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5話_新しい朝

 ズキン

 

 暖かい日差しが私の頬を照らしていた。

 いつの間にか私は寝ていたようだ。

 まだ頭が少々痛い。

 手を頭の上に置き辺りを見回してみる。


 目覚まし時計の置いてある木でできた可愛い机。

 瑠璃色のカーテン、のみかけの紅茶。

 

 私は夢の続きを見ているのだろうか。

 確かじゅんかえであとは、そう、とおるという人物が夢の中に出てきて・・・。

 いや、でも私はさっきまであの怖ろしい悪夢を見ていたはずだ。

 

 ・・・夢の中で夢を見ている?


 まぁよくTVの中にTVがあったりするしなぁ。(CM)

 夢の中で夢を見ている、ありえないことではない。

 夢の中なら何でもありなのだ。


 ふと、ノックの音が聞こえた。

 なんとなく聞かぬ振り、電話拒否みたいなものだ。

 夢の中ならあの夢の続きなら・・・


椎名瑠璃しいなるり。いるか?」


 ああ、その声は。


「入るぞ」


 その言葉と同時に扉の近くにほんのり赤い色をした髪の少年が立っていた。


 ・・・やっぱり、牧之瀬淳まきのせじゅんか。

 私はやっぱり夢の続きを見ているのか。

 早く目覚めてくれないだろうか。

 いや、どうせ起きるなら・・・。よし。


「淳の馬鹿」

「あ?」

「いや、夢の中なのだから、目覚める前に気に食わない奴等に愚痴でもいおうかと思ったんだ。」


 ・・・沈黙。毎回のお決まりパターンだ。

 すると淳が口を開いた。


「なに現実逃避してんだよ。夢の中で夢を見てるとか馬鹿なことを考えてるのか?いや、流石にそこまで馬鹿じゃないか」


 ・・・悪いですね。

 考えてましたよ、夢の中で見る夢。

 どうせ私はバカなんだよ。

 っていうか、流石にそこまで馬鹿じゃないかって、すごい余分。全然フォローになってないよ。むしろ逆だ。

 本当に淳は面白みがないな・・・。阿呆めっ!


「阿呆じゃない」


 ・・・!前言撤回。この人すごい。人の心読めるのか!私が神じゃなくて淳が天神てん地神を操る女神なんじゃね?


「・・・」


 ・・・気のせいか、今のはまぐれだったんだな。(女神の所を否定しないこと)それともそういう趣味がありわざと返事しなかったとか?


「・・・こいつ。絶対現実逃避してやがる」


 相変わらず淳は冷たくそう言い放つ。


「ああ、そういえばお前が働く部隊が決まった三番隊だ、隊長名は剄狼けいろうあさひだ。」


 けいろう。名前的に老けてそうだな・・・。


 淳は覚えて置けよと言葉を付け足した。

 私は上下に頭を振り、淳はよし、と呟く。

 そのしぐさが餌を前に『待て』されている犬がいて、その犬にもう食べていいよ(よし)と言ったようにに聞こえた。そのせいで私は少々不機嫌になった。

 

 しばらくしてノックの音と共に


「起きてください。5時です。食堂が開かれました」

 

 と、入ってきたばかりの私に敬語を使う男の声がした。

 淳は扉のほうに向かいそして開く。


「あ、すみません部屋を間違えました。」

「別に間違えてないけど?」


 男はきょとんとした顔で淳を見上げる。


「ここは新、三番隊所属、ナンバー81椎名瑠璃しいなるりさんの部屋でしょうか・・・?というより椎名瑠璃しいなるりさんは男・・・?」


 いえ、女です。


「ここは三番隊所属、ナンバー81椎名瑠璃しいなるりの部屋だ。」


 淳はそう言ったまま私に指を向けさっさと部屋から出ていった。部屋に残った男は私を見て軽く自己紹介した。


「僕はひいらぎ隼人はやとです。年は15、瑠璃さんと同じく三番隊に所属しています。ナンバーは12です」


 私は改めて柊隼人を見た。

 黄色の首元まで伸びている髪。

 ツンと上がった大きい目になで肩のしっかりとした体付き。

 少々赤っぽい眼鏡がとても印象的であった。


 私は手を壁に添えて勢いよく寝床から立ち上がった。

 それと同時に柊は私に明日は向かえにきませんので5時~6時の間に食堂に来てください、と言った。


 ゆっくりと出口に向かう。

 一歩進むたびに私は興醒めする。

 記憶をなくしてから一度もこの部屋以外みたことがなかったし、行ったことがなかったのでとでも興味があったのだ、しかしそれが手が届くと思った瞬間、興味が失せてきたのだ。

 キィっと嫌な音が響き扉が開く。

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