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世界は荒れたままだった。

円卓に向かい合う者の力関係が変わったとはいえ、世界にはびこる物騒なことが一掃されるわけではない。


手始めに、最新の武器を作る工房が密集する地域と鉱山を有する広域をスピア国が取り込む決定が下された。

薬物を流通させることで、スピア国内に集まっていた傭兵たちと徴兵により集められた兵士たちが揃えられた。


兵と傭兵であからさまに扱いに差をつけた。

他国から流れてきた傭兵を前線に立たせ、スピア国民を主体とする兵たちを後方で待機させる。

扱いに不満を漏らす傭兵もいたが、薬物が安く手に入る環境にあり、逃げる者は少なかった。


鉱山と武器職人たちが暮らすサライ国の地域は、要所の城を有能な将におさめさせていた。

が、スピア国が攻め入る前に、その将にありもしない嫌疑をかけて失脚させていた。

はめられたとその将は怒りを露に、国外に逃亡していた。


その城には最新の武器が揃えられている。

有能な将と最新の武器が揃えば、スピア国の傭兵たちはひとたまりもない。

どちらかを欠けさせることで、スピア国に有利に働くように下準備したのだ。


もちろん、サライ国も重要な拠点の城をトップ不在というわけにもいかない。表から見ても、要所にトップがいないのは不自然だ。

サライ国は新たなトップを任命し、送り出す。中堅どころの傲慢な者は、有能な者の失脚を喜び、新たな地位に勇んでやってきた。


そのわずかな交代期間中に、スピア国は傭兵を動かす。


国家魔導士を拝命した俺もレイフの許可を得て単独で出兵した。俺は城がよく見える、小高い地に生える大木の上から戦況を伺う。


武器職人たちが住まう地域や鉱山で働く者が多い地域を霧を発生させる。スピア国の傭兵たちは、霧を迂回し、城へと向かった。


城に到着すると、戦闘が開始される。

攻め入る傭兵と、応戦するサライ国の兵が入り乱れる様を眺める。


最新の兵器を保管している城であっても、慌ただしくトップが入れ替わったばかりでは統制がままならず、苦戦を強いられるサライ国の兵たち。

もちろん、最新の武器を持つ城内の兵たちに、スピア国からやってきた傭兵たちも苦戦する。


双方におびただしい死傷者を出す最中、俺は初めての国家魔導士としての仕事をこなす。

様子を見に城の上に出て来た新任のトップめがけて、遠距離から風刃を放った。


風は鋭く走る。

新任のトップは首と胴が切り離された。

首から血をまき散らし倒れこむ。


俺は眉を潜めた。

狙ったとはいえ、初めて人を殺した。

前前世、前世の人生を通しても初めての殺人だ。


遠目に倒れる人の姿を見て、俺の胸が病む。嘔吐しかけて、堪えた。


城内が慌ただしくなる。

戦意を喪失したのか、仲間であったはずの、サライ国の兵がトップの首を掲げて、スピア国に投降した。

こうして城内の兵と傭兵両方の戦力をごっそりそぎ落とすとともに、スピア国は城を陥落させた。


未来の歴史では、辛くもスピア国が勝利したとなっていたが、実際は予定調和であったとなど驚くばかりだ。



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