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世情はドミノ倒しのようにとんとんと事が進んでいく。


サライ国に続き、間もなくヤネス国もスピア国に取り込まれるめどが立った。


こうなれば、各々の代表者も元居た国に戻ることになる。


俺が国家魔導士として名を轟かせたため、世情にも魔導士という空恐ろしい存在が知れ渡った。

これからは魔導士全盛の時代となる幕開けとなり、二十四家に囲われていた魔導士たちが、その存在を露にし始めていた。


防衛のため、ひいては、国の発展のために、彼らは必要不可欠である。それぞれの技術は国の存続に今後も役に立つのだ。


雨が降らない時は水を供給し、雪が多すぎる時は雪を解かす。

土壌改良にも役立ち、農産物の生産量もあげる。

貴族たちの暮らしが向上し、役立つ品が生み出されて、市民へと浸透する。

鉱山と武器を作っていた職人たちは、平和な時代に、魔導と道具を組み合わせた品を生み出してく。


これから時代は好転するのだ。


サライ国のベイジル・バスカは道具と魔導を組み合わせる技術開発を始める。

名を変え、貴族ではなくなるデニス・バスカはその品を国に広めていく商会を束ねることになった。二十四家の財布を束ねる商会を束ねる一人になるのだ。


ウォーレン・ヒルはヤネス国内のとある二十四家に婿入りすることが決まった。そこの女主人は今後は魔導が主流になると読み、国随一の魔導士を婿に迎えることを望んだのだ。


エイサ・ヒルは文官として召し抱えられる予定が決まっている。レイフとの件をやり取りするなかで、スピア国とのつなぎとして重宝されたことが功を奏した模様だ。

おそらく表の重鎮としてその地方の顔役になっていくのだろう。


率先して金儲けと殺戮を好んだゴード・リドリーとマルコム・リドリーは僅かに残った傭兵たちを束ね、裏社会を牛耳る顔役に選ばれた。

どこまでも汚れ役を担うことになるが、似合っていると言えば似合っている。


痛い目を見ただけあって、生き残るための臭覚は増しており、下手なことはしないだろう。そうすれば、莫大な富が約束されている立ち位置でもある。


未来において、彼らの名は残っていない。

しかし、歴史は物語る。

彼らはスピア国の安寧のため、ひいては『秘密結社導きの北極星』の手先としてよく働いていたと。






俺もまた砦からスピア国へとレイフとともに戻ることになる。

今後について、たまにレイフとも話すようになった。


俺は相変わらず、野心がないことを前提に、今後はどこかの田舎で身分を捨ててゆったりと暮らしたいと主張する。

レイフは相変わらずだなと笑って、聞いていた。


最後に、レイフは「ジェナのことはどうするつもりだ」と聞いてきた。


まだ感慨あぐねている部分があるが、ひとまずこう答えた。


「身寄りもなく、俺が拾った以上、一緒に連れて行こうと思います。屋敷で働かせる分には構いませんよね?」

「もちろん」


いつになく上機嫌で肯定するレイフに、俺は少々面食らった。





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