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43:

俺はジェナを連れて、遠くへ飛んだ。


街並みが消え、都市部を離れ、森を見下ろし、街道上空を進む。


適当な村に居つこうと考えており、目ぼしい村を見つけて、歩いて行けるほどの適度に離れた地上に降り立った。


気に入った村が見つからなければ、半年放浪するぐらいの金は持ってきている。その上で、家を二軒買えるぐらいの資金もあった。


「オーウェン様、どうしたんですか。いきなり」


地に足をつけたジェナが困惑した表情で俺に問う。


「俺は、これから田舎で暮らすつもりだ。どこかに家を買って、畑を耕して、のんびり暮らす」

「のんびり暮らすって……。一人でですか?」

「そのつもりだったが、何分一人で暮らすのも久しいからな」


前世ぶりなので、俺の時間的に見れば八十年は昔だ。

さすがに自信満々というわけにはいかない。


ジェナは合点がいったとという顔をする。


「拾った私を世話係に連れてきたんですね!」

「……」


そういうわけではなかったが、それで納得するならそれもいいかと一旦はそういうことにしておいた。




幸い、若い者たちが兵に取られた人手不足もあり、最初に立ち寄った村で、それなりの農地と家を買うことができた。村を回す金も不足していたので、渋々受け入れた面もあったかもしれない。


訳アリと捉えられ、しばらくは警戒されていたものの数か月もすれば、慣れていった。




ジェナと一緒だったのが良かった。

彼女が、村の集まりに顔を出したり、女たちの井戸端会議に参加することで、自然と村に馴染んでいった。


一度、俺のことをどう説明していいか尋ねられた。

どうしたものかと悩んでいるとジェナが「一緒に働いていたと言っていいですか」と聞いてきたので、了承しておいた。


ジェナは適度に機転が利き、村では、「どこかの貴族のお屋敷で働いていて稼いでから地方に移り住んできた二人」

ということになっていた。


一緒に暮らしていてわかったのだが、ジェナが連れ去ったことをすんなり納得したのは、拾った俺の所有物だと自分を認識をしていたからだった。


食事中に、突然「すみません」というものだから、何事かと驚くと、「村では私たちが恋人か夫婦のように捉えているのです。ですが、主人と奴隷という関係を口にするのもおかしいので、その誤解にのっかってしまいました」というのだ。

申し訳なさそうな顔でである。


俺はぐわんと頭を叩かれるような気分だった。

そんなつもりはまったくなく、むしろ好意的に話しかけていたつもりが、まったく効果を発揮していなかったのだ。


あのレイフでさえ、俺が女の尻を追っかけていると勘付いていたというのに、本人がこの認識とはいかなるものか!

危うく、俺は食事中の匙を取り落としそうになった。


屋敷で俺が話しかけていたのも、拾って来た手前、変な仕事をされては外聞にかかわるからだと本当に信じていたとは!!


俺は男としてまるで見られていなかったのだ。


軽くショックだった。



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