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レイフの死は、すでに秘密結社を構成する二十四家には知れ渡っている。


療養中というのは表向きであり、こうなれば善意の申し出と称して、スピア国内に刺さりこもうとする元隣国の二十四家が出てくることは目に見えていた。


公爵から見れば、万全の網を張っていながらの失態であり、表の状況とは裏腹に、国を支える根幹はぐらぐらと揺らぐ事態となっていた。


表の顔である王家を挿げ替えることも難しい。

レイフの死を隠匿し続けるのも無理がある。


そこでゾーラは未だ国家魔導士の立場を有している俺を探すことにしたのだ。二十四家も俺の実力を知っている。

彼らに対しての抑止力。すなわち、元隣国からの干渉を防ぐために俺が必要となったというわけだ。


かくして、隠遁していた俺はゾーラに見つかった。




ひとしきり話を聞いた俺は、重いため息とともに、眉間をもんだ。


話を聞き始めた時は、レイフの理不尽な死に憤りを感じたものの、話の後半になると、この平和を脅かす可能性が見え隠れし、俺は憂鬱になった。


せっかく俺とレイフで行った下準備がすべて無駄になると思うと、やるせなくなる。

それが安易な私欲によるものだと尚更、悔やむに悔やみきれない。




その昔、俺の質問と称した問答に、レイフは真面目に答えてくれていた。


その問いのやり取りから、彼は十分に俺から未来の知識を間接的に学び、この国を導く素養を備えるまでになった。



レイフさえいれば、スピア国は道を間違えることはない。だからこそ、俺は出奔することができたのだ。




重々しい空気の中で、ゾーラが突然頭を垂れる。


「私は、レイフの意志を継ぎます。彼が目指した未来を、実現できなかった彼の代わりに、成し遂げたいの。だから、オーウェン、力を貸して」


肘をつき、額に手をかけ、眉間をもみながら、俺はガーラを見つめた。


早世した人物の遺志を継ぐ。

そういう人生もあることを俺も知っている。




ゾーラがそっと腹に手を添える。

俺は気づいてしまった。


「まさか……」

「そのまさかよ。レイフの子がいるの、ここに……」


俺はなにも言えなくなった。


レイフがいない。

残されたゾーラは彼の子を宿している。


その衝撃ににより、俺の目の前に新たなステージが広がった。


なぜ、魔導士オーウェンの妻が王妃になったのか。

その道筋が見えたのだ。





「分かった。力を貸そう」


俺は歴史から逃れられない。

やはり、未来で学んだことに、間違いはなかったのだ。




魔導士オーウェンは暗殺される。


そして、レイフはいないことになり、ゾーラは魔導士オーウェンの妻から王妃になる。




この未来の道筋を描いたのは、いったい誰だ!


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