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第8話 真太は、パパにまたヘマの報告をする

 

 そこへ、アボパパが帰って来た。

 皆、ほっとして、

「パパ。おかえりなさいっ。魔物が来たよぅー」

 と訴える。

「何だと、どうしてここに・・・あ、盗られちまったか。困ったな」

 早くも察したパパ。

「パパ、奴らは結界の中に入って来たし、俺がヘマして口に咥えていたから、あっけなく盗られた。俺が悪いと思う」

 真太はまた、反省の案件が出来てしまった。

「何故、咥えていたんだ。あ、本性になってこっちに来るつもりだったな。しょうの無い奴。まだお前の手に負える訳がないのに、加勢に来るつもりだったな。しかし困ったな。パパはあれを取りに戻ったんだが」

「ううっ、ごめんなさい。でも本物はどうしたの」

「本物の方は、シンに持たせたんだが。あいつ、逃げた魔王を追って地獄に自分だけで行っちまった。ずっと帰って来なくて、子物のとどめを刺せないから、パパは真太のを取りに戻ったんだが。これじゃあせっかく倒しても、元の木阿弥だ。シンの奴、深追いしおって。あいつは助太刀だからほどほどにしてほしいな」

「えっ、一人で言ったの。大丈夫かな」

「お前に心配されるとは、あいつも大したことない感じだな。あはは」

 アボパパはやけに気楽そうである。

「パパ、何だか開き直っているね」

「やってられないよ。魔王はやばいと思ったらさっさと地獄に戻るし、これは一先ず停戦で、長期戦になると思ったんだが、シンが追いかけて行ったからね。俺らは、地獄に行く能力は無いし、向こうも現世は苦手らしい。シンは地獄に行けるんだろうが、そもそもあいつは助太刀のはず。俺らの立場はどうなるんだよ。俺らの戦いのはずなんだが」

「シンは魔物相手だと、むきになるからね。というか、さっきの魔物達は、舞羅と翼に憑りついていたんだけど、その所為かも」

「そうだったのか、それを早く言えよ。もしかしたら、二人がさらわれたのかもしれない。だからシンは戻って来ないのだろう」

「相手は、俺のだけど御神刀持っているし。大丈夫かな」

「俺らは地獄には行けないし、極み殿は、最近争いごとに興味が無いと言う事だったが、あの御仁が出て来ないとなると、お前の心配も無理もない事になりそうだな」

「それはそうと、パパ達はどうして地獄に行けないの。行く事やってみないだけと違う」

「気安く言うな。あの極み殿の酔狂さに、俺らが合わせる事など出来る物か。物には程度って言うのがあるんだからな。お前だって行けないからな。翔の時の事など思い出すな。地獄の瘴気に当てられたら、龍神としての存在意義というか、矜持と言うかが崩れて狂ってしまうかもしれないぞ。俺らはああいう禍々しいものとは相いれない存在だからな」

「誰かを助けに行くんだったら、良いんじゃないかな」

「無理、無理。極み殿は怨霊龍だったし、シンも生きていた頃は地獄にまで行くのは嫌がったろう。だがあいつも、かなり拗れていたから終いに怨霊龍になった後は、地獄行きもやぶさかではなくなったな。俺らは無理だからな、念を押しておくが。どうせ行こうとしても、龍の体が拒否するはずだ」

「ふうん、でもシンは自分だけで舞羅と翼を助けられるかな」

「二人だからね。二人抱えると刀が持てないな」

「パパだって助けが要るって思っているじゃないか。何とか考えてよ」

 アボパパと、真太が言い合っていると、今迄大人しく側に居て真太達の話を聞いていたミミちゃんが、急に歓喜の声を上げた感じ。

「うひゃ、きゃあぁー。あぶっ」

 アボパパと慎太がはっとして辺りを見ると。

 知らない外国の男が居た。おそらくイダが人型になって表れたのだろう。ミミちゃんは大喜びだ。

「イダ、良く此処が分かったな」

 アボパパは驚いて言った。

「ミミに会いたくなって必死で探したら、何故か分かった。ひょっとしたら魔物が結界を破って、穴が開いているのかもしれないな。ところで、その地獄行の話、俺が行って来る。今の俺なら行けるはずだ。俺の龍神としての品格は、地に落ちたらしいからな。お前らには恩があるから、俺に出来る事なら役に立ちたい」

 アボは少し思案したが、やはり無理と結論付けた。

「気安く考えるなよ。あの、シンや極み殿の酔狂さは別格だぞ。自分が崩れては元も子もないからな。第一、まだお前は生きているんだからな」

「そうだな、おそらく死んで怨霊龍になった方が行き易そうだな」

 真太はギョッとした。

「そんなこと言ったら、ミミちゃんが可哀そうだよ」

「ミミは君たちが面倒を見てくれているじゃないか。俺はもう龍神の一族には戻れない。アバが受け付けないからな。こうなったら、アバに戦いを挑んで殺してもらおう。そうしたら、怨霊龍になるはずだ。ミミ、いい子で居るんだぞ」

 そう言ったかと思うと、イダはあっという間に居なくなってしまった。真太は前世で、アボが似たような事を思いついていた事を思い出した。前世をぼおっと思い出している真太の横で、

「うわぁーん」

 ミミちゃんが泣き出すので、外で隠れておままごとをして居た千佳由佳が、慌ててやって来た。

 〈真太のーテストはーれいてんーれいてんー〉

「うぇーん・・・きゃははー」

「お前ら、何を教えてんだよっ」

「やれやれ、パパはイダを探しに行くからな。たぶんアバの所だろうが。それから真太。ママに電話して、直ぐ帰って来て、結界を補強するように言うんだぞ」




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