第8話 『氷龍』治癒作戦
「ロイ.... ロイ起きて!!」
ん....? ルカの声が聞こえる... 頭がズキズキする...
俺は目を開いた。 するとそこには俺をじっと見つめてるルカが居た。
「い.... 今何時だ? 俺は何時間ぐらい倒れてた?」
俺はクラクラする体を起こした。 ルカはリエルを手のひらに乗せていた。
「3時間、3時間も倒れてたのよ。
二人とも顔色が悪くなるし、汗がどんどんと出てくるし。 ほんと焦ったんだから!!」
3時間って事はもう今は夜か...
やっぱああいうのは入念に準備してからやらねぇとこうなっちまうな....
というかリエル... リエルは大丈夫なのか? 俺はリエルを探し始めた。
だがルカが俺の肩をチョンチョンと触ってきた。
「リエルなら私の手のひらの上で寝てるわ。 大丈夫。 私の魔力を吸って生気を得てるから」
「ふぅ... 良かったぜ...」
「でも本当にビックリしたんだからね? 急に二人が倒れるし、ダラダラ汗は流すしで」
「俺も倒れるとは思ってなかったぞ。 やっぱ魔法はリエルに色々聞いてからやった方が安全だな」
「リエル教えるの下手だから... 多分無理だと思う」
「誰が教えるのが下手ですって!?」
俺達は揃って下を向いた。 するとそこには怒った顔をしたリエルが居た。
「起きてたのかよ.... 」
「ロイ... アンタねぇ!!
分からない事あるんだったら最初に聞きなさいよ!!
危うく凍らされて戻らなくなるトコだったじゃないの!」
「いやまぁ... 解除出来るだろって軽い気持ちでやっちった」
「次からは分からないんだったら最初から言いなさいよね!!」
「はい... すんませんでした..」
俺はリエルに頭を下げて謝った。 ルカは俺達を見てアタフタしていた。
珍しい光景に驚いているからだろう。
「でもロイがしてくれたおかげで見つかったじゃない。
『氷龍』がおかしくなった原因を!! 分かったからには治せに行けるわね!」
リエルはそう言って俺の周りを飛び始めた。
「この吹雪の中をか? ここ最近は毎日吹雪だぞ? 落ち着く日なんてあるか...?」
「よ〜く考えなさいロイ!
ここ最近起きてる吹雪は全てあの『氷龍』が起こしてるのよ?
つまり、『氷龍』の魔力で起きてるってわけなのよ。
ロイは魔力に何で対抗するかは知ってるわよね?」
「魔力には魔力だな... ん、、?
もしかして魔力を体中に纏って『氷龍』の元に行くって言うのか?
確かに、そうすればこの猛吹雪の中でも行けるだろうけどよ... 」
「アタシとロイが居れば楽勝でしょ!!」
「いや、ルカはどうすんだよ。
ルカ自分で魔力をコントロール出来ないんだろ? どうやって守るって言うんだよ」
「何の為にアタシが居ると思ってんのよ! アタシがルカを守るわよ!!
ロイはまぁ... 頑張りなさい!」
「いや行けなくもねぇけどよ...
はぁ... 分かったよ。 まぁ、それしか手がねぇしな」
「決まりね!!
じゃあ安全に向かう為にも今から準備するわよ!!」
「もう夜中に近い時間だし、準備すんのは明日からで良いんじゃねぇか?
俺とリエルは魔力乱れちまってるだろ?」
「明日にでも救いに行きたかったけど、ロイの言う通り魔力が乱れちゃったわね。
ちょっと焦ってたのかもしれないわ。 『氷龍』も魔龍だものね... 」
「『氷龍』は優しい魔龍で有名だから、そうなんのも仕方ねぇよ。
あぁなるのなんか誰も予想できねぇしな。
まぁとりあえず明日の為にも、先に風呂入ってくれよ。 俺も風呂早く入りてぇからよ」
ルカにそう言うと、ルカはパジャマと下着を袋から取り出してベットから立った。
「じゃあお言葉に甘えて頂こうかな。 リエル、一緒に入ろっか」
ルカがそう言うとリエルはルカの周りをビュンビュンと飛び回って喜んでいた。
「じゃあお先にね!! ロイ!」
「あぁ」
ルカとリエルは風呂に入った。
俺は残った体力を使って『氷龍』に立ち向かう為の準備を進めた。
と言っても何かを用意するわけじゃない。 使えそうな魔法を選定するだけだ。
俺は静かな部屋で二人が帰ってくるまでずっと考え事をしていた。