『氷龍』が大きな顔を俺に向けてきた。


「あぁ、そうだ。 俺がロイだ。 色々話したい事が」


俺が要件を言おうとしたその瞬間、『氷龍』が頭を下げてきた。


「すまない、すまないロイよ!! 我は其方達人間を傷つけるつもりなどなかったのじゃ!!」



「あ...? え? あ、あぁ。 知ってるぞ」



「詫びは何が良い? 我が出来ることであれば何でもする!」


「いや、詫びは別に要らねぇ。 お前がしてきたわけじゃねぇんだから。

 それより色々お前から話を聞きたいんだ」



「話... 話か。 良い、我に聞きたい事を存分に聞くと良い」


「んじゃあまぁ、まずコレについて」



俺はそう言ってポケットに入れていた怪しい石を取り出した。


「お前の背中にこの石が刺さってた。

どうやらこの石には魔龍をも狂わせる程の力が込められているらしい。 

お前はコレを誰に刺された?」



「誰に... と言われても詳しく思い出せないのだ。 其方がその石を抜く前の記憶が無いのだ。 

 だが... 意識がなくなる前、一人の男と話したのは覚えている」


「どんな男だ?」


「背丈は其方より少し高いぐらいで、髪色は... すまない思い出せない...

だ、だがその男は剣を持っていた!! そ、その剣はその石の様に怪しいオーラを纏っておった!」



「どうやらその男が犯人みたいだな。 んで、その男何か喋ったりしなかったのか?」


「合っとるかは分からないが確かこんな事を言っていた気がする。


 『氷龍、君には『死龍』と同じ様になってもらうよ。 僕の代わりに仕事... 頼んだよ』


 と... あぁ!! そういえば兄様! 兄様は!!」



「ん? どうした急に。 お前の兄さんがどうかしたのか?」


「前まで感じていた兄様との絆を感じないのだ!! 声が... 声が聞こえない!!」


「絆? それって魔力調整で話せる的なアレか?」


「えぇ、そうよロイ。 大正解」


リエルが急に割り込んできた。


「『氷龍』? それは本当の事?」


「我は嘘をつかない。 本当だ」


「その変な男の会話の内容を聞いて嫌な予感がしたけど... ほんとにそうなるとは思ってなかったわ」


「も、もしや!! 兄様にもその石が刺さってると言うのか!?」


「えぇ、多分刺さってるわ。 その男の会話を信じるなら...

まぁ、 というか信じるしかないでしょうね。 証拠に会話が出来ないんだから」



「そ... そんな.... 兄様。 兄様が...」



『氷龍』は大きな羽で顔を隠した。 多分、泣いているのだろう。

 俺はそんな『氷龍』に向かって今後の計画を言うことにした。


「俺達、実は冒険者でよある爺さんの依頼があってお前を治しにきたんだ。

 

本当はこのサクナ村にこんな滞在するつもりはなかったんだが

お前が起こしてた異常気象のせいで動く事が出来なかったんだ」



「そ、それはすまない...」


「解決したから良いんだ。 んで、俺達は勇者の遺物を集める為に旅をしている。

 んで、この近くにあるリーニャ帝国には

 勇者の遺物である『勇者の盾』があるだろ? 

 で、そのリーニャ帝国の近くにはお前の兄さんの『死龍』の洞窟があるだろ?」


「あ、あぁ... ある。 も、もしや!?」



「そう、そのもしやだ。 俺達がその『死龍』を救ってやる」


「え?」


「は?」



ルカとリエルが俺を見てきた。


「本当に言ってるの...?」


「あぁ」


「アンタっ... 『死龍』がどんな力持ってるか知ってるの?」


「死の域だろ? 知ってるぞ」


「その域に入ったら死ぬのよ?」


「いや、聖魔法使えば入れるんだろ?」


「入れるけど... アンタ使えないじゃない!」


「それはまぁ... リーニャ帝国で強い聖魔術師見つけりゃあ良いんだよ」


「アンタねぇ...!! はぁ、もう本当馬鹿!!」


「俺達『氷龍』を治せたんだぞ? 頑張れば『死龍』も治せるだろ。 別に『死龍』を舐めてるわけじゃねぇしよ」


「アンタ腕と足飛んだの覚えてないの!?」


「救えるんだったら救う... そうリエルが言ってなかったか? 俺は救ってやりたいんだ。

 俺の体はどうなっても良いからよ」


「いっ.... はぁ.. そうね。 確かにそう言ったわ。 

 はぁ.. もう分かったわ。 えぇ、そうね。 救わないとね」


「私はまぁ... 二人が決めたのなら」


「だとよ。 良かったなガンドゥフェン」


羽で顔を隠していた『氷龍』は羽を上にあげまた、頭を下げてきた。


「本当... 本当に其方には頭が上がらない。 我は、我は!!」


「まぁでもんなすぐに治しにいけるわけじゃねぇから、そこは理解してくれよ?

 治せるか分かってから治しに行くから、下手しい治るまで結構な時間がかかるかもしんねぇぞ?」


「兄様とまた話せるのなら... 我はいつまでも待てる。 本当に... 本当に頭が上がらない!! 

 そのリーニャ帝国とやらに行く時があれば我を頼ってくれないか?

 我が、その近くまで飛んで運んでいく!」



「2日ぐらい歩けば着く距離だが... その2日が無くなるのはありがてぇな。


 よし、じゃあ頼んだ! 行く時またここに来るからよ」


「あぁ、頼まれた。 我は約束を守る」



「んじゃあ、話す事も話せたしリーニャ帝国ら辺で起きてる異変の正体も知れた事だし

俺達はサクナ村に帰るぜ」


「あぁ... 分かった。 其方達の時間を奪うわけにはいかない。

 それに其方は我のせいで傷ついてしまったからな」


「治ったけどな。  ま、でも爺さんとの約束もあるからな。 またな、ガンドゥフェン」


「あぁ... 其方達を待っておる」


俺達は『氷龍』に見送られながら洞窟を出た。


「んじゃ村に帰るぞ、ルカ、リエル」


「帰ったらご飯... ご飯が食べれる」


「用意されてるものね... というかルカはもうご飯の事考えてるの?」


「もうすぐて夕暮れだもん。 お腹空いてきちゃった」


「肉料理は今日は食べたくないな...」


「アンタは肉が一瞬無くなったものね」


「骨もな。 ははっ、笑えねぇジョーク」


「アンタが言い始めてんのよ馬鹿」


俺達は荷物を持ってサクナ村へと帰っていった。

 

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