やっと始まる旅
俺は旅の準備を終え、ギルドに向かうと2人はギルドの前でベンチに座って待っていた。
「なんでそんな所で待ってるんだ?今日は少し肌寒いだろ」
今日の天気は曇り。風は強風とまではいかないが、夏なのに寒く感じるほど風が吹いている。
「いやぁ、この子と2人っきりでいるのは少し空気が重いというかなんというか。だから外の空気を吸っていたんだよ」
「私はそうは感じなかったが外に行くと言うので私も着いて行ったんだ。」
「ま!そんなことはどうでも良くて、みんな準備出来たな!行くぞー!!!」
お前が運転する訳じゃないんだから静かにして欲しい。
俺は運転席に、メガネは助手席に、ユリさんは後部座席に座った。
「それで行先は決まってるのか?」
「色々調べた結果、まずは3つ隣の街に向かうことにしよう!」
ここら辺の街は大体が壁に囲まれていて、外のモンスターからの攻撃から守るように設計されている。
俺らが最初にいた山は少し街から離れているためモンスターも昔は全然いたのだが街の冒険者達がここら辺を狩り尽くしてしまったのであまりいなかったのだ。
車は街を抜け、馬車などが通る道を車で走行していた。都会の方ではコンクリートで出来た道を走れるためでこぼこしていないのだとか。コンクリートを壁だけじゃなく道に使うとは、都会はいいな発展してるなぁ。都会は走りやすそうだなと考えていると、メガネが小声で「なんにも話すことねぇーな」と言ってきた。まぁ、なんの話題もないからな。静かで良いじゃねえかと思った。「ま、任せろ」とメガネが言うとメガネが持ってるバックから本が出てきた。
「俺がガイドさんをやってやるぜ!」
「何言ってるんだお前?」
「そのまんまの意味だよ!!」
「ま、いいんじゃないか?ここら辺の土地はよく分からないので説明があると助かる」
「そうだろ!そうだろ!」
「バカにしてはよく考えた方だな」
「ぬわぁんてこと言うんだ!!このチビ!」
メガネは罵倒し返したがユリさんは外を見ていて見向きもされていなかった。
「もういいから早く説明してくれよ」
メガネは少し嫌そうに説明しだした。
「えぇーっと、ここから左手にある大きい山は世界の中でも珍しい山だってさ」
「何が珍しいんだ?」
「それはだな、あの山頂にある木がその山でしか取れないものだそうだ。他の所で育てようとしたらしいんだが…全て失敗に終わってるらしい。一説によればあの木は何か呪われているのではと言われてるらしいぞ」
「ふーん。それでその木は何かに使われているのか?」
「そこまでは書いてないが、呪われてるって言われてるんだからなんにも使われてないんじゃね」
なんか眠くなってきたとメガネが言うと、凄い早いスピードで寝だした。こいつはいびきをかかない。理由はいびきをかくと先生に寝てるのがバレるからわざわざ訓練したらしい。まぁ、俺もあまりかかないほうだからバレたことは無い。
「ユリさんも眠かったら寝ていいよ」
そう言ったが返事が返って来なかった。寝たのかな?と思い、ミラーを見ると外を見ながら何か考え事をしているように感じた。
2つ目の街を過ぎた辺りでメガネがトイレに行きたいと言うので街に戻り、その街のギルドでトイレを借りた。メガネは大の方だったらしく、時間がかかった。2人で待っているとユリさんが話しだした。
「あの、唐突で悪いんだが敬語をやめて欲しいんだ。普通に会話してた方が話しやすいというかなんとういか。」
「いいですよ」
「じゃあ、今からスタートで」
ユリさんがそう言うとおっほんと咳をした。
「じゃあ改めてよろしくなユリ」
「あぁ、よろしく頼む」
そんな会話をしてるとちょうどメガネが帰ってきた。それを話そうかと思ったが、メガネは最初からタメ口だったのを思い出した。
春を感じるよね