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魔導士オーウェンはどこへ消えた!?  作者: 礼(ゆき)
第二章 仮面の魔導士
7/60

7:

仮面をつけることを許された俺は、世情について調べ始めた。


未来で年表を見たことがあっても、事細かなことは覚えていない。

幼少期の記録がないオーウェンの享年もはっきりしない。

おそらく、二十代半ばで命を落したとされている。


つまり、今から、五年から八年ぐらいで、俺は死ぬ。

ことに、なっている。


その間に争いが耐えないはずなのだが。

どうも、世情から流れてくる情報を分析する限り、戦争の気配がない。


隣国同士、つかず離れずという距離感を保っている。

国境沿いで小競り合いがあるとは言うが、互いにけん制し合い、大戦になる兆しにはなっていない。


(いったい、どういうことだ? ここからどうやって戦乱になだれ込むんだ)


未来の歴史は虫食いで、俺は分からないことばかりで首を傾げた。





オーウェンの日常を受け継いだ俺は、常にレイフとともにあった。

彼が学ぶ場にいつも同席し、学友のような立ち位置で勉学に励んだ。


魔導士としての技量はさすがにオーウェンが群を抜いていたが、それ以外はレイフはとても優秀だった。


彼は、人当たりが良く、俺だけでなく、使用人にも気さくに話しかける。

未来の記憶を持つ俺は、時々、問答をしかけても、よく考えて返答する。

この器の大きな、聡明な青年は、いったいどこでその人格を育てたのかと驚くばかりだ。


マグガ伯爵も俺とレイフを分け隔てなく育ててくれているので、彼の人格は父譲りなのだろう。





オーウェンの部屋には、扉が二つある。一つは廊下に、もう一つは窓のない小部屋に通じており、そこで独学で勉強をしていた、ようだ。


ようだとしか言えないのは、なぜか、この部屋の記憶が曖昧だからだ。

何をしていたのか、はっきりと思い出せない。


それは、あまり意味のないことだとして、記憶が蘇らなかったのかもしれない。

細かな使用人の名前や立場を記憶していないのと同じように。


オーウェンの記憶は、重要なことは残っていても、感心が薄かったり、日常の些細なことはあまり残っていなかった。

この部屋で独学で学んでいたことは、彼にとって、さほど重要な事ではなかったのだろう。


本棚を見る限り、基礎的な本ばかりが並んでいる。

オーウェンという青年は、基礎を重んじる人物だったと言える。

この小部屋で行っていたことも、ただの反復基礎練習かなにかだったのだろう。

基礎を重視する姿勢には好感が持てる。


床になにか陣が描かれているが、その意味も今は思い出せない。





そんなある日、マクガ伯爵が俺とレイフを呼んだ。


人払いされた室内で、俺は、なぜオーウェンがマグガ伯爵家の養子に入ることになったか。

真実を知ることになった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 設定やこれからの展開など、とても面白そうなのですが、一つ気になる点があります。 昔、アニメにもなった「魔術師オーフェン」という小説シリーズがあったのですが、今作とタイトルとか似すぎてる…
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