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公爵と伯爵は、スピア国に帰国する際に、俺に餞別をくれた。


それはローブと身の丈を越える杖だった。


受け取った俺は奇妙な懐かしさを覚える。

この二点を初めて見たのは、前世の晩年、オーウェンの仮面を身に行った博物館だ。


かつて、と言ってもそれは未来のことだが、色が落ち茶色に変色していたローブも、白く光沢があり、前前世で俺の目の前に降り立ったローブそのものである。


前前世の俺を死に追いやった死神の衣装。

そんな例えが浮かぶと、おかしみも覚える。


ローブを袖にかける。

全体を赤く染め上げられた杖を両手で握り、下から上へ、上から下へと眺める。


未来では、その色味も落ち、内側の木部がむき出しになり、施された装飾から石も外れていた。

ところどころ残った赤は、黒くなっていた。


前世で調べたことや学んだことが徐々に繋がっていく。

なんと感動的なことだろう。


「ありがとうございます。大切にします」


受け取る声は震えていた。

贈り物を喜んでいると思った公爵と伯爵は満足げに帰国していった。







儀式が終わっても、円卓で国の行く末が話し合われる。

スピア国を統一国にすると方向性が定められたことで、場の雰囲気ががらりと変わった。


まず、レイフ以外、負けた三人の雰囲気が別人のように変わった。


健を切られた二人は杖をついて歩いている。

耳を削がれたことを隠すように帽子を目深にかぶっている。

片手の指を失ったゴードは手袋をはめ、いつもその手をポケットに隠していた。


容貌も、どこか疲れ切ったような、魂が抜けたような、腑抜けたものに変わっていた。


統合の指揮をとるのは儀式の勝者レイフと違い、三人は三国との連絡役という立場に落ちたのだ。


さらに、魔導士との主従関係は解消され、今、隣にいるのは、三者を監視する役目を背負う魔導士だ。

もし、三者が悪意をもてば、すぐさま魔導士が三者を罰する権限を持つ。

魔導士は、それぞれの家から遣わされたレイフの味方と言える。


かつての主たちは、おかしなことをすれば、命はないと脅されているのかもしれない。


儀式の勝敗によって、四者の力関係はすっかり変わっていた。





三人の魔導士がかつての主三人を押さえ込んでくれると見込めた俺はレイフに提案した。


「レイフ様、俺は最短で統一するために、表舞台で働きたい。

人々が小競り合いを続けるより、強い力で制圧した方が、短期間で統一できるはずだ。

そのために、俺は魔導士として表の地位が欲しい。スピア国最初の国家魔導士として、任じてもらいたいんだ」


こうして、俺はレイフと公爵の働きかけによって、国家魔導士としての地位を得た。




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