表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/29

0話 神隠しにあったと思ったら狐に転生してました

0話 神隠しにあったと思ったら狐に転生してました

人間を辞めたい

などと思ったことは、ないだろうか

今の生活が退屈

などと思ったこともあるだろう。

「鳥のように空を飛びたい」

「猫のように自由に」

……など。


常に人々は、非日常を夢見た。


私も、そうだ

最強チート能力を持ち、異世界転生

狐になって、自由に暮らす日々

みんなが、私を慕ってくれる世界

自分は、いつも夢見ている。


もし第二の人生……

いや、この際人間でなくてもいい。

自分が今よりも楽しいと思える世界に行けたなら

…死んでもいいと思ってしまった。


「……ん……もう朝、か……」


薄汚れた屋根裏部屋のすみで、少女がゆっくりと身を起こした。

軋むベッドの音と、わずかに差し込む朝の光。

小さな窓の向こうに、ぼんやりとした太陽の輪郭が浮かんでいる。


少女は無言で、制服へと着替える。

古びた階段を二段、三段と降りて、音を立てないように台所へ向かった。


手慣れた動きで洗濯機を回し、冷えた台所で朝ごはんをつくる。

湯気のたつ湯呑みと、こんがり焼けたトースト。


……けれど、それを食べることはなかった。


少女はテーブルの端に、メモを一枚そっと置いた。


『行ってきます』


それだけ書かれた紙を残し、カバンの肩紐を背負い直す。

少しだけ冷たい空気の中、扉を静かに開けて、彼女は学校へと歩き出した。


今日も学校…嫌だなぁ

今日こそ、私の席あるといいな。

なかったら、不登校の子の席を借りよう

………今日もまた、無視されるのかな。


「…」

学校、社会、人間関係

どれもが面倒くさい。


私は、昔に誰からか学校には、行けと言われた。

………ものすごく大事な存在だった事しか覚えていない。

なので、嫌々学校には、行っている。

行っては、いるが

正直別に行かなくてもいいのでは?と思う時がある

だって私にとっては、どうでもよかったから。

お金が稼げない?

友達ができない?

この社会の中で生きていけない?

そんなの人間が決めた事にすぎない

実際不登校でも、生きていけてる人もいる

元々生きるのに、必要ない事だよ。


私の名前は、月見屋ルアナ。

高校一年生、16歳。

特別すごいことができるわけでもないし、胸を張れるような特技もない。


強いて言えば、身長がちょっと……いや、かなり低い方。139センチ。体重も30キロちょっと。

小さいって、よく言われる。まあ、慣れっこだけど。


あとは……暗記がちょっと得意かな。教科書のページとか、わりと頭に残っちゃうタイプ。


見た目で言えば、髪はちょっと明るめのオレンジ色で、光が当たるとけっこう目立つ。

「キツネっぽい」って言われたこともあるけど、そんなつもりはないんだけどなぁ……。


一番目立つのは、オッドアイ。

左が黄色で、右がオレンジ。

これ、昔事故った時に変わっちゃったらしいけど……そのへん、あんまり覚えてない。


ただ、めちゃくちゃ痛かったのは、覚えてる。


おっ、そんなことを話しているうちに学校についてしまった。


「……って、えっ!? ちょ、待って、やば……遅刻ぅっ!?」


ぼそりと呟いたのもつかの間、ルアナは肩のカバンをぎゅっと握りしめて、廊下を駆け出す。

靴音が、がらんとした学校に響いていた。


教室のドアを開ける。

誰もこちらを見ない。誰も、何も言わない。

でもルアナは、何も気づかないふりをして、空いている席へすっと歩き、椅子に座った。


ノートを開いて、先生の声をただ聞く。

今日も、誰とも目が合わなかった。


(……そっか、今日も、無視か)


ぽつりと思う。


……この教室にいて、姿を消されるような感覚にも、もう慣れてしまった。


(いじめられるより、マシ……だよね)


でも、本当にそうなのかな。

声をかけられない静けさが、今日はやけに痛かった。


……………無視が続いて二ヶ月


…凄い元気に騒ぐ男の子達。

いろんな、メイクをしてる女子達。

影で本を見てる人たち。


クラスには、いろんな人がいて

それぞれに、いろんな思いを持っている。

みんながみんな、それぞれの個性を尊重して生きている。


だけど……

私だけ、その中に入れなかった。


………学校抜け出したいな。

でも、親友に怒られるし

ぅぐぅ……。


ルアナは自分の席に腰を下ろすと、

ゆっくりと腕を机にのせ、顔をうずめるようにして、そっと伏せた。


誰も気づかないまま、誰にも見られないまま、

呼吸の音だけが、静かにその小さな空間にとけていく。


瞼が落ちるのを止められなかった。

まるで、疲れた心が体ごと沈んでいくみたいに——


そのまま、ルアナは小さな寝息を立てて、眠りに落ちていった。


私の親は、いわゆる毒親というやつなのかもしれない。

お父さんは、不倫でどこかに行ったと、言っていた。

お母さんはというと、私が小学生の頃から、私を放置している。


小学生に上がった頃、突然部屋にこもって

部屋から出てこなくなった。

先生達は、その事を知っていたのか、高校に上がった今でも教育費について話が来なかった。

それに加えて、小学生に上がった時から、毎日のように

お金と言葉の書いてある紙が入った手紙が、届いていた。

差出人は、フラーウムという方だったが、全く知らない人だったので

最初は、怖かった。

けれども、毎日届く自分が、欲しかった言葉を言ってくれる人だったので、少し親近感が湧いていた。

今でもこのお金でやりくりしているので、感謝しかない。


外国人かと思う名前だが、とても外国人とは、思えないほど日本語がうまいのだ。

毎日のように、言葉を添えて送ってきていた。


「いつか感謝をしたいものだ。」


…少し話をもどすと私は、親の顔をあんまり覚えていない

だけども、よく殴られていた記憶がある。

記憶力に関しては、かなりある方だった

物心ついた日の事も鮮明に思い出せるほどに

…なのに親の顔を覚えていなかった。


思い出そうとするのを、体が拒絶しているのかもしれない

トラウマによる、記憶喪失なのか。

それとも、また別の理由なのか。


「神のみぞ知る」か。


教室に静けさが満ちていた。

ルアナは、机にうずめた顔のまま、穏やかな眠りの中にいた。


その時——


「キーンコーンカーンコーン……」


校内に響いたチャイムの音が、空気を切り裂くように鳴り響いた。


「っ……!」

ルアナの肩が小さく跳ねた。

まるで夢から現実に引き戻されたみたいに、

顔を上げた彼女の目は、ぼんやりと教室をさまよっていた。


数秒遅れて、ようやく()に追いつくように、ルアナは瞬きをした。


「あれ、もうみんないない……終わったの!?」

ルアナがバッと起き周りをキョロキョロと見ると

教室に人は、おらず。

窓から少しの葉っぱと日差しが入っていた。


「…ほぇ?」


ルアナが寝ぼけており、学校が終わったと理解をするのに少し時間がかかり、理解した途端

ルアナが走って外に出た。


「やっと終わった……!!!」


私がなんでこうなったのか、よくわからない。

……まぁ、人に「どうやって今の自分になったの?」

と聞けば、普通は、わからないだろうけどね


…私は学校では、いじめに遭い

家に帰れば虚しい気持ちが消えなく

私が今でもここにいる理由は、とある親友に出会ったからだ

もし、あの子に逢っていなかったら

今頃、自殺をしていたのかもしれないと思うほど

大好きな親友がいる。


だから、その親友がいる

私が居てもいい居場所に、今向かっている。

そう…私は、毎日とある神社に通っている

今もその神社に向かっている途中だ。

私の居場所は、そこしかない

私と、面と向かって仲良くしてくれるのは、彼しかいない。

そんな事を考えているとその神社に着いたのだ。


住宅街を歩いて行くと

森のように緑が拡がった神社への階段があった。

気が遠くなる程の、長く日で照らされている石の階段を登ると

そこには、紅く大きく立派な鳥居があり

ルアナが、おもむろに鳥居を潜り

横には、砂利が敷いてあり

ほうきの目が見えるほど綺麗に掃除が行きとどいた石の道を歩いていると、まるで来たものを観察するような顔の

稲荷の石像が左右に置いてあり

ルアナがその石像の名前らしきものを呼び挨拶をした。


「やっほ!グレープにオレンジ!」


御社殿の裏手に回ると、ぽつんと一匹の狐が座っていた。

その毛並みは、まるでレモンみたいに鮮やかな黄色。

──そう、この子の名前は「レモン」。


私は鞄をごそごそと探って、商店街のパンを取り出す。

「ごはん、一緒に食べよ」

パンを半分にちぎって差し出すと、レモンは勢いよくかじりついた。


「美味しい?」

問いかけると、レモンはこくんと頷く。

その仕草が、なんだか人間みたいで可笑しくて、つい笑ってしまう。


この子と出会ったのは、数年前。

学校からの帰り道、どうしようもなく気持ちが沈んで、

ふと立ち寄ったこの神社で……

お腹を空かせて倒れていたレモンを、私が持っていた給食のパンで助けた。

それから毎日、私はここへ通って

レモンにパンをあげて、話して、遊んで、笑って


……いつの間にか、この子は、私にとって唯一の居場所になっていた。


「……あーあ、学校なんて行かなくていい世界だったらいいのに」

「こんっ」

レモンが、まるで賛成するように膝の上に飛び乗ってきた。


「ふふっ、レモンもそう思うよね!」

そう言って抱き上げると、レモンはしっぽを揺らして嬉しそう。


「今日は何して遊ぼっか?」

「コンコン!」

「……かくれんぼとか、どう?」


「こんっ!」


「よし、決まり! じゃあ、私が先に隠れちゃうね!」


レモンが木の方を向いて、隠すそぶりを見せる。

私は、御社殿の下のとっておきの隙間へ──


(ふふん、ここならバレない……はず)


でも……数分も経たないうちに、レモンがこちらを向いた。

ぴたりと目が合ったと思った瞬間、タッチされる。


「うわっ、見つかった!? やっぱり狐の鼻には敵わないか〜」


「こんっこんっ!」


「えっ、レモンも隠れる? じゃあ10秒数えるから、急いで隠れてね」


数を数え終わって、私は探し始めた。

どこだろ……

でも、レモンのことだし

やばいくらい見つけにくいとこにいる気がする


御社殿の方に目を向けた時──

鈴のついた紐に、レモンがひっかかってぶら下がっていた。


「……は?」


「コャん……」

申し訳なさそうな声で鳴いた


「なにしてるのよ、もう〜……」

私は苦笑いしながらレモンを降ろし、ぎゅっと抱きしめる。


「レモンって、ほんとポンコツだよね」


「コャァ!?」

『おまえには言われたくない』って顔で、鳴いた。


「なっ……あんなヘマはしないもん!」

「コャァ?」


「……ほんとだってば!!」


ふたりの間に沈黙が流れて

そして──くすっ、と笑い声がした


「……あぁ、楽しい」


心の奥の奥で、ぽつんと灯るような感情。

楽しい、と思える場所。楽しい、と思える誰か。

それは、ここにしかいない。


でもふと、気づけば夕暮れ。空が赤く染まり、日が沈み始めていた。


「………また、あの日々に戻るのか」


「コャ……」

レモンを抱き寄せて、私は膝を抱え込む。


家に帰っても、学校に行っても、誰にも気づかれない。

もしかしたら──みんな、私を嫌ってるのかもしれない。


沈んでいく夕日を見つめながら、私はぽつりとつぶやく。


「……もう、夜になるのか」


綺麗な夕暮れだなぁ……。

でも……沈むの、早すぎ。

もうちょっと粘ってよ、太陽くん……

…………毎日が、退屈だ。


………もっと、みんなみたいなゲームで遊んだり

何かに熱中したりしてみたいな。

いっぱい遊んで、友達を作って………

「………レモンみたいな狐になりたい。」

その時、一つ大きな風が強く吹き吹き鈴が鳴り響いたレモンの瞳孔が開いた。


……まぁ、無理なんだけどね

そう、常に人々は、非日常を夢見た。

不可能だから

人は、夢をみる。


……そろそろ、私の()()()()とこに行かなきゃ


 「…そろそろ帰るね。」

ルアナがレモンを置いて神社から、立ち去ろうとした。

その時私は、鳥居を潜ろうとすると、目の前に広がる

空が金と紫に染まり始めた黄昏時の空に眼をうばわれた。


陽が地平線に沈む瞬間、空と地の境目が曖昧になり

世界が昼と夜の狭間に包まれ、現実と幻想の境界がゆるむ。

その時、世界はそっと音を失ったようだった。


……綺麗。

風が止み、境内の空気が一変した。

空は、まだ金と紫の色で、鳥居はそこにあるのに──()()()()がどこかへ行ってしまったみたいだった。

ルアナが息をのんだその瞬間。

拝殿の奥から、黄金色の毛並みを揺らしながら、()()()()()()が歩み出た。

細くしなやかな足取り、光をまとった瞳、そして尾が八本、ゆらゆらと揺れていた。

「君を連れて行ってあげる」

声は優しく、でも確かに、()のそれだった。


ルアナが鳥居を潜ると同時に聞こえ

ルアナは、後ろには、レモンしかいなかったはずだと思い

空耳かな?と思いつつ背後を見ると

そこには、レモンしかいなかったので

私は「気のせいかな……?」と思い前を向くと


鳥居の向こうから吹いた風が、神域の空気をやさしく揺らした。

その風は、まるで()()|を告げるように、主人公の頬をかすめ


ふと、足元が朱色に染まる。

振り返ると、拝殿の奥──レモンが居た方から、光が滲み出していた。

それは、ただの光じゃなかった。

時間が止まったような静寂。耳鳴りのような風の音。


踏み出した一歩目で、空気の匂いが変わった。

二歩目で、世界の音が消えた。

三歩目で、視界がまぶしさに呑まれた。


まぶたの裏に、見たことのない景色が焼きつく。

まるで夢の中に落ちるように、意識がふわりと浮いたその瞬間── 地面の感触が変わっていた。

風が、木々のざわめきが、どこか違う。


目を覚ましたとき、そこは神社ではなかった。

深い森の中、青緑色の葉が舞い、空は見知らぬ紫と藍のグラデーションに染まっていた。


「……どこ……?」

立ち上がろうとして、気づく。

主人公はそっと手を見た。

それはもう、()の手じゃなかった。

柔らかい毛に覆われた、しなやかな前足──

背中の後ろで、ふわりと尾が揺れた。


「私……狐になってる……?」


黄昏の光はもう消えていた。

でも、ここは確かに、さっきまでの世界じゃなかった。


「……えっ?」

周りを見渡すと周りは、森だった。

よく見ると、前には、たくさんのパンと鞄と紙が置いてあった。

紙を読むとそこには、こう書いてあった。


「ごきげんよう、月見屋 ルアナ様

ここは、学校も通わなくていい

家に帰らなくてもいい

そんな世界です。

要するに、異世界です。

そして、君が十分に生きていけるぐらいのお金と能力をあなたに渡しました。

そこの鞄には困った時の便利な物が入っていますのでお使いください。

そして、人間関係が嫌いという事で狐にしました。

それでは良い異世界狐ライフを!

byレモン」


と紙に書かれていた。


「なんじゃそりゃあああ!?!?!

人間関係は確かにめんどいけど、ホントに狐にするかぁ!?

ふつう!」


ルアナは、深呼吸をすると、ちょっと落ち着いたようだった


「……いやいや、一回状況確認だよね。

まずは、私の容姿確認だね。」


ルアナが池に向かい

水面に映ったその姿を見て、ルアナは言葉を失った。


橙色の毛並みが、夕陽に溶けるようにやわらかく輝いており

首元には雪のように純白の毛がふわりと広がり、風が吹くたび優しく揺れた。


目は、左右で異なる色を宿していた。

片方はあたたかな琥珀色、もう片方は燃えるような橙。

水面越しにその視線と合ったとき、自分が“自分じゃない”感覚が胸を締めつけた。


そして──

背後からふわりと揺れたのは、大きな一振りの尻尾。

厚く、やわらかく、まるで神話の中の存在が持つような神聖な毛並みだった。


見下ろせば、地面についたのは四足の影。

手も、足も、人のかたちはしていなかった。


その時だった。

ぼんやりと、青と赤の火が、空気に浮かび上がった。

人魂──けれど、怖さよりも、不思議な懐かしさを感じた。

まるでずっと前から、そこにいたような、そんな存在たちが、私のまわりをゆっくりと舞っていた。


「人魂って…私は幽霊か!」


その言葉が口からこぼれた瞬間、胸の奥がざわついた。

嬉しいような、寂しいような……ううん、よくわかんない。

ただ、空を見上げて、心を預けるように深く息を吸いこんだ。


……でも、待って。


「これから、私、どうするのぉおおおーーー!!??!」


空に向かって叫んでも、返事なんて返ってこない。

でも、叫ばずにはいられなかった。

不安でいっぱい。でも、ほんの少し……ほんの少しだけ、胸の奥があったかくなってた。

狐のなりたさで書いてます。

毎日投稿していくつもりなので

暖かい目でご覧ください

ミスなどがありましたら、ご指摘もらえるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ