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多々良開は甘党で、気に入りのケーキ屋で定期的にケーキを買っている。そこでは開が密かに気になっていた幼なじみの藤木あいりがアルバイトしており、懐かしくなって開とあいりはいろいろな話をした。
それからというもの、開はあいりのアルバイト先で新作スイーツが出るたび定期的に買いに行っていた。しかしあいりと会えば会うほど、どんどん惹かれていくのに気づく。これ以上踏み込んで、あいりとの今の良好な関係をこの手で壊してしまうのが開は怖かったのだ。
お店に行くのをやめて3ヶ月が経ち、開は退勤中のあいりとばったり遭遇する。少し立ち話をした後に、あいりから
「最近お店に来なくなったけど急にどうしたの? いま新作スイーツも売ってるのに」
と訊かれた。新作スイーツを買いたいのはやまやまだけれど、あいりと友達以上の関係に進めるか開は不安だったのだ。
「だってこれ以上店に行ったら、どんどんお前のこと好きになってしまうから……」
開はパーカーのフードで顔を赤くしながらしゃがみ込む。耳まで赤くなっているのをあいりに見られたくなかったからだった。