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俺はすぐさま公爵の元へと飛んだ。


城で見たことを話し、最終判断を下す。俺がマーギラの生まれ変わりであることは話さず、伯爵の元を訪れ、俺が現王の兄の息子であるとだけ告げた。


顔が似ているだけでなく、血筋も正統であると判明し、喜んだのも束の間、ガーラのしでかしたことに、公爵は頭を抱えた。


背後にいるゴードへのけん制のため、ガーラも処刑するしかない。

やむなく公爵も了承した。




城に戻った俺は、王太子、王、王妃、ガーラを拘束し、地下牢へと叩きこんだ。

早急に、王とガーラを処刑し、王妃に王太子が正式に王位を継ぐまで、王の名代を務めてもらう。


その間、王太子を生かすかどうか迷ったが、俺のように王位を狙う可能性が捨てきれないため、俺が即位の儀式に臨む背後で、二人も処刑することが決まった。


即位は表向き病死とされた王の喪が明けた翌日と日取りも決まった。




レイフの暗殺は、オーウェン暗殺へと書き換えられる。

二人の人物を合わせて歴史に残す。

どんな時代でも、権力者は歴史という物語を都合よくかきかえるもの。

ただ、それだけのことだ。




喪中でも、俺は城を離れず、政務に明け暮れた。

表向きは、王太子が行っているとしても、実際に動いていたのは俺だけだった。




喪が明ける直前、俺はジェナとゾーラを呼びつけた。

二人に、今後の話をするためだ。


ジェナにはそのまま俺の愛妾としてとどまるみちを示した。

彼女は黙ってそれを飲み込んだ。


もうすぐ臨月を迎えるゾーラに俺は無感情に宣告した。


「その赤子は、伯爵へ預けろ」

「嫌です」

「駄目だ。その子どもは王家の血を引いておらず、伯爵家の正当な血筋を持つ。伯爵に預け、レイフのように、素晴らしい後継ぎに育て貰うのだ」


ゾーラは恨みがましく俺を睨む。


「その子は手放しても、その子が生きる世界をよりよくする道を約束する。

ゾーラ。俺はお前を王妃にする。

その子が、まっとうに、そして、正しく生きれる世界を作る母になるのだ」


恨みをたたえた瞳を歪ませ、ゾーラは閉じた。


「わかりました」


かっと見開くと、踵を返し、立ち去ろうとする。

俺はその背に向かって告げた。


「産後、すぐに乳母をつける。

その半年後に王妃を定める儀式を行い、レイフの子を伯爵へと譲り渡す」


ゾーラは振り向かなかった。

彼女もまた、前だけを見て歩き続ける。




その夜、俺はジェナの元で過ごした。


身分が足りないジェナは愛妾にしかなれない。

畑を耕していた頃のように、二人だけの世界を作るだけとはいかなくても、彼女はいいと言った。


ジェナがいる。

彼女は俺の安らぎになってくれるだろう。


隣にジェナを抱く俺は、眠気に襲われながら思考する。


ゾーラから子どもを引き離すのも理由があった。

女帝と言ってもいいような主導者の女性が、なぜか子育ては見誤る話を未来で耳にしたことがしばしばあったのだ。なぜか、女帝たちは、政治的な判断は長けていても、こと子どもについては親ばかを通り越す、おかしな判断をする。


ゾーラがレイフの遺志を継ぐというなら、子どもは不要なのだ。

それなら、本来子に向けられるべき強い愛着を、世界に向けさせ、レイフの子をがよりよく育つ道が開くように導くことこそが正道であろう。

世のためになる。


それに、レイフは例の毒薬で死んでいる。


もしかしたら、どこぞの世に転生しているかもしれない。


俺のように息子に転生することもあるかもしれないし、子孫に転生することもあるかもしれない。


毒の功能でそのような効果があるかないか。

分からないにしても、夢があっていいじゃないか。


王家に囚われなかったレイフの子孫に、レイフが転生し、かつて自身を暗殺した王家を滅ぼすというシナリオも。


俺が王位簒奪者になったように、レイフもまた、王家を滅ぼす簒奪者になればいいのだ。


統合し最初の王になる俺が、スピア国を亡ぼす者を在野に放つ。

この国の成り立ちから、滅びさえも、俺の手のうちにある。


これぞまさに、世界掌握。


未来さえも牛耳った錯覚は、なんと楽しい夢だろうか。

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