1 人間との接触
……あれから、どれくらい経ったんだろう。
たぶん、数時間は過ぎてる。
それにしても――正直、狐としての生活も悪くないかもしれない。
人間関係がないから気を使わなくていいし。
広くて開放的な景色は、ただ歩くだけでも気分が晴れる。
「……ま、悪くないか」
ひとまず落ち着いたので、周囲を確認することにした。
木々が生い茂る森。昼は太陽が差し込み、夜は月が浮かぶ。
――見た目は、元いた世界とそう変わらない。
でも、よく見るとおかしい。やたら変な形の木の実、絵本から抜け出したみたいな生き物たち。
中には、巨大なカマキリや、ゴブリンのような人型の化け物まで。しかも魔法まで使って縄張り争いをしている。
「……終わった」
けど、レモンがくれた第二の人生――いや、狐生。
どうせなら、生き残ってやる!
生きるために必要なのは「衣・食・住」
服は……まあ、毛皮があるからいいとして、まずは寝床!
とね…私もバカでは、ない
ある程度の知識は、あるつもりだ。
目覚めた場所を基準に東はカマキリ地帯、西は霧の森、南は山、北は川。
危険を避けるなら……川沿いだろう。
川は透き通っていてきれい。魚も見える。
でも、釣ろうとして逆に食われるとか……笑えない。
パンはレモンからもらった備蓄があるけど、果物も食べたい。
ただし、見知らぬ木の実は命がけだ。
そんなとき、川のそばにツタで覆われた洞窟を見つけた。目立たないし、中も安全そう。
「良物件では……?」
湿ってるけど、雨風はしのげる。新しい家、決定だ。
「……あとは、安全確認かな」
…特に誰かがいた痕跡もないし
ルアナが洞窟の周りを探索するが、特に変なものは、無く
少し湿っており、ゴツゴツとした岩が並んでいた。
…決まり!!!
ここが新たな私の一人暮らしの初めての家!!!
……初めての一人暮らしの家が洞窟だなんて、とんでもないなぁ
とりあえず、ここでレモンからもらったバックの中身の確認をしようかな。
まだじっくりみてなかったし…
「バックの中身は、なんだろな!」
ルアナが小さなバックを開けて一つずつ出して行くく予想外にたくさんものが出てきた
…数にキリが見えないパン
さっき使った、星形のコンパス
それに、綺麗な虹色の石と
ブラシに本、お金、カメラに……
…ブラシ!!!
狐には、最強アイテムじゃん!
それにこの綺麗な石に、カメラ!?
何故…?
…あとは、この本!
特に表紙に、何も書かれていないけど…?
はっ……!
まさか異世界の知識……!?!
「えっと…」
白紙だ…!
白紙て…どうしろと!!!
鑑定!とか
賢者!とかで教えてくれるとかないよね
スキルとかもあるかわかんないけど
鑑定系統の道具がなかったし…
本当におかしいよ、異世界の知識が
ほとんどない赤ん坊同然の私を異世界に来させるなんて…
しかも、狐だし
まぁ、私が楽しい世界に行きたい
とか言ったせいなんだけどね…。
「よし…!とりあえず」
さっき私が言った
「衣」「食」「住」のうち、食と、住をコンプしたから
あと残りの衣だけど…
……思った、私狐だからいらないじゃん!
寒くも暑くもないし
「つまり揃った……!?」
やったぁぁぁ!!!
まさか……こんな早く揃うなんて
ということは、ここからは、いろいろ実験かな。
「まずは……」
生態系の再確認。
…前に私は、山に放り出されたことがあった時に
最初にしたことは、付近の動物の特徴などをまとめた。
この世界でも、どんな動物がいるかもわからないような世界だし
未知な理、魔法があるのを確認済みだ。
…ちゃんと事前に調べておかないと。
『なにそれ、知らない!』
なんてことで死ぬのが1番嫌だし……
……レモンにも、また会いたい
……そう……正直1番ここにきて辛い事がある
それは、レモンと会えない事だ。
レモンとまた話したり、遊んだりしたいよぉ!!!
心に穴が空いたみたいな感覚…
…またレモンに会いたいな。
……………ダメダメ、レモンがせっかくこんな夢にも見たような、ことをしてくれたんだから
…暗い気持ちになんかなったら、勿体無い!
「まずは、周りの動物に何がいるのか、見ないとかな」
そうして私は、周りの状況視察をすると、わかった事があった
…少し前の世界に似ている動物が多かった事だ
……似ている性質が多く
カマキリに、ダンゴムシなどがいた
……もちろんここが異世界とだけに、拠点周りには、居ないが
少し遠くへ行くと、スライムなどが居た
スライムは、酸性の特徴を持っているらしく
葉っぱなどを、むしゃむしゃと体内で溶かして食べていた
スライムは、体が酸で、できてるのかなと思っていたけど土や葉っぱを溶かさない時もあったから、体は、触れるみたい
……実際、私に、きのみをくれたりと
敵意を持たない平和的なスライムは、が多かった。
触ったけど
すごく、ぷにぷに、つるつるで気持ちよかったぁ
…魔物同士は、平和的なのかな?
実際襲ってくる事がほとんどなかったし。
そんなこんなで、私は、スライムたちからもらった、きのみを持ち、家に帰って行った。
「言葉っていらないんだなぁ…」
そう私は、きのみの入ったバックをおろした
……きのみは、全部で五種類
オレンジ色の星型のきのみ
赤色ハート型のきのみ
黄色のひし形のきのみ
まるみを帯びた、青色のきのみ
三角形の碧色のきのみ
……これ、本当に毒とかないかな?
もらいものに、悪態つけたくないけどさ。
………ふむ〜、どうしたものか
…食べるのに結構勇気がいるんだよねぇ
………いや!優しさに悪態は、つけない主義だから!
そう言い、ルアナは、星型のきのみを食べると表情が変わった
「……っ!美味!!!」
オレンジみたいな酸っぱさに、ほんわり甘さがある……
…えっ、うますぎる……これ100個は、欲しい……
次々とルアナがきのみを食べていった
ハート型のきのみは、いちごみたい!
ひし形のきのみはりんごみたいな食感だ!
青色のきのみは、ブドウ?みたい
三角形の碧色のきのみはスポーツドリンクみたいな味!
「…全部美味かったぁ!」
そういい、水分で膨らんだお腹をポンポンと叩きながら言った
またきのみも取りに行きたいけど
狐だからか、こんなに食べるとお腹がかなり膨らむなぁ
…まぁ一つで十分かな
……これからどうしようかな
とりあえず目的も決めときたいかな
まだ決まる気がしないけど……
……………ゆっくり決めようかな!
こんな感じ私の異世界生活が一週間ぐらいが過ぎた
……私は、洞窟暮らしをして思った事がある
床が冷たいし床が硬いということ!!!
分かった事もまとめると本当に私に敵意を向ける輩もいないという事だ
あとは、この世界に馴染んだのか
そこら辺に、魔力が満ちているのがわかった。
食べ物は、とりあえずパンを食べてる
スライムからも、ちょくちょくきのみをもらっている
狐の朝は寝癖がひどく
毛がボサボサになります。
なので、水とブラシ整えています。
こんな生活が、少し不便で嫌気をさしてるが
学校、社会人、人間関係がないし
なにより自由にしてられる。
それより私は異世界に
かなりわくわくしている。
「でもなぁ…」
りんごとか、お米とか食べたい!
そんな事を悩んでいると
血の匂いがした。
「匂い…?それも血の匂い?」
そう、私は、狐になってから
匂いにも敏感になった
誰か怪我でもしたのかな
それとも…
ここは森
弱肉強食の世界だ。
正直魔法も使えない私にできることなんてない
だから私は、極力家から動かなかった
別にたすけるメリットはない訳だし…
そう思っていると
青の人魂が私に行けと言わんばかりに
私につついてきた。
「行って欲しいの?」
私は少し笑ったような寂しい顔しながら言った
ルアナは鞄を背負って
その匂いに向かって走った。
正直私が行ってもできる事はないかもだけど
そんな事、そん時考えればいい…
今は、行くか行かないかだと思う
そんな事を考えていると
木に寄りかかっている
足に怪我をした。
白髪の少年と角の生えたイノシシがいた。
ズサっとイノシシの前に入ると
イノシシが突撃してきた。
あれ?!私を見ても逃げないの!?
…どうしよう、殴るとかかな?
狐のパンチなんて…
こっちが吹っ飛ばされるだけだし
攻撃する手段は…
悩んでいると
突然赤の人魂が前に行き
イノシシの周りに火の輪が出てきた。
「人魂くん!?」
火の輪とイノシシがぶつかると
イノシシが焼かれた。
ななな、なんじゃこれ!?
赤の人魂くんからドヤ顔が見えるような…
それよりえぐいなぁ赤の人魂くん
あっ、とりあえず少年の元に行こう
「大丈夫?」
ルアナが尋ねると少年がうずくまり始めた。
痛いよね…。
こりゃ話せる状態じゃないか
悩んでいると青の人魂が
少年の足の怪我にくっついた。
「わぁぁぁ!?」
私と少年は驚いた。
「なにこれ!?」
少年をひっぱりながら言う
「離してやりなよぉ!」
私と少年が引っ張ってると
少年の傷がみるみる回復していった。
えっ、魔法!?
いや、それともなにか違う原理なのかなと
そんな事を考えていると少年がこちらに寄ってきて言った。
「あっありがとうございますきつねさん!」
別に私は、なにもしてないんだけどなぁ…
…そうだせっかくだし
「ねぇ君、この辺りに街とかない?」
ルアナが言うと少年が指を差し言った
「ここからだと西にありますよ」
「そっか、西かぁ」
西って言ってもなぁ
わからないなぁ
そんな事を考えていると少年が私の方を見て
「よければ僕が案内してあげますよ?
行く途中でしたし」
「えっ、良いの!?…でも悪いよぉ」
ルアナが遠慮してると
「いえ、全然!治してもらったんだし、悪い狐さんじゃなさそうなので!」
カイが優しい声で言う
優し!なにこの子ぉ!
でも、この世界の事とか聞けるかもしれないし
「じゃあ、お願いしようかな」
ルアナが申し訳なさそうに言う
「はい!あっ自己紹介がまだでしたね
僕はカイと言います、よろしくお願いします!」
カイがお辞儀をした。
「私はルアナ、訳あり狐だよ
こちらこそよろしくね」
ルアナもぺこりと頭を下げた。
「よろしくお願いします!
それでは行きましょう」
私とカイは歩き始めた。
そういや、今私狐なのになんで人間と話せるんだ?
人間関係がないとは…?
「なぁなぁカイ」
カイに尋ねた
「なんでしょう?」
「私、狐なのになんでカイと喋れてるんだ?」
ルアナが聞くと
「それは僕のオンリースキルのおかげですね」
「オンリースキル?」
ルアナが質問すると
「オンリースキルは例えば僕でしたら共通言語ありとあらゆる言語がわかるんですよ、まぁ自分だけのスキルみたいなものですよ」
ファンタジーみたいだ
なら、私も魔法とか使えたりするのかな
そんな事を考えているとカイが言った。
「ルアナさんもあると思いますよ
それだけの上級魔術も使えるんだし」
「ふむ」
本当はこの青の人魂なんだけどなぁ…
私なにもしてないし
「ルアナさんこそ、街になんか用なんですか?」
「用というか、情報集めかな」
「情報?」
「この世界の事、とかかな?」
「世界の事…ですか?」
地球から来たからわかんないんです!
とか言ったら、おかしいよね…
「ふふっ、変な魔物ですね」
「そうかな…」
「そもそもこんな森に、話せる魔物がいるのがおかしいんですけどね」
「そんな物なのかな」
「そんな物ですよ」
地球に戻りたいとは、思わないけど
この世界の事、生きる理由を知りたい…
街になにか情報があるといいんだけど
そんな事を考えていると
「見えて来ましたよ!」
茂みをかき分けると、森がふいに途切れた。
足元から風が吹き上げてくる。そこは崖の縁だった。
見下ろせば、灰色の石壁に囲まれた街が広がっている。
屋根は太陽の光を反射して白く染まり、城のような門が静かにそびえていた。
壁の外には細い道が一本、森の中をくねくねと伸びている。
胸の奥がぎゅっと熱くなった。
心臓がちょっと早く動く。
これから何が待っているのか、私にはまだわからない。
でも、一歩足を踏み出せば、たぶんもう戻れない。
それでもいい。だって――ここからが、私の物語の始まりだから。
ルアナの身長は、145とご本人は言っているが、
…実際は、それより0.1センチ小さいのである




